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2020年02月10日

『麒麟がくる』第1~2回―当時の三傑と明智家、リアルな戦の描写

明智光秀像


皆さんこんばんは。
今回は今年の大河ドラマ『麒麟がくる』第1~2回)に関しての楽しみ方をご紹介したいと思います。

この大河ドラマシリーズは今までは単に感想を書いていただけでした。

しかし、それではあんまりおもしろくないかなと思いまして、自分なりの楽しみ方をつらつらと述べてみます。

大河ドラマを見てみたけれど、歴史もよくわからないし、どう楽しんでいいのかわからない
歴史には興味あるけど、自分では積極的に勉強する気になれない、という方必見です!
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。


まずはあらすじ。



第1~2回のあらすじ


美濃国明智荘(あけちのしょう)(岐阜県可児(かに)市)、天文(てんぶん)16年(1547年)
明智十兵衛光秀(長谷川博己)は野盗(やとう)と戦っていた。
明智荘はたびたび野盗の襲来を受けており、十兵衛は何か根本的に変える必要性を感じていた。

叔父であり明智城主の明智光安(西村雅彦)に、美濃の実質的な国主である斎藤山城守利政(本木雅弘)の拠る稲葉山(いなばやま)城に行き、直談判させてもらえるように頼んだが、受け入れてもらえず。

十兵衛は単独で稲葉山城へ行くことにした。

そこで山城守の長男高政(伊藤英明)の協力で山城守と会うことになり、美濃の外を見てみたいと提案

十兵衛は、京、堺に向かうこととなった。

京から帰った十兵衛は、山城守との約束通り医者の望月東庵(もちづき・とうあん)(堺正章)を連れ帰った

しかし間もなく尾張の織田信秀が稲葉山城下である井ノ口(いのくち)に攻め寄せた

十兵衛は奮戦するも、突然山城守は兵を退けという命令を出し、十兵衛や高政はいぶかしむのであった。

ということで、


第1回「光秀、西へ」の感想


まずは感想を述べさせていただきたいと思います。

全体的には特に文句はなく、よくも悪くもないという感じでしょうか。

しかし、細かいところでは文句はあります笑

まず、十兵衛が斎藤山城守に会いに行った理由がよくわからない
ドラマの冒頭で明智荘が野盗に襲われているシーンが描かれていました。
それについて斎藤家の力で何とかしれくれ、と言いに行くのかと思ったら「美濃の外の世界が見てみたい!」。

辻褄がよくわかりません笑

そしてもう一つの文句は登場人物の名前の呼ばせ方

主人公の光秀は「十兵衛」斎藤道三は「山城守」と呼ばせているのに、なぜほかの人物は諱(いみな)で呼ばせている?

諱は神聖な名前だから、日常では使われない名前だって何度言えばわかるのだ!笑

参考記事:
武家や公家の名前について

おそらく当時はほとんどの人は周りの武士の諱を知らなかったと思います。

下にもう一度書きますが、
・明智光安→兵庫頭
・斎藤高政→新九郎
・松永久秀→弾正(だんじょう)
・三淵藤英→弾正左衛門尉(だんじょうさえもんのじょう)
・織田信秀→弾正忠
・織田信長→三郎
という通称(官職)がそれぞれあったのだから、それで呼ばせればいいのに。
※、松永弾正、三淵弾正、織田弾正は全員「弾正」なので、混乱を避けるために諱を使ったのはわからなくはないが、斎藤新九郎や織田三郎はなぜ諱?

ちなみに松永久秀は「松永弾正」としても有名なので、ちょっとした歴史ファンには「松永弾正」で通じます。

松永弾正に興味のある方は、下記リンクをクリックしてください
『麒麟がくる』第34回―松永弾正の出自




第1回の楽しみ方は?


で、肝心の楽しみ方です。
歴史ものとしてではなく単なるドラマとして、人間模様やフィクションとしてのストーリーを楽しむのならそれはそれでありです。
(現に、第1回はほとんどフィクションなのですが)

ですが、歴史的な背景を知っているともっと楽しみが広がります。

まず、天文16年という年がどういう年だったのか?
戦国の有名人たちは何をしていたのか?

