さぽろぐ

映画・TV・音楽  |その他の都道府県・海外

ログインヘルプ


2020年10月19日

『麒麟がくる』第24回ー剣豪の系譜

雪降る夜明けの京都市東山の二年坂を下る
《令和5年7月3日更新》

皆さんこんばんは。
今回は今年の大河ドラマ『麒麟がくる』第23回に関しての楽しみ方を解説したいと思います。

大河ドラマを見てみたけれど、歴史もよくわからないし、どう楽しんでいいのかわからない
歴史には興味あるけど、自分では積極的に勉強する気になれない、という方必見です!
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。

【『麒麟がくる』の楽しみ方】
・第1~2回―当時の三傑と明智家/リアルな戦の描写
・第3~4回―美濃の情勢/織田家の状況
・第5~6回―当時の京都の情勢
・第7~8回―尾張国内の政治情勢/当時の三河情勢
・第9~10回―土岐一族とは/織田家の血縁関係
・第11~12回―なぜ朽木谷か?/信長家臣団の萌芽
・第13~14回―戦国最強の傭兵団/村木砦の戦い
・第15~16回―織田一族の関係性/新九郎高政の重臣たち
・第17~18回―斎藤家の血族関係/永禄元年までの織田家
・第19~20回―足利将軍家の動き/桶狭間の戦い
・第21回―松平蔵人の親族
・『麒麟がくるまでお待ちください』第2~3回―斎藤道三二代説/前田利家の生涯
・『麒麟がくるまでお待ちください』第4回―羽柴藤吉郎の名称
・総集編第1回
・第22回ー三好氏の血縁関係
・第23回ー三好氏の血縁関係(2)

まずはあらすじ。

将軍家足利義輝(向井理)は京・二条御所(きょう・にじょうごしょ)にて三好(みよし)家の凶刃(きょうじん)に倒れた。
越前(えちぜん)でその知らせを聞いた明智十兵衛光秀(長谷川博己)は怒り、朝倉左衛門督義景(ユースケ・サンタマリア)の許しを請うて大和(やまと)へ向かう。

大和で松永弾正久秀(吉田鋼太郎)を糾弾する十兵衛。
久秀は、三好の暴挙は自分の落ち度だという。
十兵衛は怒りの矛先を久秀に向けそうになるも回避し、久秀は十兵衛に近江・甲賀(おうみ・こうか)へ向かえという。
甲賀には前将軍家義輝の弟・一乗院覚慶(滝藤賢一)が匿(かくま)われているという。
そして、越前の朝倉義景から久秀に届いた文によれば、覚慶の器如何によっては義景は越前で引き受けてもよいと言っているとのこと。

甲賀に着いた十兵衛は覚慶に謁見した。
覚慶は「将軍(しょうぐん)」という役職を重圧に感じており、大和から出てきたのも「死にたくない一心で逃げてきた」という。

覚慶の器に疑問を感じた十兵衛は、越前に帰った。
十兵衛は、義景の質問に「(義昭の器は)いかがなものかと思う」と答えるのであった。

ということで、


第24回「将軍の器」の感想


ついに迎えた将軍家・義輝の最期でしたが、まぁ、あれもありかな、と思いました。

義輝の最期といえばやはり、畳の上にもてる限りの刀を刺し、次々と襲い掛かる三好勢を斬って斬って、刃こぼれしたら刀を替えて、斬って斬って…と鹿島新當流(かしましんとうりゅう)塚原卜伝の弟子として思う存分剣術の腕を奮う…というイメージでした。

しかし、今回の義輝は薙刀(なぎなた)をもち、舞うように三好勢を斬っていきました。
優雅ではあったものの、上記剣豪としての鮮やかな手並みはきちんと描かれていてよかったと思います。
※「畳の上に刀を刺し…」という話はのちの創作の可能性が高く、どちらかというと薙刀説の方が信ぴょう性が高いようです。

そしてやはり障子に挟み込まれて串刺し、は結構ショッキングですよね。

あと第22回の記事ではスルーしてしまったのですが、前々から気になっていたのが、伊呂波太夫(いろはだゆう)(尾野真千子)が関白近衛前久(本郷奏多)のことを「前様(さきさま)」と呼ぶことですね。

