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2021年01月15日

『麒麟がくる』第33回―延暦寺の歴史

延暦寺
《令和5年8月20日更新》

皆さんこんばんは。
今回は令和2年の大河ドラマ『麒麟(きりん)がくる』第33回に関しての楽しみ方を解説したいと思います。

大河ドラマを見てみたけれど、歴史もよくわからないし、どう楽しんでいいのかわからない
歴史には興味あるけど、自分では積極的に勉強する気になれない、という方必見です!
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。

【『麒麟がくる』の楽しみ方】
・第1~2回―当時の三傑と明智家/リアルな戦の描写 ・第3~4回―美濃の情勢/織田家の状況
・第5~6回―当時の京都の情勢 ・第7~8回―尾張国内の政治情勢/当時の三河情勢
・第9~10回―土岐一族とは/織田家の血縁関係 ・第11~12回―なぜ朽木谷か?/信長家臣団の萌芽
・第13~14回―戦国最強の傭兵団/村木砦の戦い ・第15~16回―織田一族の関係性/新九郎高政の重臣たち
・第17~18回―斎藤家の血族関係/永禄元年までの織田家 ・第19~20回―足利将軍家の動き/桶狭間の戦い
・第21回―松平蔵人の親族
・『麒麟がくるまでお待ちください』第2~3回―斎藤道三二代説/前田利家の生涯
・『麒麟がくるまでお待ちください』第4回―羽柴藤吉郎の名称
・総集編第1回 ・第22回―三好氏の血縁関係
・第23回―三好氏の血縁関係(2) ・第24回―剣豪の系譜
・第25回―朝倉氏の系譜・第26回―摂関家の系譜
・第27回―会合衆とは何者か? ・第28回―摂津晴門とは何者?
・第29回―押領と何か・第30回―三淵氏の来歴
・第31回―浅井家の来歴 ・第32回―森可成とは?


まずはあらすじ。



第33回のあらすじ


元亀(げんき)元年(1570年)、浅井(あざい)・朝倉(あさくら)連合軍に近江(おうみ)・宇佐山(うさやま)城を攻められた織田弾正大弼信長(染谷将太)は宇佐山城に舞い戻ったが、浅井・朝倉連合軍が聖域である比叡山(ひえいざん)に立てこもったため、手出しをすることができなかった。

そこで明智十兵衛光秀(長谷川博己)は和睦(わぼく)のため、信長の使者として比叡山に向かった。

かつて越前(えちぜん)にて交流した朝倉左衛門督義景(ユースケサンタマリア)と会談するが、義景は、信長が天台座主(てんだいざす)覚恕(春風亭小朝)に跪(ひざまづ)かなければ和睦に応じることはできないという。

覚恕は、信長が延暦寺(えんりゃくじ)が支配してきた土地や商売を奪ったことを怒っているという…

ということで、




第33回「比叡山に棲む魔物」の感想


延暦寺
この回も素晴らしかったです!

比叡山の腐敗っぷりや覚恕の屈折した我欲を丁寧に描いていて、信長がこの後延暦寺を焼き尽くすことに納得感がありました。

「延暦寺が支配してきた土地や商売を奪った」とか言って、それ、元々は借金のかたに公家たちから奪ったものじゃん!って誰もが思ったと思いますw

バックグラウンドとして、駒(こま)(門脇麦)の薬を転売していた少年・平吉(へいきち)(込江大牙)の妹も比叡山の魔物の犠牲者だったという描写が悲惨さを際立たせていて、ドラマとして素晴らしかったです。

さらに将軍家足利義昭(滝藤賢一)が筒井順慶(駿河太郎)に肩入れし、松永弾正久秀(吉田鋼太郎)が憤慨するシーンもよかったです。
久秀が信長に反旗を翻す理由がしっかり描かれていました。

ただ、下記「今日は何の日?徒然日記」さんがおっしゃっているように、これは前後が逆らしいですね。

まず久秀が将軍家配下の城を攻め、その対抗策として将軍家は筒井に近づいたようです。

ともかく、ドラマとして非常に面白い回で大満足でした!




