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2020年09月05日

大河ドラマを楽しむ方法(14)(『麒麟がくる』総集編第1回)

春日山城


皆さんこんばんは。
今年の大河ドラマ『麒麟がくる』に関しての楽しみ方を解説していたこのシリーズですが、ドラマの放送休止中の総集編放送に伴い、『麒麟がくるまでお待ちください』の楽しみ方を振り返りたいと思います。

番組を見てみたけれど、歴史もよくわからないし、どう楽しんでいいのかわからない
歴史には興味あるけど、自分では積極的に勉強する気になれない、という方必見です!

【『麒麟がくる』の楽しみ方】
・第1~2回  ・第3~4回   ・第5~6回  ・第7~8回
・第9~10回  ・第11~12回
第13~14回  第15~16回
第17~18回  第19~20回
第21回  『麒麟がくるまでお待ちください』第2~3回
『麒麟がくるまでお待ちください』第4回

まずはあらすじ
美濃国明智荘(岐阜県可児市)、天文16(1547)年
明智十兵衛光秀(長谷川博己)は野盗と戦っていた。
明智荘はたびたび野盗の襲来を受けており、十兵衛は何か根本的に変える必要性を感じていた。

斎藤山城守利政(本木雅弘)の拠る稲葉山城に行き直談判し、話の流れで十兵衛は一路、京、堺に向かうこととなった。

京から帰った十兵衛は、山城守との約束通り医者の望月東庵(堺正章)を連れ帰ったが、間もなく尾張の織田弾正忠信秀(高橋克典)が稲葉山城下である井ノ口に攻め寄せ、十兵衛は奮戦する。

斎藤山城守利政は戦の裏で暗躍していた守護の土岐次郎頼純(矢野聖人)を暗殺した。

一方の明智十兵衛光秀は望月東庵の助手・駒(門脇麦)を連れて明智荘に戻り、しばし平穏な日々を過ごす

その後、東庵山城守に尾張の織田信秀の情勢を探るように命じられる

十兵衛は三河出身だという農民の菊丸(岡村隆史)を連れて東庵を追って尾張に潜入した。

東庵から情報を手に入れた十兵衛たちであったが、美濃への帰り道で何者かに襲われるのであった。

尾張から戻った明智十兵衛(長谷川博己)は鉄砲の構造を知るために明智荘出身の鉄砲鍛冶伊平次(玉置玲央)という男を探した。

斎藤山城守(本木雅弘)の許可を得て一路京へ向かうが、そこで細川藤孝(眞島秀和)という武士と出会う
彼は将軍家足利義輝(向井理)の側近で、堺で出会った三淵藤英(谷原章介)の弟であった。

遊女屋にいた伊平次に鉄砲の分解を頼んだ十兵衛だったが、松永弾正久秀(吉田鋼太郎)の主人である三好長慶(山路和弘)襲撃の計画があることをきいてしまう

長慶と久秀の救援のために三淵藤英を訪れる十兵衛。

将軍家義輝の命令により藤孝は十兵衛のあとを追う

十兵衛と藤孝は長慶と久秀の救援に間に合うが、十兵衛は負傷してしまう…

京にて三好長慶を助けるために負傷した明智十兵衛光秀。
駒の治療を受けて故郷美濃に戻った十兵衛は山城守に、帰蝶を織田家に嫁ぐように説得してほしい、と頼まれるのであった。

十兵衛は、織田信長の人柄を見極めるため再び尾張に潜入するのであった。

尾張に潜入した十兵衛は、織田信長が漁から帰ってきたことに衝撃を受け、その印象を美濃に持ち帰る。

明智荘で、帰蝶に尾張に嫁ぐべきか否かを聞かれる十兵衛は、尾張に行くべきと伝える

ということで、


<『麒麟がくる』総集編第1回の感想>


第21回までを見切った時点では、僕はすっかり『麒麟がくる』の虜となっていましたが、放送開始当初はそうでもありませんでした。

そこで、総集編第1回でまとめられた本編第1~8回についての感想をかいつまんでみていきたいと思います。

<第1回「光秀、西へ」の感想>


全体的に悪くはないと思ったものの、細かいところでは文句がありました笑

まず、十兵衛が斎藤山城守に会いに行った理由について、明智荘が野盗に襲われているから斎藤家の力で何とかしれくれ、と言いに行くのかと思ったら「美濃の外の世界が見てみたい!」。

辻褄がよくわかりませんでした 笑

そしてもう一つの文句は登場人物の名前の呼ばせ方

歴史ドラマではよくあることですが、諱(いみな)で呼ばせている人と通称・官職名で呼ばせている人がいるのはやっぱり気持ち悪いです 笑

参考1:「武家や公家の名前について

<第2回「道三の罠」の感想>


この回は細かい点なのですが、山城守が土岐頼純を毒殺するときに唄った唄の歌詞が気になりました。

「七里」の読み方は「ななり」ではなく「しちり」では?

