2021年08月07日
『青天を衝け』第19回―小栗家について

皆さんこんばんは。
今回は令和3年の大河ドラマ『青天を衝け』第19回に関しての楽しみ方を解説したいと思います。
大河ドラマを見てみたけれど、歴史もよくわからないし、どう楽しんでいいのかわからない。
歴史には興味あるけど、自分では積極的に勉強する気になれない、という方必見です!
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。
まずはあらすじ。
第19回のあらすじ
慶応(けいおう)元年(1865年)、備中(びっちゅう)の一橋(ひとつばし)領での募兵(ぼへい)に成功した渋沢篤太夫美雄(吉沢亮)は、今度は一橋家の懐を豊かにするため動き始めた。
領内の産物が不当に安く売られていることに気づき、一橋家でまとめて買い取って市場に売り出すことにした。
また、この頃貨幣として使われていた銀が重くて持ち運びが困難なことに目をつけ、「銀札(ぎんさつ)」を刷ることにした。
それを交換所にもってきた者に必ず銀を渡すことで「信用」を作り上げ、銀札の流通にも成功した。
一橋家の懐を豊にしたことで篤太夫は認められ、一橋権中納言慶喜(草彅剛)により勘定組頭(かんじょうくみがしら)に任命された。
一方、幕府(ばくふ)では勘定奉行(かんじょうぶぎょう)・小栗上野介忠順(武田真治)がヨーロッパとの交易で幕府財政を潤すため、兵庫(ひょうご)の港を開き、パリで開かれる万国博覧会への出展を目指していた。
しかし幕府とは別に、薩摩(さつま)藩では五代才助友厚(ディーン・フジオカ)が暗躍し、幕府を出し抜いてパリ万博へ薩摩藩単独で出展することを計画していた。
一橋慶喜は兵庫港開港を目指す幕府と、その勅許(ちょっきょ)を出さない朝廷との間に挟まれ苦しんでいたが、天子(てんし)様(尾上右近)より直々に兵庫港開港の許可を得た。
兵庫開港問題の一方で、幕府は長州征討(ちょうしゅう・せいとう)に苦戦していた。
兵力として恃(たの)みにしていた薩摩、阿波(あわ)、尾張(おわり)が兵を出さないと言ってきたからである。
さらに、薩摩が幕府を見限り長州と手を結んだと聞き、将軍家(しょうぐんけ)・徳川右大臣家茂(磯村勇斗)は倒れてしまう。
ということで、
第19回「勘定組頭 渋沢篤太夫」の感想
篤太夫のサクセスストーリー、楽しくてしょうがないですね。
主人公が生き生きとして次から次へとアイディアを出し、成功していく様子を見るのは楽しいです。
これも、父・市郎右衛門(小林薫)から学んだ商売と、勉強熱心だったことにより当時普及しきっていなかった「銀札」、つまり「紙幣」の概念を知っていたことにもよりますね。
血洗島時代の渋沢篤太夫(栄一):
『青天を衝け』第2回―身分秩序について
また、朝廷からは違勅(いちょく)だと責められ、幕府からは「一橋の陰謀だ」と責められる慶喜は大変ですね。
前もこのブログかtwitterに書きましたが、今まで薩長(さっちょう)視点のドラマでの慶喜を見て「この人、妨害ばかりしてんな」と思っていました。
こんな状況に置かれていたのですね。
今まで誤解していてすみませんでした。
そして、慶喜の視点で見ると薩摩の悪いこと悪いこと。
五代才助のあの悪そうな感じは素晴らしかったですw
ディーン・フジオカさん、今までは演技が下手なんじゃないかと疑っていましたが、すみませんでした。
あの悪そうな感じ、最高ですw
そしてびっくりしたのが、正親町三条権大納言実愛の役で声優の置鮎龍太郎さんが出演していたこと。
置鮎さん!こんなとこで何やってるんですか!いや、すごいじゃないですか!
