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2020年12月10日

『麒麟がくる』第30回―三淵氏の来歴

鹿苑寺金閣
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《令和6年10月3日更新》

皆さんこんばんは。
今回は今年の大河ドラマ『麒麟(きりん)がくる』第30回に関しての楽しみ方を解説したいと思います。

大河ドラマを見てみたけれど、歴史もよくわからないし、どう楽しんでいいのかわからない
歴史には興味あるけど、自分では積極的に勉強する気になれない、という方必見です!
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。

【『麒麟がくる』の楽しみ方】
・第1~2回―当時の三傑と明智家/リアルな戦の描写・第3~4回―美濃の情勢/織田家の状況
・第5~6回―当時の京都の情勢・第7~8回―尾張国内の政治情勢/当時の三河情勢
・第9~10回―土岐一族とは/織田家の血縁関係・第11~12回―なぜ朽木谷か?/信長家臣団の萌芽
・第13~14回―戦国最強の傭兵団/村木砦の戦い・第15~16回―織田一族の関係性/新九郎高政の重臣たち
・第17~18回―斎藤家の血族関係/永禄元年までの織田家・第19~20回―足利将軍家の動き/桶狭間の戦い
・第21回―松平蔵人の親族
・『麒麟がくるまでお待ちください』第2~3回―斎藤道三二代説/前田利家の生涯
・『麒麟がくるまでお待ちください』第4回―羽柴藤吉郎の名称
・総集編第1回・第22回―三好氏の血縁関係
・第23回―三好氏の血縁関係(2)・第24回―剣豪の系譜
・第25回―朝倉氏の系譜・第26回―摂関家の系譜
・第27回―会合衆とは何者か?・第28回―摂津晴門とは何者?
・第29回―押領とは何か


まずはあらすじ。


第30回のあらすじ


永禄(えいろく)12年(1569年)、岐阜(ぎふ)に到着した明智十兵衛光秀(長谷川博己)は織田弾正少忠信長(染谷将太)に拝謁(はいえつ)した。

信長は、三好三人衆(みよし・さんにんしゅう)と結んで美濃(みの)への侵入を企てている越前(えちぜん)朝倉左衛門督義景(ユースケ・サンタマリア)を討つべきかどうか悩んでいたが、帰蝶(きちょう)(川口春奈)の考えを含んだ十兵衛の言葉により、朝倉(あさくら)を討つ決心をした。

翌永禄13年(1570年)、信長はこれまで幕府(ばくふ)でさえも手を付けなかった御所(ごしょ)の塀を直したことで(みかど)(坂東玉三郎)に拝謁することに成功し、朝倉討伐について帝からの後ろ盾を得るのであった。

十兵衛はそのことを理由に幕府にて将軍家・足利権大納言義昭の越前への同行を願い出るが、却下される。

その際、摂津掃部頭晴門(片岡鶴太郎)から、

朝倉義景の嫡男(ちゃくなん)阿君丸(くまぎみまる)の毒殺を命じたのは三淵弾正藤英(谷原章介)であり、毒を運んだのは自分の家臣である。
そのおかげで信長は義昭を奉じて上洛(じょうらく)することができたのだ。
だから、信長の言うことをきく必要はない。

という越前での事件の真相を聞かされ、衝撃を受ける十兵衛であった。

ということで、


第30回「朝倉義景を討て」の感想


この回も摂津晴門の悪逆っぷりが素晴らしかったですね!

ちょっくら感情が動きましたよw

摂津晴門について詳しく知りたい方は、下記リンクをタップしてください:
『麒麟がくる』第28回―摂津晴門とは何者?

そしてさらによかったのが、織田信長の勤皇(きんのう)っぷりが描かれていたことですね。

信長はあくまで帝を軸に動いているのであり、私利私欲のために動いている幕臣(ばくしん)たちとの間に徐々に溝ができてきて、そのことによって足利義昭と対立する、という筋書きは筋が通っていて素晴らしいと思います。

とにかく改革!改革!で帝といえども旧来の制度は破壊する!という今までの信長のイメージとは違い、少しは人間味がある描かれ方をしている気がします。

ただ、やはり駒(こま)(門脇麦)と足利義昭の距離感や望月東庵(もちづき とうあん)が帝と碁を打っている描写などは不自然さを感じます。

歴史ドラマにフィクションを盛り込むときは慎重に、かつ重厚に設定を作り込まないとどうしても浮いてしまうと再三このブログでは言っていますが、まぁ全体的には面白いのでよしとしましょう!w



