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2020年12月22日

『麒麟がくる』第31回―浅井家の来歴

金ヶ崎宮
《令和6年2月15日更新》

皆さんこんばんは。
今回は今年の大河ドラマ『麒麟がくる』第31回に関しての楽しみ方を解説したいと思います。

大河ドラマを見てみたけれど、歴史もよくわからないし、どう楽しんでいいのかわからない
歴史には興味あるけど、自分では積極的に勉強する気になれない、という方必見です!
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。

【『麒麟がくる』の楽しみ方】
・第1~2回―当時の三傑と明智家/リアルな戦の描写 ・第3~4回―美濃の情勢/織田家の状況
・第5~6回―当時の京都の情勢 ・第7~8回―尾張国内の政治情勢/当時の三河情勢
・第9~10回―土岐一族とは/織田家の血縁関係 ・第11~12回―なぜ朽木谷か?/信長家臣団の萌芽
・第13~14回―戦国最強の傭兵団/村木砦の戦い ・第15~16回―織田一族の関係性/新九郎高政の重臣たち
・第17~18回―斎藤家の血族関係/永禄元年までの織田家 ・第19~20回―足利将軍家の動き/桶狭間の戦い
・第21回―松平蔵人の親族
・『麒麟がくるまでお待ちください』第2~3回―斎藤道三二代説/前田利家の生涯
・『麒麟がくるまでお待ちください』第4回―羽柴藤吉郎の名称
・総集編第1回 ・第22回―三好氏の血縁関係
・第23回―三好氏の血縁関係(2) ・第24回―剣豪の系譜
・第25回―朝倉氏の系譜・第26回―摂関家の系譜
・第27回―会合衆とは何者か? ・第28回―摂津晴門とは何者?
・第29回―押領と何か・第30回―三淵氏の来歴


まずはあらすじ。



第31回のあらすじ


勅許(ちょっきょ)を得た織田弾正少忠信長(染谷将太)は畿内(きない)の大名(だいみょう)たちを従え、若狭(わかさ)に出陣した。

しかし途中で進路を変え、越前(えちぜん)の朝倉左衛門督義景(ユースケ・サンタマリア)の領する敦賀(つるが)へ向かう。

天筒山(てづつやま)城、金ヶ崎(かねがさき)城と落城させたところで明智十兵衛光秀(長谷川博己)は従弟の左馬之助秀満からある知らせを受け取る。
北近江の浅井備前守長政(金井浩人)が信長を裏切り、兵を率いて越前へ向かっているという。

十兵衛はその知らせを信長にもたらすが、信長は激怒。
十兵衛は討ち死にするという信長をいさめ、信長らは撤退することに。

十兵衛は木下藤吉郎秀吉(佐々木蔵之介)らとともに殿軍(しんがり)を務め、見事京都に生還する。

ということで、


第31回「逃げよ信長」の感想


素晴らしかったです!神回でした!

信長が浅井備前の裏切りを知った時の迫真の演技は素晴らしかったです。
キレる、怒鳴る、蹴る、うなる!

今まで見た「金ヶ崎の退き口」の中でいちばんよかったです。

そして、京都に帰った後、柴田権六(安藤政信)たちに怒鳴る十兵衛もよかったですね。
木下藤吉郎は「百姓の出」と柴田権六らにいつまでも侮られていたようですが、その悔しさをちょっとは払拭できたのではないでしょうか。

関連記事:
『麒麟がくるまでお待ちください』第4回―羽柴藤吉郎の名称

そして、摂津晴門(片岡鶴太郎)の悪さも相変わらずよかったですし、信長に徐々に不信感を募らせていく将軍家・足利義昭(滝藤賢一)の描写もよかったです。
※信長に浅井備前の裏切りを知らせたのが十兵衛だった、とか、幕臣(ばくしん)であるはずの十兵衛が織田軍の殿軍を務めるという不自然な展開には目をつぶりますw

ただ、この戦いでいちばん活躍したという池田民部大輔勝正の活躍がスルーされていたのは残念でしたね。
※朽木(くつき)越えが描かれなかったのは、明智十兵衛が主役ということでよしとしましょうw


関連記事:
『麒麟がくる』第28回―摂津晴門とは何者?

