2020年10月07日
『麒麟がくる』第23回―三好氏の血縁関係(2)

《令和6年10月24日更新》
皆さんこんばんは。
今回は今年の大河ドラマ『麒麟(きりん)がくる』第23回に関しての楽しみ方を解説したいと思います。
大河ドラマを見てみたけれど、歴史もよくわからないし、どう楽しんでいいのかわからない。
歴史には興味あるけど、自分では積極的に勉強する気になれない、という方必見です!
※記事下部に人物の読み仮名をのせています。
まずはあらすじ。
第23回のあらすじ
将軍家足利義輝(向井理)より、織田上総介信長(染谷将太)を上洛(じょうらく)させるように頼まれた明智十兵衛光秀(長谷川博己)は、尾張(おわり)にいた。
信長に謁見し上洛するよう依頼するも、今は斎藤(さいとう)との戦いで忙しい、と断られてしまう。
早々に立ち去った信長に代わり話相手としてやってきた木下藤吉郎(佐々木蔵之介)から、松永弾正久秀(吉田鋼太郎)が黒幕となり、将軍家義輝襲撃の計画があることを知らされる十兵衛。
急いで大和(やまと)へ行き、松永久秀と会った十兵衛は、久秀の胸中を知らされる。
義輝では将軍(しょうぐん)は務まらない。
殺しはしない、追放するだけだと言われ、義輝の側近であったはずの細川兵部藤孝が現れる。
藤孝までもが義輝を見限っていることを知り、十兵衛は計画を防ぐことが絶望的であることを悟った。
京(きょう)に戻って義輝に会い、涙する十兵衛であった。
ということで、
第23回「義輝、夏の終わりに」の感想
この回はやられましたね。
面白かったです!
十兵衛を軽くあしらう信長もよかったですし、目をギラつかせて義輝襲撃の噂を語る藤吉郎もよかったです。
役者さんも実力をフルに発揮されている感じで素晴らしかったです。
※「情報源が六角(ろっかく)」というのは、藤吉郎が信長に仕える前に六角家に出入りしていたという説を踏まえての話かと思います。ちなみにこの説は信ぴょう性が薄いとされていますが、ちょっとした「お遊び」かな?と思います。
足利義輝についてもっと知りたい方は、下記リンクをタップしてください(関連記事に飛びます):
『麒麟がくる』第24回ー剣豪の系譜
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そして、僕がスルーしがちな駒(こま)(門脇麦)ですが、別に恋愛パートでなければ悪いと思っていないんですよ。
駒自体が架空の人物であり、視聴者の等身大の投影ですからキャラが薄いとは思います。
正直、その辺は物足りない気はします。
しかし、伊呂波太夫(いろはだゆう)(尾野真千子)とともに歴史上では語られていない人脈をつないでいく人物として重要なのはわかります。
ていうか、尾野真千子さん好きです 笑
さらに松永久秀の坪の話もよかった。
「物の値打ちは人間がつくっていく」
至極当たり前のことを言っているのですが、この状況で、吉田鋼太郎氏の松永久秀が言うから説得力が出てくる。
言葉とはそういうものです。
実はもう25回まで見ているのですが、この先が楽しみでしょうがないですね。
関連記事(松永久秀が登場する本のご紹介です):
谷口克広『信長と消えた家臣たち』
第23回の楽しみ方―三好氏の血縁関係(2)―
というわけで、今回は尾張や大和が話の中心となっていました。
三好(みよし)氏はあまり前に出てきていなかった印象なのですが、今後あまり出てこなくなってしまうので今回も三好氏について書こうと思います。
※それこそ「野田(のだ)城・福島(ふくしま)城の戦い」で出てくるくらいかなと思います。
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今回もこちらの系図を参照しながら読んでみてください。
※クリック〔タップ〕で拡大されます。

前回は三好修理長慶の来歴について書いて終わってしまいましたが、今回は三好氏のその後です。
ドラマ中では「長慶の子」と言っていましたが、実際には修理長慶の実子である筑前守義興はドラマに先立つ永禄6(1563)年に病死しています。