第22回についての記事を読みたい方は、下記リンクをタップしてください:
『麒麟がくる』第22回―三好氏の血縁関係

いくら姉弟(きょうだい)みたいに育ったとは言え、日常会話で(いみな)の一文字目を取って「前様」はないと思います。
※「坂本龍馬」を「直様(なおさま)」と呼ぶような感じです。誰?って感じですよね。リアルタイムではほとんど諱は使わなかったはずですし、諱で呼ぶこと自体大変失礼な行為です。
(龍馬の諱は直陰、または直柔)


関連記事:
武家や公家の名前について

ただ、近衛前久の場合、幼名も通称〔仮名〕もわからない(というか通称がつく前に任官している)ので、無理もない話なのかなと思っています。




第24回の楽しみ方―剣豪の系譜―


今回は、剣豪(けんごう)将軍・義輝が三好家の凶刃に倒れたということで、剣豪の師弟関係を追っていこうかなと思います。

大河ドラマ中では全く触れられていないのですが、この師弟関係が当時の武将(ぶしょう)たちの隠れたコネクションとなっていたりして、政治的視点だと見えないつながりが見えてきたりするので面白いです。

まずは、将軍家義輝の師である塚原卜伝について。

卜伝は常陸国鹿島(ひたちのくに・かしま)の出身で、鹿島神宮(かしまじんぐう)の卜占(ぼくせん)を担っていた卜部(うらべ)氏の一族である吉川(よしかわ)家の生まれです。
その後、桓武平氏大掾氏流(かんむ・へいし・だいじょうし・りゅう)の塚原(つかはら)家に養子に入ったため、塚原の名字を名乗りました。諱は高幹といいます。

父、養父、それぞれから剣術の手ほどきを受け、武者修行のため日本全国を旅します。

その中で試合により評判を作っていき、多くの弟子をもちました。

↓塚原卜伝より始まる師弟関係
※クリックで拡大されます。
剣豪の系譜

卜伝の直弟子(じきでし)として将軍家義輝の他に、

・総見公織田信長・北畠侍従信雄父子によって暗殺された北畠権中納言具教
・さりげなく大河に登場することの多い、今川治部大輔義元の嫡子(ちゃくし)治部大輔氏真

などがいるんですね。


関連記事:
天正伊賀の乱から学ぶ―リーダーがいないと組織はどうなる?

関連記事:
徳川家康の生涯を貫く思想―山岡荘八『徳川家康』第4巻

関連記事:
第二次高天神城の合戦-勝者の戦法を徹底的にトレースせよ

関連記事:
『おんな城主直虎』第1~5回―子ども時代はセオリー通り

関連記事:
大河ドラマ『おんな城主直虎』は大丈夫なの?

関連記事:
信長の野望 嵐世記(8)


そしてなんと、『麒麟がくる』でも活躍中の細川兵部大輔藤孝(幽斎)もいるんですね。
しれっとした顔して、実は将軍家義輝と兄弟弟子で剣の達人でした 笑
(知ってた 笑)


関連記事:
『麒麟がくる』第5~6回―当時の京都の情勢

関連記事:
『麒麟がくる』第35回―細川藤孝について


他には武田信玄の軍師だったとされる山本勘助晴幸なんかも卜伝の弟子なんですね。

そして松岡兵庫助則方という人物は卜伝の奥義「一の太刀」を伝授されたといい、のち、それを大御所徳川家康に伝授したといいます。

また、上泉伊勢守信綱新陰流(しんかげりゅう)の開祖として有名ですが、彼も卜伝の弟子だという説があるんですね。
※新陰流サイドには上泉伊勢守が卜伝の弟子だったという話はないようです。

その上泉伊勢守の弟子として高名なのが柳生石舟斎宗厳で、彼は新陰流を昇華して柳生新陰流(やぎゅう・しんかげりゅう)を作りました。
大御所家康は石舟斎からも剣術の伝授を受けています。

そして石舟斎の弟子には毛利権中納言輝元もいるんですね。


関連記事:
石山合戦から学ぶ―「理念」のもつパワー

関連記事:
大航海時代に日本が侵略されなかった理由(8)ー本能寺の変直前の統一状態について


石舟斎の子である但馬守宗矩は大御所家康と近しい関係になり、徳川将軍家兵法指南役(しょうぐんけ・へいほう・しなん・やく)となっています。
さらに但馬守は多数の大名(だいみょう)にも手ほどきをしており、有力な情報やコネクションをもっていたとされます。

こんな感じで、剣術の師弟関係を追っていくと武将同士の表面的には見えない関係が浮き彫りになって面白いです。

こんな風に、ドラマの背景にある知識が分かるとドラマをもっと楽しめます!

