2021年10月14日
『青天を衝け』第29回―伊藤博文について

皆さんこんばんは。
今回は令和3年の大河ドラマ『青天を衝け』第29回に関しての楽しむためのヒントを解説したいと思います。
大河ドラマを見てみたけれど、歴史もよくわからないし、どう楽しんでいいのかわからない。
歴史には興味あるけど、自分では積極的に勉強する気になれない、という方必見です!
あらすじ
明治2(1869)年の暮れ、新政府に出仕することになった渋沢栄一美雄(吉沢亮)は、大蔵省の大隈八太郎重信(大倉孝二)、伊藤俊輔博文(山崎育三郎)らに「改正掛」のアイディアを伝え、静岡藩にいる旧幕臣の招聘の許可を得た。
明けて明治3(1870)年、「改正掛」には諸藩から多くの人材が集まった。
渋沢栄一が呼び寄せた人物の中には旧幕臣の杉浦愛蔵譲(志尊淳)、前島来輔密(三浦誠己)、赤松大三郎則良(上村海成)、塩田三郎篤信(増本尚)らがいた。
新政府に栄一ら旧幕臣が参加していることを快く思わない者もいたが、栄一は掛長として粉骨砕身し、前島の発案による郵便制度を実現させた。
同時に栄一は絹糸の機械生産の計画を立ち上げ、その旗頭として従兄である尾高新五郎惇忠(田辺誠一)の抜擢にも成功する。
一方、新政府の首脳である大久保一蔵利通(石丸幹二)は、留守中に大隈が勝手に立ち上げた「改正掛」の急進的な動きに不快感を示すのであった…
ということで、
第29回「栄一、改正する」
冒頭の栄一の「直参舐めんなよ」はスカッとしましたね!
栄一のバックに平岡円四郎先生(堤真一)の姿のスタンドが浮かび上がって見えましたw
平岡円四郎関連の記事:
『青天を衝け』第3回―平岡家について
同関連記事:
『青天を衝け』第16回―池田屋事件について
同関連記事:
『青天を衝け』第17回―武田耕雲斎について
そして郵便事業の立ち上げは心が奮えましたね。
杉浦譲の弟から手紙が届いた時は感動で涙が出そうになりました。
今では当たり前の郵便ですが、これほどの苦労と感動があったんですね。
「郵便」と言えばやはり前島密御大が有名ですね。
実際に発案したのは彼ですが、それを採り上げ実現に導いたのが渋沢栄一だとは知りませんでした。
また、「幕臣の下では働けない」という高木渉氏演じる玉乃泰吉郎世履の反発をよそにバリバリと仕事をする栄一はむちゃくちゃカッコよかったですね。
それと、尾高惇忠兄さんの登場でも泣きそうになりました。
※玉乃世履との和解もよかったです!
元々尊皇攘夷派だったのにずっと血洗島でくすぶっていた惇忠。
栄一や従兄弟の成一郎英明(高良健吾)の説得により幕府のために働くことを決意して彰義隊に参加するも大切な弟・平九郎昌忠(岡田健史)を失い、さらに長弟である長七郎弘忠(満島真之介)の死に遭い、失意のどん底にいました。
その惇忠がようやく弟の仇である新政府に出仕することが「日本のためになる」と納得し、出てきました。
初期は僕に「遊び人」呼ばわりされていた惇忠が、ようやくその力を発揮するときが来たんですw
参考記事:
『青天を衝け』第7回―井伊家について
また、今回も大久保一蔵利通卿は悪役ですねw
大久保卿は明治期には悪役や嫌な奴として描かれることが多いですし、僕も個人的にはあまり好きではないのですが、偉大な人物なんです。
大久保卿の偉大っぷりについてはこちらの記事をご覧ください:
『西郷どん』、大久保利通の悪役っぷりがいい!(第42回)
ともかくも、毎回素晴らしい話で驚かされます。
第29回のヒント―伊藤博文について―
今回は、郵便事業の立ち上げに多くの時間を使っていたので「日本近代郵便の父」前島密さんを特集しようと思っていました。
しかし、前島密については既にゆーくんままさんが簡潔にまとめてくださっているので、ここでは伊藤俊輔の博文さんを特集しようと思いますw
参考記事:
ゆーくんはどこ?