もしかしたら、当時はそう読んだかもしれません。

参考2:「大河ドラマを楽しむ方法(1)(『麒麟がくる』第1~2回)

<第3回「美濃の国」の感想>


他の方も下記ブログでおっしゃっていますが、このころの明智十兵衛の事績は不明なので、今のうちに思う存分フィクションをやればいいと思いました。

ただ、面白いか面白くないかと言えば、展開が緩すぎて面白くなかったです。
まぁ、まだ始まったばかりでエンジンがかかっていないということで僕の中では全然ありでした!

<第4回「尾張潜入指令」の感想>


まぁ面白かったかな、というのが感想でした 笑

皆さんも同じように言っておられますが、菊丸の正体が気になりました。
この頃は明智左馬助(さまのすけ)秀満ではないかという説があり、さまざまな憶測が飛んでいました。

参考3:「大河ドラマを楽しむ方法(2)(『麒麟がくる』第3~4回)

<第5回「伊平次を探せ」の感想>


面白くなかったです 笑
平成8年の大河ドラマ「秀吉」や平成26年の「軍師官兵衛」のようなわくわく感がありませんでした。

参考4:「大河ドラマを楽しむ方法(13)(『麒麟がくるまでお待ちください』第4回)

また、細川与一郎藤孝との出会い方や、三淵弾正藤英、松永弾正久秀との再会が唐突すぎるなとは思いました。

<第6回「長慶襲撃計画」の感想>


与一郎藤孝と刀を抜きあった十兵衛があんなに簡単に与一郎藤孝と和解して、松永弾正久秀のもとに行くというご都合主義展開はなんとも不満でした笑

しかし、連歌会の描写は良かったです!
BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン)』さんも言っておられますが、連歌会の描写というのは僕もあまり見たことがなかったので新鮮でした。

ただ、屋内戦の描写でみんな太刀で戦っていたと思いますが、通常の太刀の長さだと天井とか梁とかに引っかかって屋内でうまく戦えないのではないかと思いました。

参考5:「大河ドラマを楽しむ方法(3)(『麒麟がくる』第5~6回)

<第7回「帰蝶の願い」の感想>


十兵衛をめぐるフィクション部分が史実の重厚さに負け始めていると感じました。

そもそもが麦との淡い恋物語が面白くないですし、帰蝶が十兵衛のことが好きなのはいいのですが、それが恋愛感情なのかどうか微妙な描き方をしているところもいらないと思いました。

ただ、これについては後程致し方ない状況だったことがわかりました。

<第8回「同盟のゆくえ」の感想>


美濃パートはやっぱり面白くありませんね笑

何が面白くないかというと、上で述べたように駒と帰蝶の恋愛パートですね。

それと、僕としては帰蝶は十兵衛に恋心を抱いているとは思えないんですが、どうでしょうか?

山城守利政と高政との軋轢(というか高政が勝手に山城守に反発しているだけですが)は良かったと思いました

参考6:「大河ドラマを楽しむ方法(4)(『麒麟がくる』第7~8回)

<『麒麟がくる』第1~8回の楽しみ方>


<第1回の楽しみ方―同時代の人物は何をしていたか?―>


ドラマの舞台となった天文16年という年がどういう年だったのか?
戦国の有名人たちは何をしていたのか?

ということに言及しました。

まずは織田三郎信長
彼はこの前年の天文15年に元服したばかり。
天文16年には数え年14歳の少年で、初陣を果たしたのがこの年です。
ドラマにものちに出てくると思いますが、彼はまだ「うつけ者」と言われていた時期です。

続いて羽柴藤吉郎の豊臣秀吉
彼は数え年11歳で、このころは何をしていたのかよくわかりません
家出をして今川家に仕えていた時期なのかもしれません。

そして徳川次郎三郎家康
彼は数え年6歳で、ちょうど人質として織田家に送りこまれていた時期に当たります。
このころ尾張の熱田にいたんですね!