というわけでまだまだ説明したいことはたくさんありますが、今回は以上です!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

以下もご覧ください!

○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・征夷大将軍〔将軍家〕 足利 左近衛中将〔略称「左中将」。通称不明〕 源 朝臣 義輝〔義藤〕
せいいたいしょうぐん〔しょうぐんけ〕 あしかが さこんえのちゅうじょう〔略称「さちゅうじょう」。通称不明〕 みなもと の あそん よしてる〔よしふじ〕
・明智 十兵衛 源 光秀
あけち じゅうべえ みなもと の みつひで
・朝倉 左衛門督〔通称は孫次郎) 日下部 朝臣 義景
あさくら さえもんのかみ〔通称はまごじろう〕 くさかべ の あそん よしかげ
・松永 弾正忠〔または弾正少弼。通称は不明〕 紀〔藤原?源?〕 朝臣 久秀
まつなが だんじょうのじょう〔またはだんじょうのしょうひつ。通称は不明〕 き〔ふじわら?みなもと?〕 の あそん ひさひで
・関白 近衛 左大臣〔通称不明〕 藤原 朝臣 前久〔晴嗣、前嗣〕
かんぱく このえ さだいじん〔通称不明〕 ふじわら の あそん さきひさ〔はるつぐ、さきつぐ〕
・塚原〔吉川〕 土佐守〔通称は新右衛門〕 平〔卜部〕 朝臣 高幹〔朝孝。卜伝〕
つかはら〔よしかわ〕 とさのかみ〔通称はしんうえもん〕 たいら〔うらべ〕 の あそん たかもと〔ともたか。ぼくでん〕
・織田 右大臣〔通称は三郎〕 平〔藤原、忌部〕 朝臣 信長〔総見公〕
おだ うだいじん〔通称はさぶろう〕 たいら〔ふじわら、いんべ〕 の あそん のぶなが〔そうけんこう〕
・北畠〔織田〕 侍従〔通称は三介〕 源〔平、藤原、忌部〕 朝臣 具豊〔信雄〕
きたばたけ〔おだ〕 じじゅう〔通称はさんすけ〕 みなもと〔たいら、ふじわら、いんべ〕 の あそん ともとよ〔のぶかつ〕
・北畠 権中納言〔通称不明〕 源 朝臣 具教
きたばたけ ごんのちゅうなごん〔通称不明〕 みなもと の あそん とものり
・今川 治部大輔〔通称不明〕 源 朝臣 義元
いまがわ じぶのたゆう〔通称不明〕 みなもと の あそん よしもと
・今川 治部大輔〔通称は彦五郎〕 源 朝臣 氏真
いまがわ じぶのたゆう〔通称はひこごろう〕 みなもと の あそん うじざね
・細川 兵部大輔〔通称は与一郎〕 源 朝臣 藤孝
ほそかわ ひょうぶのたゆう〔通称はよいちろう〕 みなもと の あそん ふじたか
・武田 大膳大夫〔通称は太郎〕 源 朝臣 晴信〔入道信玄〕
たけだ だいぜんのだいぶ〔通称はたろう〕 みなもと の あそん はるのぶ〔入道しんげん〕
・山本 勘助〔菅助〕 源 晴幸
やまもと かんすけ〔かんすけ〕 みなもと の はるゆき
・松岡 兵庫助〔通称不明〕 卜部〔占部〕 (朝臣?) 則方
まつおか ひょうごのすけ〔通称不明〕 うらべ〔うらべ〕 の (あそん?) のりかた
・征夷大将軍 徳川 太政大臣〔通称は次郎三郎〕 源 朝臣 家康
せいいたいしょうぐん とくがわ だじょうだいじん〔通称はじろうさぶろう〕 みなもと の あそん いえやす
・上泉 伊勢守〔通称不明〕 藤原 朝臣 信綱
かみいずみ いせのかみ〔通称不明〕 ふじわら の あそん のぶつな
・柳生 但馬守〔通称は右衛門等多数〕 菅原 朝臣 宗厳〔石舟斎〕
やぎゅう たじまのかみ〔通称はうえもん等多数〕 すがわら の あそん むねよし〔せきしゅうさい〕
・毛利 権中納言〔通称は少輔太郎〕 大江 朝臣 輝元
もうり ごんのちゅうなごん〔通称はしょうのたろう〕 おおえ の あそん てるもと
・柳生 但馬守〔通称は又右衛門〕 菅原 朝臣 宗矩
やぎゅう たじまのかみ〔通称はまたうえもん〕 すがわら の あそん むねのり
☆武家の「通称」の普及を切に願います!