まずは美濃のすぐ南で、十兵衛とも深い因縁でつながっている織田三郎信長
彼はこの前年の天文15年に元服したばかり。
天文16年には数え年14歳の少年で、初陣(ういじん)を果たしたのがこの年です。
ドラマにものちに出てくると思いますが、彼はまだ「うつけ者」と言われていた時期です。


関連記事:
本能寺の変に学ぶ―覚悟を決める

関連記事:
雑賀・根来合戦から学ぶ―つまらない職場を楽しくする方法


続いて羽柴藤吉郎の豊臣秀吉
彼は数え年11歳で、このころは何をしていたのかよくわかりません
家出をして今川家に仕えていた時期なのかもしれません。

そして徳川次郎三郎家康
彼は数え年6歳で、ちょうど人質として織田家に送りこまれていた時期に当たります。
このころ尾張の熱田(あつた)にいたんですね!

次は明智家と斎藤家との関係
ドラマの中では明智兵庫頭光安がなんとか斎藤家とうまくやっています。

十兵衛と新九郎高政も幼馴染という設定でうまくやっている感じですがとんでもない!

天文4年(1535年)(下記「戦国武将列伝Ω 1100記事」さんによる)、斎藤山城守利政(のちの道三)に明智城を攻められ、十兵衛の父の光継はそれで討ち死にしているんですよ。
(諸説あり&こののち弘治(こうじ)2年(1556年)に山城守と高政が対立した際には明智氏は山城守側についているという事実もある)

ドラマの中で光継が討ち死にしたという話はありましたが、その原因は山城守だったわけです。

さらにこれもドラマの中で描かれていますが、明智家は代々美濃の守護に任命されていた土岐家の一族です。
土岐家は山城守によって実権を奪われています。

そういう背景もあって、十兵衛は何となく山城守を好きになれないというようなことを言うわけですね。




第2回「道三の罠」の感想


いやぁ、のっけから山城守の「(山城守が十兵衛に出した京・堺への旅費は)半分返せよ」「返すあてがなければ(中略)戦で侍大将の首を2つ取れ」はよくわからなかったですね。

何を貸さなくても当時の侍の仕事は敵方の武将の首を取ることなので、旅費返済の代替にする意味が分からない。

山城守流の戯れでしょうか?

あと、山城守が土岐頼純を毒殺するときに唄った唄の歌詞ですが、「七里」の読み方は「ななり」ではなく「しちり」では?
というのも、「なな」という読みは「ななつ」の「なな」であり、数えるときに使う訓読みなんですよ。
(「しち」は中国から輸入した読み、つまり音読みです。現代中国語でいう「チー」ですね)

「ひと(つ)」「ふた(つ)」「み(っつ)」…と続いて「なな(つ)」ですから、「七里」を「ななり」と読むのであれば「一里」は「ひとり」、「二里」は「ふたり」と読まなきゃおかしいんですよ。

当時はそう読んだのでしょうか?

関連記事:
音読みと訓読みの区別―言語センスを鍛える

大抵の大河ドラマは最初の方は面白いのですが、今回は第2回から批判的に見てしまいました笑




第2回の楽しみ方


大河ドラマはあくまでフィクションなので、あんまり史実や当時の風俗にこだわりすぎるのはよくないのですが、やはり当時の歴史・風俗の知識があると楽しみ方は増えます

「ああ、今回はそういう解釈なのね」といった感じです。

で、演出には不満のある今回の大河ですが、時代考証にはちょっと感心してます。

というか、ここ15年くらいの間、大河は時代考証にはめちゃめちゃ力入ってますよね。
(この流れで登場人物の呼び名を通称or官職名(略称含む)に統一してほしいですね。わかる範囲で)

参考記事:
武家や公家の名前について

今回僕が感心したのは二点です。

一点は稲葉山城の構えと井ノ口の城下町の様子
最近よく言われているような気がしますが、今残っている「姫路(ひめじ)城」や「名古屋城」、「大阪城」のような構えは近代城郭の構えであって、安土桃山時代(元亀(げんき)4年(1573年)~)以降の城なんですよ。