<第2回の楽しみ方―社会風俗について―>


放送当時、僕は演出には不満があったのですが、時代考証にはちょっと感心してました。

今回僕が感心したのは二点です。

一点は稲葉山城の構えと井ノ口の城下町の様子
この頃の城は天守閣はなくて、現代的イメージとしては「城」というより「砦」といった感じです。

それがリアルで、というか僕のイメージ通りでうれしかったです。

あとは戦の仕方。
織田軍が「エイッ、エイッ、エイッ、エイッ」と掛け声をかけながら攻めてくるのがよかったですね。

戦に関してもそういった僕のイメージとぴったり合っていて、その点は満足しました。

参考7:「大河ドラマを楽しむ方法(1)(『麒麟がくる』第1~2回)

<第3回の楽しみ方―美濃の情勢―>


斎藤道三の台頭について簡単にご説明しました。

斎藤道三台頭以前の美濃は

【美濃の守護就任のための争い図】
土岐頼武 vs 土岐頼芸
斎藤利良   長井長弘

という状態になっていました。

この抗争の結果、左京大夫(当時。さきょうのだいぶ)頼芸の陣営が勝利します。
その後、長井越中守長弘が死んで息子の景弘が長井家を継ぎますが、いつの間にか家臣の長井新九郎規秀が長井家を乗っ取ります。

そのうち守護代の斎藤大和守利良も死んで、なぜか斎藤家を長井新九郎が継ぎます。

この長井新九郎がのちの斎藤山城守利政、つまり道三なんですね。

<第4回の楽しみ方―当時の織田家の状況―>


三郎信長の織田家(世襲の役職名を取って「織田弾正忠家」または「勝幡(しょばた)織田家」と言われています)は弾正忠信秀の父信定(彼ももちろん「弾正忠」です笑)の代にようやく勢力を伸ばしてきた家です。

織田家は美濃の斎藤家と同じように守護代の家でしたが、代々守護代を世襲していたのは織田伊勢守家(岩倉織田家)と言われる嫡流の家でした。
弾正忠信秀の家はその伊勢守家の家来の大和守家(清州織田家)のそのまた家来の家でした。

つまり、信秀や信長の弾正忠家が尾張の実権を握るには、織田大和守家、伊勢守家、斯波家の三家を打倒しなくてはいけなかったんですね。

そんな中で、弾正忠は三河にも美濃にも進出していたわけです。

なかなかの離れ業ですが、尾張国内でも戦っている、三河で松平家や今川家と戦っている、美濃では斎藤家と戦っている、というように周りは敵だらけだったわけですね。

そう考えるとこののちの織田家と斎藤家との関係に筋道が通っていきますし、信秀があまり美濃に深入りしなかった理由もわかります。

参考8:「大河ドラマを楽しむ方法(2)(『麒麟がくる』第3~4回)

<第5回の楽しみ方―当時の京都の情勢―>


まず前提として、

・当時の武士に江戸時代の武士のような忠義の心はなかった!

ということをわかっていないと京都の情勢を理解するのは難しいです。

基本的に当時の武士たちは「殿様のため」というよりも、個々の武将単位の利害判断で動いている感じです。

武士の主従関係を現代の雇用関係に例えると、江戸時代は終身雇用のイメージですが、戦国時代は武将個人単位の契約的要素が強いようです。

というわけなので京都における具体的な敵対関係については下記第6回の項目で説明したいと思います。

<第6回の楽しみ方―具体的な京都の勢力模様―>


というわけで、当時の京都をめぐる情勢の確認を図で示したいと思います。
詳しい解説は

大河ドラマを楽しむ方法(3)(『麒麟がくる』第5~6回

をご覧ください。

①大永7年ごろの勢力図
大永7年ごろの京都勢力図


②天文元(1532)年ごろの勢力図
天文元年ごろの京都勢力図


③天文12(1543)年ごろの勢力図
天文12年ごろの京都勢力図


④天文15(1546)年ごろの勢力図
天文15年ごろの京都勢力図


⑤天文18(1549)年ごろの勢力図
天文18年ごろの京都勢力図


てな感じで対立関係が目まぐるしく変わっていました。

<第7回の楽しみ方―尾張国内の政治情勢―>


そして、このとき解説したのは当時の尾張の政治情勢です。

当時守護を担当していたのは斯波左兵衛佐(さひょうえのすけ)義統(よしむね)

織田家は守護を補佐する守護代という役職を担当していました。

しかし、代々守護代を担当していたのは「織田伊勢守家(岩倉織田家)」と呼ばれる嫡流(本家のこと)です。

織田家の一族にはさらにその下に「織田大和守家(清州織田家)」と呼ばれる家があり、大和守家は本来伊勢守家の家来だったのですが、16世紀前半にごねて、尾張半分の守護代となっています
(守護代が同時に二人いたということです)