※このことも修理の精神的不調の要因の一つかもしれません。
ですから、ドラマ中で「長慶の子」と言われていたのは養嗣子(ようしし)・孫六郎義重〔のちの義継〕のことです。
※おそらく、ドラマ中でわざわざ養嗣子であるという説明をする必要がないとして、「子」と表現したのだと思います。
孫六郎義重は、修理の弟・十河又四郎一存の嫡子(ちゃくし)でした。
順当にいけば十河(そごう)家を継ぐはずでしたが、三好宗家の嫡子・筑前守義興の死によって急遽修理の養嗣子となり、三好家の家督(かとく)を継ぐことになりました。
急なことだったので、畿内(きない)での地盤が弱く(十河家の本拠地は讃岐(さぬき))若年であったため、自分ひとりの力で権力を発揮することができなかったようです。
そのため、三好家の重鎮であった松永弾正久秀の子、彦六久通や三好一門の重鎮・孫四郎長逸の力を借りざるを得なかったようです。
そのことで孫四郎長逸をはじめとする「三好三人衆(みよし・さんにんしゅう)」が台頭していくことになったようです。
「三好三人衆」とは修理長慶の父・筑前守元長の従弟に当たる、孫四郎長逸と右衛門大輔政生(※)、有力家臣であった岩成主税助友通の三人のことを言います。
※「政勝」や「政康」という諱(いみな)や、「宗渭」という法名などの方が有名です。
三好三人衆は上に書いたように、修理長慶亡き後の三好家を支える役割をしていたはずなのですが、将軍家義輝暗殺の2年後には当主・孫六郎義継をないがしろにし、独自の動きを始めています。
彼らのやったことと言えば、
・14代将軍・足利義栄擁立(ようりつ)
・孫六郎義継・松永弾正と対立、「東大寺大仏殿(とうだいじ・だいぶつでん)の戦い」で大仏殿を焼いてしまう
・織田上総介を支持した孫六郎・松永弾正に対し、徹底的に上総介と対立
・「信長包囲網」に参加し、野田城・福島城の戦いなどで上総介と戦う
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三好家の当主・孫六郎義継と対立したことにより三好家の権力弱体化を招き、織田上総介の台頭を招いたと言われています。
永禄(えいろく)12年(1569年)には三好宗渭が死去(※)、天正(てんしょう)元年(1573年)には岩成主税助が討ち死に、孫四郎長逸は行方不明となり、三好三人衆は瓦解しています。
※「野田城・福島城の戦い」のときには宗渭は没していますが、残り二人が「三人衆」と言われています。
※そのほか三好家で有名な人物と言えば神五郎政長がいます。神五郎は出家して「宗三」を名乗りました。彼は名刀「左文字(さもんじ)」をもっていたのですが、それがのち今川治部大輔義元の手に渡り「宗三左文字(そうさん・さもんじ)」と呼ばれ、さらにのち織田上総介の手に渡り「義元左文字(よしもと・さもんじ)」と呼ばれることになります。
その後三好氏は、豊太閤(ほうたいこう)秀吉の甥・秀次が修理長慶の叔父である孫七郎康長〔笑岩〕の養嗣子としてあとを継ぐなどしますが、結局彼は羽柴に復名してしまいました。
彼の娘で真田左衛門佐信繁(※)の側室(そくしつ)となったとされる隆清院(りゅうせいいん)の子(つまり、左衛門佐の子)が三好左馬之介幸信を名乗っています。
※いわゆる「真田幸村」です。
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また、孫六郎義継の子や、孫六郎の妹の子供の系統など、いくつかの系統が残っているようです。
※筆者の曾祖母は愛媛中予(えひめ・ちゅうよ)地域の三好家出身であり、三好長慶の末裔(まつえい)であるという伝承がありますが、どこまで信憑性がある話なのかは疑問です。
こんな風に、ドラマの背景にある知識が分かるとドラマをもっと楽しめます!
というわけでまだまだ説明したいことはたくさんありますが、今回は以上です!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
以下もご覧ください!
