2021年10月22日
『青天を衝け』第30回―五代家について

皆さんこんばんは。
今回は令和3年の大河ドラマ『青天を衝け』第30回に関しての楽しむためのヒントを解説したいと思います。
大河ドラマを見てみたけれど、歴史もよくわからないし、どう楽しんでいいのかわからない。
歴史には興味あるけど、自分では積極的に勉強する気になれない、という方必見です!
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。
第30回のあらすじ
明治4年(1871年)、渋沢栄一美雄(吉沢亮)は大阪にいた。
栄一は、そこで新たに鋳造した貨幣「一円」の出来具合を診ていたのである。
その夜、三井が主催する接待の場には「五代」なる男がいた。
それは、栄一がかつて「篤太夫」と名乗り、民部公子(みんぶこうし)・徳川民部大輔昭武(板垣李光人)の供としてフランス・パリにいた時、幕府がフランスから受けるはずだった借款(しゃっかん)をつぶした男「五代」であった。
栄一は、恨みのある五代才助友厚(ディーン・フジオカ)に食って掛かるが、友厚は夢を語った。
大商人や政府だけでお金が回るのではなく、民を豊かにしなければならないと。
友厚にパリでの恨みをぶつけた栄一だが、段々と彼の夢に惹かれていく。
栄一が東京に戻ると、新政府では大久保一蔵利通(石丸幹二)や岩倉具視(山内圭哉)ら首脳が廃藩置県(はいはんちけん)について話し合い、もめていた。
大久保らに東京に呼び戻された西郷吉之助隆盛(博多華丸)は、埒(らち)の開かない会議に呆れ、席を立った。
西郷は「まだ戦が足りん」という。
まるで「小田原評定(おだわら ひょうじょう)」さながらの首脳の会議に呆れる栄一と杉浦愛蔵譲(志尊淳)は、新しく上司となった井上聞多馨(福士誠治)に呼び出される。
井上は、戦をしてでも廃藩置県を断行するという。
それに対して栄一は、「戦をしてはならない」という。
そのために栄一は改正掛(かいせいがかり)を鼓舞(こぶ)し、たった4日間で全藩の藩札(はんさつ)の価値や物価、借金の多寡(たか)を調べ上げ、一切の血を流さずに「廃藩置県」を実施させることに成功した。
大手柄を立てた栄一だが、突然やってきた大久保に政府の予算についての意見を求められ、率直な意見を述べた。
しかし、それについて「逆らった」と言いがかりをつけられ改正掛を解散させられてしまう。
失意と疲労困憊(ひろうこんぱい)で自邸に戻った栄一だったが、「父危篤」の知らせを受け、故郷・血洗島(ちあらいじま)に急行した。
ということで、
第30回「渋沢栄一の父」の感想
今回も泣きそうになりました。
が、それは後で書くとして、またしても栄一は幕府が倒されたことについて思いの丈をぶつけることができてスカッとしましたw
相手はもちろん五代才助友厚。
パリ万博の際の五代才助の暗躍を描いた回についての記事を読みたい方は、下記リンクをクリックしてください:
『青天を衝け』第19回―小栗家について
しかし、今回は五代の方が一段上で「そんなことはどうでもいい」と言わんばかりのキラキラした対応でしたね。
あのまま幕府があっても民が潤うことはできなかった。
今の新政府もだめだ。
幕府とか新政府とか関係なく、自分は民が潤う社会を作りたい。
そんな感じでしたね。
パリでは僕も「五代憎し」という気持ちでしたが、今回本人の話を聞くことができて、彼には彼なりの志があることがわかりました。
人って得てしてそんなもんです。
端から見ていると部分的な情報しかなく、また、一面しか見えないことで「憎し」と思える人物でも、その人のことをよく知り、志や背景事情を知ると魅力的に思えるものです。
ですから、逆に部分的な情報で他人のことを評価しがちな人は、意見をコロコロ変えがちなので気を付けた方がいいということですw
他人を評価することに慎重な人の方が信用できます。
そしてついに出ました。不倫ですw
渋沢栄一のことをいろいろと調べていると女好きであったことがわかるので、今までのドラマでの栄一が清廉潔白(せいれんけっぱく)過ぎて逆に不自然だったんですよw
そこへきて突然の不倫の描写ですから、清廉潔白な栄一を信じていた人はショックを受けたのではないかと思います。
不思議なことに、人は「不倫しそうな人」が不倫しても「あ、そう」で済ませたりしますが、一見「不倫しなさそうな人」が不倫すると猛烈に批判するんですね。
いい加減なもんです。