第33回の楽しみ方―比叡山の歴史―


延暦寺
というわけで、今回は「魔物が棲む」とまで言われてしまった比叡山延暦寺の歴史をおさらいしたいと思います。

比叡山は古くから山岳信仰の対象となっており、『古事記(こじき)』には日枝山(ひえのやま)として登場するそうです。

『古事記』関連の記事を読みたい方は、下記リンクをタップしてください:
川副武胤『古事記の世界』

その比叡山に転機が訪れたのは、ご存知、延暦(えんりゃく)7年(788年)に最澄が小寺院を建立(こんりゅう)したことに始まります。

この小寺院の建立は、当時、奈良(なら)の旧仏教勢力からの脱却を目論んでいた桓武天皇の志向と合致し、天皇の支持を得ることに成功します。

最澄は唐で学んだことを基にして天台宗(てんだいしゅう)を開き、時の権力と結びついて栄えた延暦寺は、仏教の総合大学的な性格を帯びることになります。

(延暦寺で修業をした僧の中で著名な人物には、円仁、円珍、源信、法然、栄西、慈円、道元、親鸞、日蓮などがいます。

鎌倉新仏教の開祖が一遍(いっぺん)以外全員いますねw
※後に徳川家康の相談役として活躍し、その正体は山崎(やまざき)の戦いで生き残った明智光秀である、との噂もある南光坊天海(なんこうぼう・てんかい)も延暦寺出身と言われています。

延暦寺は平安時代中の正暦(しょうりゃく)4年(993年)、大きな派閥争いにより分裂します。

ひとつは円仁を支持し、延暦寺を拠点とする山門(さんもん)派。

それと対立したのは円珍を支持し、麓(ふもと)にある園城寺(おんじょうじ)〔三井寺(みいでら)〕を拠点とする寺門(じもん)派。

この二大派閥の対立は武力抗争に及び、延暦寺と園城寺は次第に武装化していきます。
※この時点で僧として疑問を感じますね。お坊さんが武器をもって殺生(せっしょう)していいの?という疑問を感じます。
また、この時分かれた寺門派の三井寺は、ドラマで描かれた延暦寺と信長の対立の時に信長を支持したと言われています。


この武力は手の付けられないほど大きなものとなり、平安(へいあん)時代末期には気に入らないことがあると延暦寺の僧兵が武装して京都へ繰り出し、神輿(みこし)を担いで強訴(ごうそ)するようになりました。
※神仏混淆(しんぶつこんこう)です。また後白河法皇がこの強訴を嘆いていたのは有名な話ですね。

この状況は室町(むろまち)時代になっても続き、足利将軍家(あしかが・しょうぐんけ)とたびたび対立しています。

武力と「僧」という聖域的立場を利用して富と権力を握り、やりたい放題やっていたようです。

こういった流れがあっての織田信長との対立でした。


関連記事:
叡山焼き討ち―問題が山積みのときの対処法

関連記事:
歴女にクローズアップしてほしい武将


尚、信長による焼き討ちを受けた後は勢力が減退し、豊太閤(ほうたいこう)羽柴秀吉により再建されました。

その後は将軍家徳川左大将家光公により寛永寺(かんえいじ)が建てられたことで、その権力は寛永寺に移っていったそうです。

そして今日の延暦寺に続いていくわけです。

こんな感じで、ドラマの背景にある知識が分かるとドラマをもっと楽しめます!

というわけでまだまだ説明したいことはたくさんありますが、今回は以上です!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

以下もご覧ください!