関連記事:
金ヶ崎城の合戦―過去の実績にこだわらない

関連記事:
『麒麟がくる』第30回―三淵氏の来歴

関連記事:
『麒麟がくる』第11~12回―なぜ朽木谷か?/信長家臣団の萌芽




第31回の楽しみ方―浅井家の来歴―


今回は、織田弾正少忠信長を激怒させる見事な裏切りっぷりを見せた浅井備前守長政の浅井家の来歴について書きたいと思います。

浅井(あざい/あさい)家が歴史上に現れるのは、それほど古くなく15世紀中ごろの重政に始まると言われています。

元々北近江(きた・おうみ)を支配していた佐々木(ささき)家の庶流・京極(きょうごく)家の被官でした。

その血筋は藤原北家閑院流正親町三条家(※)(ふじわらほっけ・かんいんりゅう・おおぎまちさんじょうけ)の落胤であるというのが公式のものですが、実際には北近江の豪族で物部(もののべ)氏を名乗っていた一族であると言われています。
※正親町三条家:幕末に内大臣三条実美を輩出した三条家の分流です。

正親町三条家の人物が登場する記事:
『青天を衝け』第19回―小栗家について

力をつけ始めるのは備前守の祖父に当たる備前守(通称は新三郎:以降「新三郎」)亮政の頃です。

延徳(えんとく)3年(1491年)、新三郎は主君・京極家の跡目騒動で主導権を握り、京極家内の実権を握ります。

北近江で勢力を伸ばした新三郎ですが、南近江に勢力をもつ近江守護(しゅご)六角弾正少弼定頼と対立します。
この時、強大な六角(ろっかく)家に対抗するため、新三郎は越前・朝倉(あさくら)家と手を結びます。

関連記事:
『麒麟がくる』第25回―朝倉氏の系譜

六角家との激しい戦いの中、天文(てんぶん)10年(1541年)には傀儡(かいらい)であった主君・京極家が新三郎と対立し始めます。

その対立が解決しないまま、天文11年(1542年)、新三郎は死去します。

新三郎の死後、庶長子とされる下野守久政と、浅井一族の出で新三郎の婿養子であった田屋石見守明政との間に家督(かとく)争いがあったとされています。

下野守は石見守を制するため越前・朝倉氏からの支援を得たほか、六角氏へ臣従し、六角氏からの支援を得ることにも成功しています。

そのため、下野守の嫡男(ちゃくなん)であった新九郎(のちの備前守長政)は初め、六角家臣であり佐々木一族である平井(ひらい)氏の娘を正室としており、諱(いみな)も六角家当主・左京大夫義賢の偏諱を受けて「賢政」としていました。

六角氏からの圧迫は次第に強くなっていき、浅井家臣団には六角家に臣従することに反対する声が大きくなっていきました。

永禄(えいろく)3年(1560年)には嫡子(ちゃくし)・新九郎賢政が正室を六角家に返上し、六角左京大夫に大勝しました。

この時、下野守に不満をもっていた浅井家臣団は新九郎を新当主として仰ぎ、下野守を隠居させることに成功します。
※Wikipediaの「浅井久政」のページでは、この時浅井長政は「『賢政』の名も新九郎に戻した」と記述されていますが、名前の形式上、諱である「賢政」を通称である「新九郎」に戻すということは考えられません。おそらく「新九郎」は「賢政」時代もそのまま併存し、この時は「賢政」を別の名前に改めたものと思われます→参考「武家や公家の名前について

永禄10年(1567年)頃には新九郎改め備前守は、美濃(みの)を制圧した織田弾正少忠信長の妹・市(いち)を正室に迎え、諱を「信長」の偏諱(へんき)を受けて「長政」と改め、織田弾正の足利義昭の将軍擁立に協力します。

備前守が金ヶ崎の戦いの時に織田弾正を裏切った理由については、これまでは「信長が、約束を破って朝倉家を攻めたため」という説が有力でしたが、何となく腑に落ちない思いがしていました。

最近、twitterのフォロワーさんから「織田弾正が備前守に、京極家に所領を返せと言い始めたため」という説を知り、合理的だなと思っています。

史料による裏付けが待たれます!