ただ、不倫された千代(ちよ)(橋本愛)さんはかわいそうですし、不倫相手の方も実らない色恋に巻き込まれるわけですから、やはりあんまりよくないとは思います。
※あと、この頃はおそらく現代のような「一夫一婦制(いっぷいっぷせい)」が定着していたわけではなく、江戸時代の妾(めかけ)の習慣が色濃く残っていた時期だと思いますので、今より多くの人が大っぴらに「妾」を作っていたものと思われます。
そして、大久保卿の言いがかりはひどかったですね。
自分で意見を言わせたくせに、それをつらまえてイチャモンをつけて改正掛を解散させるとは…
ただ、twitterでもつぶやいた通り、上の人間からすると自分の知らない所で改革をされるのは恐怖そのものなんです。
責任者なのに責任が取れない状況に陥りますから。
とは言いつつも、「大久保憎し!」と思ってしまう軽々しい筆者でしたw
大久保利通関連の記事:
『青天を衝け』第29回―伊藤博文について
同関連記事:
『西郷どん』、不覚にも感動しました(第46~47回)
同関連記事:
『西郷どん』、大久保利通の悪役っぷりがいい!(第42回)
最後は父、市郎右衛門(小林薫)の死。
泣きそうになりました。
いいお父さんでしたね。
息子にも娘にも「教育が大事」と論語の教育を授け、自身は村民のため、上州(じょうしゅう)や信州(しんしゅう)の藍葉(あいば)農家のため、努力を重ね、「中の家(なかんち)」に一財を築いた人です。
そして、「尊王攘夷(そんのうじょうい)」とか訳の分からないことを言って過激なことを企むだけでなく、家の売り上げを横領した息子を快く許し、老齢になっても仕事の最前線に立っていた父。
その後幕臣(ばくしん)となり、官吏(かんり)となった息子を「誇り」だという。
渋沢栄一の功績は素晴らしいものですが、父親の市郎右衛門さんが立派な方であったことも大きかったのでしょうね。
※ただし、自分ができないことを親のせいにしてはいけません。自分の人生の主導権は自分で握りましょうw
第30回のヒント―五代家について―
今回は、俳優のディーン・フジオカ氏の魅力もあってか、これまでの渋沢ファンの「五代憎し」の評判を一気に「五代ラヴ」に変えた五代友厚について、家系を中心に調べてみたいと思います。
「五代」という名字は非常に珍しい名字なのですが、実はとても由緒の正しい家柄なんです。
大元は、秦(はた)氏の末裔である惟宗(これむね)氏。
わかる人はこれでピンと来たと思うのですが、薩摩(さつま)で惟宗氏と言えば、なんといっても藩主の島津(しまづ)家です。
島津家関連の記事:
『青天を衝け』第14回―島津家について
同関連記事:
沖田畷の合戦―「確実な勝利」を疑うべし
同関連記事:
耳川の合戦ー諍臣を愛せ
五代(ごだい)家は島津家とは同じ惟宗氏で同族ではあるのですが、少し前に分かれた家系なんです。
島津家の祖は島津三郎惟宗忠久ですが、五代家はその大叔父に当たる惟宗忠親の末裔(まつえい)に当たります。
忠親の子孫である惟宗康友は、薩摩の新田宮八幡(にったのみやはちまん)の執印職(しゅういん しき)を務め「執印」の名字を名乗ります。
※「鹿児島」の名字も名乗っています。
康友は五大院(ごだいいん)の院主職(いんじゅ しき)も務め、子・康忠が院主職を継ぎます。
この康忠が「五大院(五代院)」から「五代」を取り、五代家の祖となります。
その後の五代家の足跡は全く分からないのですが、戦国時代になって歴史に再登場します。
島津惟新義弘の家老に五代右京亮友喜なる人物がいます。
右京亮は元亀(げんき)2年(1571年)の木崎原(きさきばる)の戦いに従軍し、天正(てんしょう)18年(1590年)の小田原征伐(おだわら せいばつ)にも出陣。
関連記事:
小田原征伐に学ぶ―相手に口実を与えない
慶長(けいちょう)5年(1600年)の関ヶ原(せきがはら)の戦いの時には留守居として薩摩にいて、加藤主計頭清正の動きを警戒していたと言います。
その子・五代勝左衛門友泰も小田原征伐に従軍後、天正20年(1592年)に勃発した文禄(ぶんろく)・慶長の役にも従い、二度朝鮮に渡っています。
ドラマで活躍した五代才助友厚はその子孫とされているので、島津家臣の中でも相当由緒の正しい家柄なんですね。
で、肝心の友厚自身の経歴ですが、五代家の由来に文字数を割きすぎたのでまたの機会に譲りたいと思いますw
こんな感じで、ドラマの背景にある知識が分かるとドラマをもっと楽しめます!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
以下もご覧ください!