次回の記事を読みたい方は、下記リンクをタップしてください:
『麒麟がくる』第24回ー剣豪の系譜
※トップ画像はイメージです。
○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・征夷大将軍〔将軍家〕 足利 左近衛中将〔略称「左中将」。通称不明〕 源 朝臣 義輝〔義藤〕
せいいたいしょうぐん〔しょうぐんけ〕 あしかが さこんえのちゅうじょう〔略称「さちゅうじょう」。通称不明〕 みなもと の あそん よしてる〔よしふじ〕
・織田 上総介〔通称は三郎〕 平〔藤原、忌部〕 朝臣 信長
おだ かずさのすけ〔通称はさぶろう〕 たいら〔ふじわら、いんべ〕 の あそん のぶなが
・明智 十兵衛 源 光秀
あけち じゅうべえ みなもと の みつひで
・関白 羽柴〔木下〕 太政大臣〔通称は藤吉郎〕 豊臣 朝臣 秀吉
かんぱく はしば〔きのした〕 だじょうだいじん〔通称はとうきちろう〕 とよとみ の あそん ひでよし
・松永 弾正忠〔または弾正少弼。通称は不明〕 紀〔藤原?、源?〕 朝臣 久秀
まつなが だんじょうのじょう〔またはだんじょうのしょうひつ。通称は不明〕 き〔ふじわら?、みなもと?〕 の あそん ひさひで
・細川 兵部大輔〔通称は与一郎〕 源 朝臣 藤孝
ほそかわ ひょうぶのだゆう/ひょうぶのたいふ〔通称はよいちろう〕 みなもと の あそん ふじたか
・三好 修理大夫〔筑前守。通称は孫次郎〕 源 朝臣 長慶
みよし しゅりのだいぶ〔ちくぜんのかみ。通称はまごじろう〕 みなもと の あそん ながよし
・三好 筑前守〔通称はまごじろう〕 源 朝臣 義興
みよし ちくぜんのかみ〔通称はまごじろう〕 みなもとの あそん よしおき
・三好〔十河〕 左京大夫〔通称は孫六郎〕 源〔讃岐〕 朝臣 義継〔重存、重好、義存、義重〕
みよし〔そごう〕 さきょうのだいぶ〔通称はまごろくろう〕 みなもと〔さぬき〕 の あそん よしつぐ〔しげまさ、しげよし、よしまさ、よししげ〕
・十河 讃岐守〔通称は又四郎〕 讃岐〔源〕 朝臣 一存
そごう さぬきのかみ〔通称はまたしろう〕 さぬき〔みなもと〕 の あそん かずまさ
・松永 右衛門佐〔通称は彦六〕 紀〔藤原?、源?〕 朝臣 久通
まつなが うえもんのすけ〔通称はひころく〕 き〔ふじわら?、みなもと?〕 の あそん ひさみち
・三好 日向守〔通称は孫四郎〕 源 朝臣 長逸〔入道宗功〕
みよし ひゅうがのかみ〔通称はまごしろう〕 みなもと の あそん ながやす〔入道そうこう〕
・三好 筑前守〔通称不明〕 源 朝臣 元長
みよし ちくぜんのかみ〔通称不明〕 みなもと の あそん もとなが
・三好 下野守〔通称は右衛門大夫〕 源 朝臣 政生〔政勝、政康、入道宗渭〕
みよし しもつけのかみ〔通称はうえもんのだいぶ〕 みなもと の あそん まさなり〔まさかつ、まさやす、入道そうい〕
・岩成〔石成〕 主税助 石成 友通〔長信〕
いわなり〔いわなり〕 ちからのすけ いわなり の ともみち〔ながのぶ〕
・征夷大将軍〔将軍家〕 足利 左馬頭〔通称不明〕 源 朝臣 義栄〔義親、義勝〕
せいいたいしょうぐん〔しょうぐんけ〕 あしかが さまのかみ〔通称不明〕 みなもと の あそん よしひで〔よしちか、よしかつ〕
・三好 越後守〔通称は神五郎〕 源 朝臣 政長〔入道宗三〕
みよし えちごのかみ〔通称はしんごろう〕 みなもと の あそん まさなが〔入道そうさん〕
・羽柴〔三好〕 左大臣〔通称は孫七郎〕 豊臣〔源〕 朝臣 秀次〔信吉〕
はしば〔みよし〕 さだいじん〔通称はまごしちろう〕 とよとみ〔みなもと〕 の あそん ひでつぐ〔のぶよし〕
・三好 山城守〔通称は孫七郎〕 源 朝臣 康長〔入道咲岩、笑岩〕
みよし やましろのかみ〔通称はまごしちろう〕 みなもと の あそん やすなが〔入道しょうがん、しょうがん〕
・真田 左衛門佐〔通称は源二郎、源次郎〕 滋野〔源〕 朝臣 信繁〔幸村〕
さなだ さえもんのすけ〔通称はげんじろう、げんじろう〕 しげの〔みなもと〕 の あそん のぶしげ〔ゆきむら〕
・三好 左馬之介 源〔滋野〕 幸信
みよし さまのすけ みなもと〔しげの〕 の ゆきのぶ
☆武家の「通称」の普及を切に願います!
参考
歴史上の偉人、有名人と子孫の大百科
真田のよもやま話
ぴえーるのテレビブログ
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麒麟がくる 後編 (2) (NHK大河ドラマ・ガイド)
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NHK大河ドラマ歴史ハンドブック 麒麟がくる: 明智光秀とその時代 (NHKシリーズ NHK大河ドラマ歴史ハンドブック)
NHK大河ドラマ「麒麟がくる」完全ガイドブック PART2 (TOKYO NEWS MOOK TVガイド特別編集)
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次回は山岡荘八『徳川家康』第4巻について。
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Posted by 鷲谷 城州 at 20:00│Comments(0)
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