参考
ぴえーるのテレビブログ
今日は何の日?徒然日記
真田のよもやま話

☆「この人の書いてること、ちょっと面白いかも」と思った方はぜひメルマガ登録してみてください!

歴史を学んで、知識をつけるだけではなく「歴史を活かして自分の生きたい人生を歩む」というテーマで、ブログでは語れない話などを書いています。

↓こちらの画像をタップしてください↓
歴史愛通信

また、メルマガに登録してメルマガに記載されているメールアドレス宛にリクエストを送っていただければ、順次お応えします。


・○○(武将、合戦等)について語ってほしい
・大河ドラマ(『軍師官兵衛』以降)について語ってほしい
・今、○○について悩んでいるが、どの武将を参考にしたらいいか

…等々

ブログと違ってほぼリアルタイム配信なので、会話をしているかのようなコミュニケーションが楽しめます!

登録、お待ちしています!

※メルマガが迷惑メールフォルダや「プロモーション」フォルダに入っている可能性があります。
不定期配信なので、ちょこちょこチェックして、迷惑メールフォルダ等に入らないように設定しておいてください。



↓時代背景のイメージが身についてきたなと思ったら下記リンクをタップしてドラマガイドなどを購入して、ドラマの内容を復習してみてください!

麒麟がくる 後編 (2) (NHK大河ドラマ・ガイド)

麒麟がくる 前編 (1) (NHK大河ドラマ・ガイド)

NHK大河ドラマ歴史ハンドブック 麒麟がくる: 明智光秀とその時代 (NHKシリーズ NHK大河ドラマ歴史ハンドブック)

NHK大河ドラマ「麒麟がくる」完全ガイドブック PART2 (TOKYO NEWS MOOK TVガイド特別編集)




twitterfacebookでのフォロー、お待ちしてます!

/
記事を読んでいただき、ありがとうございました!他の記事もぜひご覧下さい。
次回は『麒麟がくる』第25回について。

//
今期イチオシ曲!ぜひ聞いてください!
I Didn't Know Them All / SLEEPY HOLLOW
※筆者は作詞とメロディの作成、ボーカル、ギターを担当しています。





あなたにおススメの記事


follow us in feedly
同じカテゴリー(テレビ)の記事画像
『青天を衝け』第31回―井上家について
『青天を衝け』第30回―五代家について
『青天を衝け』第29回―伊藤博文について
『青天を衝け』第28回―大隈重信について
『青天を衝け』第27回―「藩」はどうなったのか?
『青天を衝け』第26回―高松凌雲について
同じカテゴリー(テレビ)の記事
 『青天を衝け』第31回―井上家について (2021-10-30 20:00)
 『青天を衝け』第30回―五代家について (2021-10-22 20:00)
 『青天を衝け』第29回―伊藤博文について (2021-10-14 20:00)
 『青天を衝け』第28回―大隈重信について (2021-10-06 20:00)
 『青天を衝け』第27回―「藩」はどうなったのか? (2021-10-02 20:00)
 『青天を衝け』第26回―高松凌雲について (2021-09-24 20:00)

Posted by 鷲谷 城州 at 20:00│Comments(0)テレビ
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。