※トップ画像はイメージです。
○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・渋沢 栄一(篤太夫、栄二郎、栄一郎) 源 美雄
しぶさわ えいいち(とくだゆう、えいじろう、えいいちろう) みなもとの よしお
・(清水、水戸)徳川(松平) 侍従兼民部大輔(幼名は余八麿) 源 朝臣 昭武(昭徳)
(しみず、みと)とくがわ(まつだいら) じじゅうけんみんぶのたゆう(幼名はよはちまろ) みなもとの あそん あきたけ(あきのり)
・五代 才助 惟宗 友厚
ごだい さいすけ これむねの ともあつ
・大久保 一蔵(正助) 藤原 利通(利済)
おおくぼ いちぞう(しょうすけ) ふじわらの としみち(としずみ)
・岩倉 (官職・通称不明) 源 朝臣 具視
いわくら (官職・通称不明) みなもとの あそん ともみ
・西郷 吉之助(善兵衛、吉兵衛) 藤原 隆永(隆盛)
さいごう きちのすけ(ぜんべえ、きちべえ) ふじわらの たかなが(たかもり)
・杉浦 愛蔵 平? 譲
すぎうら あいぞう たいらの? ゆずる
・井上(志道) 聞多(文之輔) 源(大江) 惟精(馨)
いのうえ(しじ) ぶんた(ぶんのすけ) みなもとの(おおえの) これきよ(かおる)
・渋沢 市郎右衛門 源 元助(美雅)
しぶさわ いちろううえもん みなもとの もとすけ(よしまさ)
・島津 豊後守(通称は三郎) 惟宗(源) 朝臣 忠久
しまづ ぶんごのかみ(通称はさぶろう) これむねの(みなもとの) あそん ただひさ
・(名字不明) (通称・官職不明) 惟宗 忠親
(名字不明) (通称・官職不明) これむねの ただちか
・執印(鹿児島) (通称・官職不明) 惟宗 康友
しゅういん(かごしま) (通称・官職不明) これむねの やすとも
・五代 (通称・官職不明) 惟宗 康忠
ごだい (通称・官職不明) これむねの やすただ
・島津 参議(通称は又四郎) 惟宗(源) 朝臣 義弘(惟新斎)
しまづ さんぎ(通称はまたしろう) これむねの(みなもとの) あそん よしひろ(いしんさい)
・五代 右京亮(通称は勝左衛門) 惟宗 朝臣 友喜(友慶)
ごだい うきょうのすけ(通称はしょうざえもん) これむねの あそん ともよし(ともよし)
・加藤 主計頭(肥後守。通称は虎之助、虎之介) 藤原 朝臣 清正
かとう かずえのかみ(ひごのかみ。通称はとらのすけ、とらのすけ) ふじわらの あそん きよまさ
・五代 勝左衛門 惟宗 友泰
ごだい しょうざえもん これむねの ともやす
☆武家の「通称」の普及を切に願います!
参考
2次元なんやかんや
ぴえーるのテレビブログ
※twitterやfacebookでのフォロー、お待ちしてます!
→数年以内にFIRE:経済的自立&早期リタイアメントを実現したい方へ
こちらのリンクを↓クリック↓してください。
(無料教材のダウンロードページに飛びます)
☆『教える』を仕組み化して1年でFIREを実現した方法
※初回メールが迷惑メールフォルダに自動振り分けされる可能性があるので、お気をつけください。
↓時代背景のイメージを感じられたかなと思ったら下記リンクをクリックして関連商品を購入して、『青天を衝け』の世界観をより深く味わってみてください!
大河ドラマ 青天を衝け 完全版 第壱集 ブルーレイ BOX [Blu-ray]
(4)「栄一、怒る」
大河ドラマ 青天を衝け オリジナル・サウンドトラックI 音楽:佐藤直紀
NHK大河ドラマ「青天を衝け」サウンドトラック ORIGINAL COVER
☆「このブログ、もっと読みたいかも」と思った方はぜひ読者登録してみてください!
ブログ更新時にお知らせが届きます。
→【PC版】
画面左のサイドバーに読者登録ボタンがあります。メールアドレスを入力して、「登録」ボタンを押すだけです!
→【スマホ版】
こちらのプロフィール画面のプロフィールの下にある「読者登録 登録・解除」をタップし、メールアドレスを入力して「登録」ボタンをタップするだけです!
/
記事を読んでいただき、ありがとうございました!他の記事もぜひご覧下さい。
次回は「250 years of the birth of Mozart BEST OF BEST MOZART(5)」。
//
今期イチオシ曲!ぜひ聞いてください!
Rockin' In The Free World / Stoning Crows
※Neil Youngの楽曲のカヴァーで、筆者は右側でギターを担当しています。
『青天を衝け』第31回―井上家について
『青天を衝け』第29回―伊藤博文について
『青天を衝け』第28回―大隈重信について
『青天を衝け』第27回―「藩」はどうなったのか?
『青天を衝け』第26回―高松凌雲について
『青天を衝け』第25回―貨幣経済とは?
『青天を衝け』第29回―伊藤博文について
『青天を衝け』第28回―大隈重信について
『青天を衝け』第27回―「藩」はどうなったのか?
『青天を衝け』第26回―高松凌雲について
『青天を衝け』第25回―貨幣経済とは?
Posted by 鷲谷 城州 at 20:00│Comments(0)
│テレビ
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。