こんな感じで、ドラマの背景にある知識が分かるとドラマをもっと楽しめます!

というわけでまだまだ説明したいことはたくさんありますが、今回は以上です!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

以下もご覧ください!

※トップ画像はイメージです。

○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・織田 弾正少忠〔通称は三郎〕 平〔藤原、忌部〕 朝臣 信長
おだ だんじょうのしょうちゅう〔通称はさぶろう〕 たいら〔ふじわら、いんべ〕 の あそん のぶなが
・朝倉 左衛門督〔通称は孫次郎〕 日下部 朝臣 義景
あさくら さえもんのかみ〔通称はまごじろう〕 くさかべ の あそん よしかげ
・明智 十兵衛 源 光秀
あけち じゅうべえ みなもと の みつひで
・明智〔三宅〕 左馬助〔通称は弥平次?〕 源 朝臣 秀満
あけち〔みやけ〕 さまのすけ〔通称はやへいじ?〕 みなもと の あそん ひでみつ
・浅井 備前守〔通称は新九郎〕 藤原〔物部〕 朝臣 長政〔賢政〕
あざい〔あさい〕 びぜんのかみ〔通称はしんくろう〕 ふじわら〔もののべ〕 の あそん ながまさ〔かたまさ〕
・木下〔羽柴〕 藤吉郎 (平〔豊臣〕) 秀吉
きのした〔はしば〕 とうきちろう (たいら〔とよとみ〕 の) ひでよし
・柴田 権六(郎) 源 勝家
しばた ごんろく(ろう) みなもと の かついえ
・摂津 掃部頭〔中務大輔。通称不明〕 藤原〔中原〕 朝臣 晴門〔晴直〕
せっつ かもんのかみ〔なかつかさのたゆう。通称不明〕 ふじわら〔なかはら〕 の あそん はるかど〔はるなお〕
・征夷大将軍 足利 権大納言〔通称不明〕 源 朝臣 義昭〔義秋、一乗院覚慶〕
せいいたいしょうぐん あしかが ごんのだいなごん〔通称不明〕 みなもと の あそん よしあき〔よしあき、いちじょういんかくけい〕
・池田 民部大輔〔通称は八郎三郎〕 源 朝臣 勝正
いけだ みんぶのたゆう〔通称ははちろうさぶろう〕 みなもと の あそん かつまさ
・浅井 (官職・通称不明) 藤原〔物部〕 重政
あざい〔あさい〕 (官職・通称不明) ふじわら〔もののべ〕 の しげまさ
・三条 内大臣(通称不明) 藤原 朝臣 実美
さんじょう ないだいじん(通称不明) ふじわら の あそん さねとみ
・浅井 備前守〔通称は新三郎〕 藤原〔物部〕 朝臣 亮政
あざい〔あさい〕 びぜんのかみ〔通称はしんざぶろう〕 ふじわら〔もののべ〕 の あそん すけまさ
・(佐々木)六角 弾正少弼〔通称は四郎〕 源 朝臣 定頼
(ささき)ろっかく だんじょうのしょうひつ〔通称はしろう〕 みなもと の あそん さだより
・浅井 下野守(通称は新九郎) 藤原〔物部〕 朝臣 久政〔祐政〕
あざい〔あさい〕 しもつけのかみ〔通称はしんくろう〕 ふじわら〔もののべ〕 の あそん ひさまさ〔すけまさ?〕
・田屋〔浅井〕 石見守〔通称は新三郎〕 藤原〔物部〕 朝臣 明政
たや〔あざい、あさい〕 いわみのかみ〔通称はしんざぶろう〕 ふじわら〔もののべ〕 の あそん あきまさ
☆武家の「通称」の普及を切に願います!

参考
地図から見る大河ドラマ
今日は何の日?徒然日記
韓ドラ大好きおばさんの「言いたい放題いわせてヨ!」


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次回は『麒麟がくる』第32回について。

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Posted by 鷲谷 城州 at 20:00│Comments(0)テレビ
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