第30回の楽しみ方―三淵氏の来歴―


今回は、将軍家・足利左近衛中将義輝(向井理)、権大納言義昭兄弟の重臣(じゅうしん)として活躍している三淵弾正左衛門尉藤英の三淵家の来歴について書いていきたいと思います。

と言っても実は謎の多い家でして、幕府の重要なポストにいたにもかかわらず、来歴がはっきりしません。

ただ、足利(あしかが)一族ではあるようです。

出自には二説あり、最有力と思われるのが4代将軍・足利内大臣義持の庶子(しょし)であるという説です。
※もう一つの説は3代将軍・太政大臣義満の庶子という説です。

関連記事:
『麒麟がくる』第37回―足利家について(2)

祖とされるのは三淵持清という人物で、彼は義持の引付頭人(ひきつけとうにん)に任命されています。

しかしその後は活動はよくわかっていません。

幕府内に「三淵」の名字を名乗る者は見られるのですが(いみな)もよくわからず、わかったとしても信憑性を問われており、役職等もよくわかりません。

はっきりしてくるのは弾正左衛門尉の父・大和守晴員の頃からです。

彼は和泉上守護細川家(いずみ・かみしゅご・ほそかわけ)の当主・刑部少輔元有の子でしたが、母方の叔父である三淵加賀守晴恒なる人物の養子となります。

大和守晴員は12代将軍・足利右近衛大将義晴(義輝・義昭の父です)に仕えていました。

義晴とともに管領(かんれい)・細川右京兆晴元と戦い、天文(てんぶん)16年(1547年)に義晴・義輝父子が近江(おうみ)に落ち延びたときにも同行しています。

関連記事:
『麒麟がくる』第5~6回―当時の京都の情勢

そして実は彼は足利義昭にも仕えているんですよ。

ドラマ中には登場しませんが、実は幕府内には弾正左衛門尉藤英、細川兵部大輔藤孝兄弟とともに父の大和守晴員もいたんです。

関連記事:
『麒麟がくる』第35回―細川藤孝について

そして永禄13年(1570年)に亡くなっています。

跡を継いだ弾正左衛門尉藤英は大河に出ているので皆さんご存知ですね。

弾正藤英がこの後どうなるかはネタバレの感があるので書かないでおきますが、面白いのは彼の子供たちです。

庶子に「朽木(くつき)」の名字を名乗る人物が三人いるんですよ。

調べてみたら、近江朽木谷(くつきだに)の領主・朽木民部少輔稙綱(※)の養子になっているようです。
民部の子・宮内少輔晴綱は早世しているので、それが理由となって養子となったのかもしれません。
※朽木民部は12代将軍義晴・13代義輝の側近として仕えていたので、その縁で三淵から養子を迎えたのだと思います。ちなみに筆者の家は朽木家と深い縁があり、Wikipediaの「朽木稙綱」の項目の大部分は10年以上前に筆者が書いたものです。


関連記事:
『麒麟がくる』第19~20回―足利将軍家の動きと桶狭間の戦い

関連記事:
『麒麟がくる』第11~12回―なぜ朽木谷か?/信長家臣団の萌芽

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結局、朽木家は民部の孫である朽木信濃守元綱が継いだため、三淵弾正藤英の子は朽木家を継ぎませんでした。
※信濃守元綱は「金ヶ崎(かねがさき)の退き口」で登場するので、ご存知の方は多いと思います。

関連記事:
金ヶ崎城の合戦―過去の実績にこだわらない

こんな感じで、ドラマの背景にある知識が分かるとドラマをもっと楽しめます!

というわけでまだまだ説明したいことはたくさんありますが、今回は以上です!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

以下もご覧ください!