これが今回名前だけ登場した「織田彦五郎(信友)」の家です。

弾正忠信秀は「織田弾正忠家(勝幡織田家)」と呼ばれる家の当主で、大和守家のそのまた家来となっています。

参考として、下図をご覧ください。
尾張守護関係図


しかしこのままだと「守護」とか「守護代」とか専門用語が多くてわかりにくいかもしれないので、現代の会社組織になぞらえてみました笑↓
株式会社尾張守護 組織図

※「営業」「人事」などはわかりやすくするために当てはめただけで、実際の役割とは関係がありません。

「株式会社尾張守護」の営業部長である弾正忠信秀さんが、副社長と社長を飛び越えて、勝手に代表印を持ち出して「株式会社美濃守護」の副社長とアライアンス(業務提携)契約を交わそうとしているわけです。

<第8回の楽しみ方―当時の三河情勢―>


物語中で土岐美濃守頼芸が「今川義元を敵に回したくない」みたいな発言をしていたと思います。

駿河(静岡県)にいるはずの今川治部大輔(じぶのだゆう)義元が、尾張(愛知県西部)や美濃(岐阜県南部)にそんなに圧迫感を与えているのか疑問に感じると思いますので、その辺を説明したいと思います。

まず前提知識としてもっておきたいのが、当時の「国人領主」のイメージです。

ドラマで描かれている天文末期(1540年代末)のころはまだまだ統一が進んでおらず、郡や市町村レベルの領主たちが大きな力をもっていました。

それがいわゆる「国人領主」です。
(厳密にいうと織田氏は国人領主化していないのですが、ここではその説明は割愛します)

というわけで、ドラマの舞台の天文17年ごろの有力国人領主(一部は「国人」ではありませんが)を勢力図にしてみるとこうなります。
※勢力範囲は大体です。
天文17年尾張三河勢力図

(参考:「ドンちゃんの他事総論」)

青系が織田弾正忠家(勝幡織田氏)、つまり弾正忠信秀や三郎信長側の勢力。
赤系が今川治部大輔(義元)側の勢力です。

三河においては何となく今川方についている勢力の方が多いのが分かります。
(そのうえ、渥美半島の中程にある田原城は今川氏直轄となっています)

今川氏は駿河の大名とはいえ、傘下の国人衆を伝ってすぐにでも三河・尾張国境に出陣できてしまう状況なんですね。

参考9:「大河ドラマを楽しむ方法(4)(『麒麟がくる』第7~8回)

こんな感じで、『麒麟がくる』第1~8回分の感想と解説の総集編をやらせていただきました。

ドラマの背景にある知識が分かるとドラマをもっと楽しめます!

まだまだ説明したいことはたくさんありますが、今回は以上です!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

以下もご覧ください!

※トップ画像はイメージです。

○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・明智 十兵衛 源 光秀
・斎藤 山城守(通称は新九郎) 藤原 朝臣 利政(道三。他多数)
(長井 新九郎 藤原 規秀)
・織田 備後守(弾正忠。通称は三郎) 藤原(忌部) 朝臣 信秀
・土岐 次郎 源 頼純
・細川 与一郎 源 藤孝
・征夷大将軍(将軍家) 足利 左近衛中将(略称「左中将」。通称不明) 源 朝臣 義藤(義輝)
・三淵 弾正左衛門尉(または弥四郎) 源 藤英
・松永 弾正忠(または弾正少弼。通称は不明) 藤原(源?) 朝臣 久秀
・三好 筑前守(通称は孫次郎) 源 朝臣 長慶
・織田 上総介(通称は三郎) 平(藤原、忌部) 朝臣 信長
・明智 左馬助(通称は弥平次) 源 朝臣 秀満
・羽柴 藤吉郎 平(のち豊臣) 秀吉
・徳川 次郎三郎 源 家康
・土岐 修理大夫(通称は次郎) 源 朝臣 頼武
・斎藤 大和守(通称は新四郎) 藤原 朝臣 利良(読みは「としなが」)
・土岐 美濃守(通称不明。左京大夫) 源 朝臣 頼芸
・長井 越中守(通称は藤左衛門尉) 藤原 朝臣 長弘
・長井 (官職・通称不明) 藤原 景弘
・斯波 左兵衛佐(通称不明) 源 朝臣 義統(義元)
・織田 大和守(通称は彦五郎) 藤原(忌部) 朝臣 信友
・今川 治部大輔(通称不明) 源 朝臣 義元
☆武家の「通称」の普及を切に願います!

↓時代背景のイメージが身についてきたなと思ったら下記リンクのドラマガイドなどでドラマの内容を復習してみてください!



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参考
くわちゃんの独り言
やまもも書斎記
真田のよもやま話

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次回は『一枚のめぐり逢い』について。

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Posted by Sosuke Washiya at 20:00│Comments(0)テレビ
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