置鮎さんと言えば、僕らの世代では三井寿ですね。
「先生、バスケがしたい」人ですね。
興奮してすみませんでしたw
第19回の楽しみ方―小栗家について―
今回は、幕府の財政立て直しのために明晰(めいせき)な政策を立案していた小栗上野介忠順の小栗(おぐり)家について書きたいと思います。
小栗家は桓武平氏大掾氏流(かんむへいし・だいじょうしりゅう)で、元々は常陸にいました。
※大掾氏の分流には塚原卜伝で有名な塚原(つかはら)家がいます。
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大掾氏の祖とされる常陸大掾平維幹の子孫である重能の頃に小栗の名字を名乗り、志田義広の乱時に志田(しだ)方に加担したり、平治(へいじ)の乱や源平合戦(げんぺいがっせん)の壇ノ浦(だんのうら)の戦いに参陣したりした記録があるようです。
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その子孫である重弘が三河(みかわ)に移住したと言われており、さらにその子孫の正重の妹と松平郷(まつだいらごう)松平家(※)の人物との間に生まれた子が小栗(松平)一郎忠吉です。
※家康のかなり前に分かれた家で松平家の元々の宗家。
その忠吉と、松平遠江守(とおとうみのかみ)なる人物の妹との間に生まれたのが又一吉忠で、正式な記録に登場するのはこの又一吉忠からです。
※又一吉忠の母は松平遠江守の妹ではなく、小栗正重の妹との説もあります。
又一吉忠は松平次郎三郎広忠の小姓(こしょう)として活躍し、その子・又一忠政は姉川(あねがわ)の合戦から大坂(おおさか)の陣までの徳川(とくがわ)家の主だった戦いに参陣し、武功を上げます。
又一忠政の参陣した戦いの例:
姉川の合戦-即座に方針転換する
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又一忠政は大身旗本(たいしん・はたもと)となり、子孫は代々「又一」または「又一郎」などの通称を名乗り、その12代目がドラマに登場した上野介忠順に当たります。
ちなみに、この小栗又一家(=三河小栗家宗家)は今も続いており、あの『花さか天使テンテンくん』の作者である漫画家・小栗かずまた氏は17代目当主に当たります。
「奈良カッター」、最高でしたね!
あ、これは「リアルテンテンくん」の方でしたw
こんな感じで、ドラマの背景にある知識が分かるとドラマをもっと楽しめます!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
以下もご覧ください!
※トップ画像はイメージです。
○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・渋沢 篤太夫(栄一、栄二郎、栄一郎) 源 美雄
しぶさわ とくだゆう(えいいち、えいじろう、えいいちろう) みなもと の よしお
・(一橋)徳川(松平) 権中納言(幼名は七郎麻呂) 源 朝臣 慶喜(昭到)
(ひとつばし)とくがわ(まつだいら) ごんのちゅうなごん(幼名はしちろうまろ) みなもと の あそん よしのぶ(あきむね)
・小栗 上野介(通称は又一、剛太郎) 平(源) 朝臣 忠順
おぐり こうづけのすけ(通称はまたいち、ごうたろう?) たいら(みなもと) の あそん ただまさ
・五代 才助 惟宗? 友厚
ごだい さいすけ これむね? の ともあつ
・統仁(諡号:孝明天皇)
おさひと(諡号:こうめいてんのう)
・征夷大将軍(将軍家) 徳川 右大臣(通称不明) 源 朝臣 家茂(慶福)
せいいたいしょうぐん(しょうぐんけ) とくがわ うだいじん(通称不明) みなもと の あそん いえもち(よしとみ)
・渋沢 市郎右衛門 源 元助(美雅)
しぶさわ いちろううえもん みなもと の もとすけ(よしまさ)
・正親町三条(嵯峨) 権大納言(通称不明) 藤原 朝臣 実愛
おおぎまちさんじょう(さが) ごんのだいなごん(通称不明) ふじわら の あそん さねなる
・塚原(吉川) 土佐守(通称は新右衛門) 平(卜部) 朝臣 高幹(朝孝。卜伝)
つかはら(よしかわ) とさのかみ(通称はしんうえもん) たいらの(うらべの) あそん たかもと(ともたか。ぼくでん)
・常陸大掾 平 朝臣 維幹
ひたちのだいじょう たいら の あそん これもと
・小栗(大掾) (官職・通称不明) 平 重能
おぐり(だいじょう) (官職・通称不明) たいら の しげよし
・志田 帯刀先生(通称は三郎) 源 朝臣 義広
しだ たてわきせんじょう(通称はさぶろう) みなもと の あそん よしひろ
・小栗 (官職・通称不明) 平 重弘
おぐり (官職・通称不明) たいら の しげひろ
・小栗 (官職・通称不明) 平 正重
おぐり (官職・通称不明) たいら の まさしげ
・小栗(松平) 一郎(市郎) 平(源) 忠吉
おぐり(まつだいら) いちろう(いちろう) たいら(みなもと) の ただよし
・小栗 又一(又市、仁右衛門、二右衛門) 平(源) 吉忠
おぐり またいち(またいち、じんうえもん、じうえもん) たいら(みなもと) の ただよし
・松平 次郎三郎 源 広忠
まつだいら じろうさぶろう みなもと の ひろただ
・小栗 又一(又市、庄三郎) 平(源) 忠政
おぐり またいち(またいち、しょうざぶろう) たいら(みなもと) の ただまさ
・小栗 又一郎 平(源) (諱不明)(漫画家:小栗かずまた)
おぐり またいちろう たいら(みなもと) (諱不明)(漫画家:おぐりかずまた)
☆武家の「通称」の普及を切に願います!
参考
ゆーくんはどこ?
日本歴史時代作家協会 公式ブログ
ぴえーるのテレビブログ
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Posted by 鷲谷 城州 at 20:00│Comments(0)
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