※トップ画像はイメージです。

○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・織田 弾正大弼〔通称は三郎〕 平〔藤原、忌部〕 朝臣 信長
おだ だんじょうのだいひつ〔通称はさぶろう〕 たいら〔ふじわら、いんべ〕 の あそん のぶなが
・明智 十兵衛 源 光秀
あけち じゅうべえ みなもと の みつひで
・朝倉 左衛門督〔通称は孫次郎〕 日下部 朝臣 義景
あさくら さえもんのかみ〔通称はまごじろう〕 くさかべ の あそん よしかげ
・曼殊院門跡 北野天満宮別当 天台座主 後奈良天皇皇子〔諱不明。入道覚恕〕
まんしゅいんもんぜき きたのてんまんぐうべっとう てんだいざす ごならてんのうおうじ〔諱不明。入道かくじょ〕
・征夷大将軍 足利 権大納言〔通称不明〕 源 朝臣 義昭〔義秋、一乗院覚慶〕
せいいたいしょうぐん あしかが ごんのだいなごん〔通称不明〕 みなもと の あそん よしあき〔よしあき、いちじょういんかくけい〕
・筒井 権少僧都〔通称不明〕 大神 朝臣 藤勝〔藤政。入道順慶〕
つつい ごんのしょうそうづ〔通称不明〕 おおみわ の あそん ふじかつ〔ふじまさ。入道じゅんけい〕
・松永 弾正忠〔または弾正少弼。通称は不明〕 紀〔藤原?源?〕 朝臣 久秀
まつなが だんじょうのじょう〔またはだんじょうのしょうひつ。通称は不明〕 き〔ふじわら?みなもと?〕 の あそん ひさひで
・三津 首 広野〔入道最澄〕
みつ の おびと ひろの〔入道さいちょう〕
・山部〔諡号:桓武〕
やまべ〔諡号:かんむ〕
・壬生 (諱不明。入道円仁)
みぶ の (諱不明。入道えんにん)
・和気 (諱不明。入道円珍)
わけ の (諱不明。入道えんちん)
・卜部 (諱不明。入道源信)
うらべ の (諱不明。入道げんしん)
・漆間 源空〔入道法然〕
うるま の げんくう〔入道ほうねん〕
・賀陽 栄西〔入道明菴栄西〕
かや の えいさい〔入道みょうあんえいさい〕
・藤原 (諱不明。入道慈円)
ふじわら の (諱不明。入道じえん)
・久我〔堀川〕 (通称不明) 源 希玄〔入道道元〕
くが〔ほりかわ〕 (通称不明) みなもと の きげん?〔入道どうげん〕
・日野〔藤井〕 (通称不明) 藤原 善信?〔入道親鸞〕
ひの〔ふじい〕 (通称不明) ふじわら の よしざね?〔入道しんらん〕
・貫名 (通称不明) 藤原 (諱不明。入道日蓮)
ぬきな (通称不明) ふじわら の (諱不明。入道にちれん)
・徳川 太政大臣〔通称は次郎三郎〕 源 朝臣 家康
とくがわ だじょうだいじん〔通称はじろうさぶろう〕 みなもと の あそん いえやす
・蘆名 (通称・官職不明) 平 (諱不明)(法号随風、天海)
あしな (通称・官職不明) たいら (諱不明)(法号ずいふう、てんかい)
・関白 羽柴 太政大臣〔通称は藤吉郎〕 豊臣 朝臣 秀吉
かんぱく はしば だじょうだいじん〔通称はとうきちろう〕 とよとみ の あそん ひでよし
・征夷大将軍 徳川 左近衛大将〔通称不明〕 源 朝臣 家光
せいいたいしょうぐん とくがわ さこんえのだいしょう〔通称不明〕 みなもと の あそん いえみつ
☆武家の「通称」の普及を切に願います!

参考
今日は何の日?徒然日記
ぴえーるのテレビブログ
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次回は『麒麟がくる』第34回について。

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Posted by 鷲谷 城州 at 20:00│Comments(2)テレビ
この記事へのコメント
こんにちは
比叡山の卒業生(OB)の面々をみると、ベンチャー育成機関のようですねー。
北大路欣也さん主演の『空海』という映画が平城天皇、嵯峨天皇、薬子の乱なども
結構史実を踏まえていてお勧めです。
加藤剛さん演じる最澄もハマっていて、
大河ドラマにしたら面白いのに!と思いました。

再来年の大河は家康ですね。
松潤主演なら、もっと違う武将でもよかっんじゃないかとは思いますが、
期待したいです。
Posted by ゆーくんまま at 2021年01月19日 21:31
ゆーくんままさん、こんばんは!

OBの中でも特に日蓮は天台宗を批判していたような気がしますが、実は延暦寺出身と知って特にびっくりしましたw

よく学んで知っているからこその批判なのですかね。

『空海』、見たい映画リストに入れておきますね!

この辺の大河は少ないですが、絶対面白いと思います。

再来年の大河は今までとは違う家康像を期待しています。
(硬派な点は変えないでほしいですがw)
Posted by 鷲谷 壮介 at 2021年01月23日 03:53
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