次回の記事を読みたい方は、下記リンクをタップしてください:
『麒麟がくる』第31回―浅井家の来歴


※トップ画像はイメージです。

○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・明智 十兵衛 源 光秀
あけち じゅうべえ みなもと の みつひで
・織田 弾正少忠〔通称は三郎〕 平〔藤原、忌部〕 朝臣 信長
おだ だんじょうのしょうじょう〔通称はさぶろう〕 たいら の あそん のぶなが
・朝倉 左衛門督〔通称は孫次郎〕 日下部 朝臣 義景
あさくら さえもんのかみ〔通称はまごじろう〕 くさかべ の あそん よしかげ
・方仁〔諡号:正親町帝〕
みちひと〔諡号:おおぎまちのみかど〕
・征夷大将軍〔将軍家〕 足利 権大納言〔通称不明〕 源 朝臣 義昭〔義秋、一乗院覚慶〕
せいいたいしょうぐん〔しょうぐんけ〕 あしかが ごんのだいなごん〔通称不明〕 みなもと の あそん よしあき〔よしあき、いちじょういんかくけい〕
・摂津 掃部頭〔中務大輔。通称不明〕 藤原〔中原〕 朝臣 晴門〔晴直〕
せっつ かもんのかみ〔なかつかさのたゆう。通称不明〕 ふじわら〔なかはら〕 の はるかど〔はるなお〕
・三淵 弾正左衛門尉〔または弥四郎〕 源 藤英
みつぶち だんじょうさえもんのじょう〔またはやしろう〕 みなもと の ふじひで
・征夷大将軍〔将軍家〕 足利 左近衛中将〔略称「左中将」。通称不明〕 源 朝臣 義輝〔義藤〕
せいいたいしょうぐん〔しょうぐんけ〕 あしかが さこんえのちゅうじょう〔略称「さちゅうじょう」。通称不明〕 みなもと の あそん よしてる〔よしふじ〕
・征夷大将軍〔将軍家〕 足利 内大臣〔通称不明〕 源 朝臣 義持
せいいたいしょうぐん〔しょうぐんけ〕 あしかが ないだいじん〔通称不明〕 みなもと の あそん よしもち
・征夷大将軍〔将軍家〕 足利 太政大臣〔通称不明〕 源 朝臣 義満
せいいたいしょうぐん〔しょうぐんけ〕 あしかが だじょうだいじん〔通称不明〕 みなもと の あそん よしみつ
・三淵 (官職・通称不明) 源 (朝臣?) 持清
みつぶち (官職・通称不明) みなもと の (あそん?) もちきよ
・三淵 大和守〔通称不明〕 源 朝臣 晴員
みつぶち やまとのかみ〔通称不明〕 みなもと の あそん はるかず
・細川 刑部少輔〔通称は五郎〕 源 朝臣 元有
ほそかわ ぎょうぶのしょう〔通称はごろう〕 みなもと の あそん もとあり
・三淵 加賀守〔通称不明〕 源 朝臣 晴恒
みつぶち かがのかみ〔通称不明〕 みなもと の あそん はるつね
・征夷大将軍〔将軍家〕 足利 右近衛大将〔略称「右大将」。通称不明〕 源 朝臣 義晴
せいいたいしょうぐん〔しょうぐんけ〕 あしかが うこんえのだいしょう〔略称「うだいしょう」。通称不明〕 みなもと の あそん よしはる
・細川 右京大夫〔略称「京兆」。通称は六郎〕 源 朝臣 晴元
ほそかわ うきょうのだいぶ〔略称「けいちょう」。通称はろくろう〕 みなもと の あそん はるもと
・細川 兵部大輔〔通称は与一郎〕 源 朝臣 藤孝
ほそかわ ひょうぶのたゆう〔通称はよいちろう〕 みなもと の あそん ふじたか
・(佐々木)朽木 民部少輔〔通称は弥五郎、出羽四郎〕 源 朝臣 稙綱〔稙広〕
(ささき)くつき みんぶのしょう〔通称はやごろう、でわしろう〕 みなもと の あそん たねつな〔たねひろ〕
・(佐々木)朽木 宮内少輔〔通称は弥五郎〕 源 朝臣 晴綱〔貞綱〕
(ささき)くつき くないのしょう〔通称はやごろう〕 みなもと の あそん はるつな〔さだつな〕
・(佐々木)朽木 信濃守〔河内守。通称は弥五郎〕 源 朝臣 元綱
(ささき)くつき しなののかみ〔かわちのかみ。通称はやごろう〕 みなもと の あそん もとつな
☆武家の「通称」の普及を切に願います!

参考
ゆーくんはどこ?
ぴえーるのテレビブログ
今日は何の日?徒然日記


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Posted by 鷲谷 城州 at 20:00│Comments(2)テレビ
この記事へのコメント
お邪魔いたします。

三淵家も謎が多いのですね!
朽木家に繋がりがあるのも驚きです。


今回の大河ドラマでやっと陽の目をみた
人物の一人ですね。
谷原章介さんのおかげで、魅力的な武将に
なってます。
架空の人物を登場させる時間があれば、
もっと深掘りしてほしいです。
Posted by ゆーくんまま at 2020年12月21日 18:39
>ゆーくんままさん

いつもありがとうございます!

三淵は実は父親の晴員が『信○の野○』に出てくるのしか知らなかったのですが、藤孝を排出しているのに注目されてこなかったのが不思議ですよね。

史料がなさすぎるんですかね?

今後、もっと注目されることを期待します!
Posted by Sosuke WashiyaSosuke Washiya at 2020年12月22日 08:02
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