それ以前の城は天守閣はなくて、現代的イメージとしては「城」というより「砦」といった感じです。

城下町についても、「城下町」というものができ始めたのがちょうどこのころなので、まだまだ発達しきっていない状態です。
金沢や津和野(つわの)みたいな(江戸や佐倉(さくら)もそうなんですが)、現代人がイメージする整備された城下町ではないんですね。

それがリアルで、というか僕のイメージ通りでうれしかったです。

あとは戦の仕方。
織田軍が「エイッ、エイッ、エイッ、エイッ」と掛け声をかけながら攻めてくるのがよかったですね。

今回は野戦ではなく城攻めだったという要因もありますが、映画『天と地と』に描かれた川中島(かわなかじま)の合戦のように平原で勢いのある大部隊が「ワー!!」と正面衝突するような派手な戦いは少なく、現代人が思っているよりも悠長なイメージがあります。

関連記事:
合戦における戦術について⑥川中島の合戦

戦に関してもそういった僕のイメージとぴったり合っていて、その点は満足しました。

そんな風に、当時の状況をイメージできるととても面白いんですよ。

だから、大河ドラマを通して歴史に少しでも興味をもった方は、ゆっくりでいいんで当時の時代状況などの知識を身に着けるとより楽しめます!

今回は以上です!

※画像はイメージです。

○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・明智 十兵衛 源 光秀
あけち じゅうべえ みなもとの みつひで
・明智 兵庫頭(通称は弥次郎) 源 朝臣 光安
あけち ひょうごのかみ(通称はやじろう) みなもとの あそん みつやす
・斎藤 山城守(通称は新九郎) 藤原 朝臣 利政(入道道三。他多数)
さいとう やましろのかみ(通称はしんくろう) ふじわらの あそん としまさ(入道どうさん。他多数)
・斎藤 新九郎 藤原 高政(義龍)
さいとう しんくろう ふじわらの たかまさ(よしたつ)
・松永 弾正忠(または弾正少弼。通称は不明) 紀?(藤原?源?) 朝臣 久秀
まつなが だんじょうのじょう(またはだんじょうのしょうひつ。通称は不明) きの?(ふじわらの?みなもとの?) あそん ひさひで
・三淵 弾正左衛門尉(または弥四郎) 源 藤英
みつぶち だんじょうさえもんのじょう(またはやしろう) みなもとの ふじひで
・織田 弾正忠(通称は三郎) 藤原(忌部) 朝臣 信秀
おだ だんじょうのちゅう(通称はさぶろう) ふじわらの(いんべの) あそん のぶひで
・織田 三郎 平(藤原、忌部) 信長
おだ さぶろう たいらの(ふじわらの、いんべの) のぶなが
・徳川 次郎三郎 源 家康
とくがわ じろうさぶろう みなもとの いえやす
・羽柴 藤吉郎 平(のち豊臣) 秀吉
はしば とうきちろう たいらの(のちとよとみの) ひでよし
・明智 (通称、官職不明) 源 光継
あけち (通称、官職不明) みなもとの みつつぐ
・土岐 次郎 源 頼純
とき じろう みなもとの よりずみ
☆武家の「通称」の普及を切に願います!

参考
第1回
Pouch
光秀の肖像画公開について
岸ぶら
明智光秀の生涯
戦国武将列伝Ω 1100記事
第2回
ドラマ@見とり八段

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Posted by 鷲谷 城州 at 22:00│Comments(2)テレビ
この記事へのコメント
早速お邪魔しました!

何故諱で呼ぶー?
受けました。

他にも歴史ヲタの大河ドラマ突っ込みあるあるが満載ですね。
分かります。

大河ドラマが好きだからこその、
愛あるツッコミ、なんですよね!

麒麟がくるはコロナで苦境ですが、
是非頑張って欲しいです
Posted by ゆーくんまま at 2020年04月22日 00:05
>ゆーくんままさん
コメントありがとうございます!

おっしゃる通りで、(あくまで僕の感覚になってしまいますが)大河ドラマに面白くなってほしくてツッコミを入れています笑

回を重ねてどんどん面白くなっているので、このまま疾走しきってほしいですね。
Posted by Sosuke WashiyaSosuke Washiya at 2020年04月27日 22:42
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