伊藤博文の登場する記事:
『いだてん』、さらに感動した(第9~11回)
同関連記事:
『西郷どん』、史実改変はよくないって(第31~33回)
博文は、天保12(1841)年に周防の百姓・林重蔵の子として生まれます。
当時の名前は利助。
毛利領の政庁がある萩に移住後、父・重蔵が水井武兵衛なる人物の養子となり士分となります。
※水井家は丹波赤井家の分流であるという説があります。
関連記事:
『麒麟がくる』第41回―赤井悪右衛門について
直後に武兵衛が足軽・伊藤弥右衛門なる人物の養子となったため、重蔵・利助父子も伊藤の名字を名乗ります。
安政4(1857)年、松下村塾に入門し、吉田松陰より「俊輔」の通称を授けられたようです。
翌々年の安政6(1859)年には桂(木戸)小五郎孝允の従者となり、ここで井上聞多惟精(後の馨)と知り合ったようです。
※井上聞多は安芸井上家の出身なので、上記赤井家とは同族となります。つまり、水井家が赤井家分流だとしたら伊藤博文とは縁戚関係にあたることになります。
同年10月に師である吉田松陰が斬首されたことで尊王攘夷運動に関わるようになり、文久2(1862)年12月、井上聞多らとともに品川のイギリス公使館を焼き討ちし、国学者を暗殺します。
イギリス公使館焼き討ちについては『青天を衝け』でも言及されていましたが、要はテロリストですw
日本初の総理大臣は、元テロリストですw
イギリス公使館を焼き討ちしておきながら、元々はイギリス留学したいとの強い希望をもっており、翌文久3(1863)年に実際にイギリスに留学します。
※この神経はよくわかりませんw
この留学により開国派に転じた俊輔は、翌元治元(1864)年3月、四カ国艦隊の下関砲撃を止めるため、急ぎ帰国します。
この時、留学経験によりイギリスとの交渉に当たります。
12月には高杉晋作春風の挙兵に一番に駆け付け、奇兵隊に加わります。
この後の時期から戊辰戦争に至るまでは薩摩藩やイギリスとの交渉により武器弾薬の調達にあたっていたため、戦争には直接関わっていません。
※武器弾薬の調達をしているので、大隈重信とは違って「平和的な活動」とは言えませんが。
関連記事:
『青天を衝け』第28回―大隈重信について
維新後は木戸孝允の後押しにより新政府の実務担当として井上聞多馨、大隈重信らと奔走し、渋沢栄一を抜擢したことはドラマでも描かれましたね。
※Wikipediaには「明治維新後は伊藤博文と改名し」と書いてありますが、「俊輔」は通称で「博文」は諱なので、維新前から「博文」を名乗っていたものと思われます。
「通称」と「諱」について:
武家や公家の名前について
ちなみにですが、俊輔の本来の家である林家は百姓ではありますが、元々は伊予河野家の分流である林家だと主張しています。
この林家は織田右府信長の傅役であった林佐渡守秀貞の一族と同族であり、さらに三島弥兵衛通庸や三島弥彦を輩出した薩摩三島家とも同族となります。
そのため、博文自身は「越智氏」を名乗っているんです。
三島家について:
『青天を衝け』第15回―三島家について
こんな感じで、ドラマの背景にある知識が分かるとドラマをもっと楽しめます!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
以下もご覧ください!
※トップ画像はイメージです。
○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・渋沢 栄一(篤太夫、栄二郎、栄一郎) 源 美雄
・大隈 八太郎 菅原 朝臣 重信
・伊藤(林) 俊輔(春輔) 越智(藤原) 朝臣 博文
・杉浦 愛蔵 平? 譲
・前島 来輔 藤原 密
・赤松 大三郎 源 則良
・塩田 三郎 平? 篤信
・尾高 新五郎 (氏不明) 惇忠
・大久保 一蔵 藤原 利通(利済)
・平岡(岡本) 近江守(通称は円四郎) 源?(清原?) 方中
・玉乃(桂) 泰吉郎(東平) 出雲?(大江?) 世履
・渋沢 喜作(成一郎) 源 英明
・尾高 長七郎 (氏不明) 弘忠
・渋沢(尾高) 平九郎 源 昌忠
・伊藤(水井、林) 重蔵(十蔵) 藤原(源?、越智) (諱不明)
・伊藤(水井) 直右衛門(武兵衛) 藤原(源?) (諱不明)
・伊藤 弥右衛門 藤原 (諱不明)
・吉田(杉) 寅次郎 平? 矩方(松陰)
・桂(木戸) 小五郎 大江 孝允
・井上(志道) 聞多(文之輔) 源(大江) 惟精(馨)
・高杉 晋作 源 春風
・織田 右大臣兼右近衛大将(通称は三郎) 平(藤原、忌部) 朝臣 信長
・林 佐渡守(但馬守。通称は新五郎) 越智 朝臣 秀貞(俗に通勝)
・三島 弥兵衛 越智 通庸
・三島 弥彦 越智 (諱不明)
☆武家の「通称」の普及を切に願います!
参考
ゆーくんはどこ?
ポチの女房
心の雑草
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Posted by 鷲谷 城州 at 20:00│Comments(0)
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