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2021年06月16日

『青天を衝け』第11回―高崎城について

高崎城 乾櫓
《令和6年9月16日更新》

皆さんこんばんは。
今回は令和3年の大河ドラマ『青天を衝け』第11回に関しての楽しみ方を解説したいと思います。

大河ドラマを見てみたけれど、歴史もよくわからないし、どう楽しんでいいのかわからない
歴史には興味あるけど、自分では積極的に勉強する気になれない、という方必見です!
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。

【『青天を衝け』の楽しみ方】
・第1回―渋沢家について・第2回―身分秩序について
・第3回―平岡家について・第4回―阿部家について
・第5回―藤田家について・第6回―美賀君の血筋
・第7回―井伊家について・第8回―岩瀬忠震の出自
・第9回―安政頃の西郷吉之助・第10回―安藤信正について


まずはあらすじ。



第11回のあらすじ


文久(ぶんきゅう)2年(1862年)、上野(こうづけ)に潜伏していたはずの尾高長七郎(満島真之介)が江戸(えど)に向かっているという知らせを聞いた渋沢栄一(吉沢亮)は、深谷(ふかや)の宿で長七郎と会うことに成功した。

そこで栄一に、安藤対馬守(岩瀬亮)の襲撃計画に失敗に終わり河野顕三(福山翔大)が討たれたことを告げられた長七郎は、自分も幕府(ばくふ)に手配されていることを知り、京都(きょうと)に潜伏することになった。

その後、栄一と千代(ちよ)(橋本愛)の間に一人の男子が生まれた。

市太郎(いちたろう)と名付けられたその子の誕生を喜ぶ間もなく、尾高惇忠(田辺誠一)らとともに高崎(たかさき)城襲撃計画に精を出す栄一。

江戸では一橋宰相慶喜(草彅剛)が謹慎を解かれ、14代将軍・徳川内大臣家茂(磯村勇斗)の将軍後見職(こうけんしょく)に任命された。

しかし、実質は薩摩藩(さつま・はん)国父(こくふ)・島津三郎久光(池田成志)や前福井(ふくい)藩主・松平春嶽(要潤)らに利用されているだけと嘆いていた。

血洗島(ちあらいじま)では麻疹が流行り、栄一の子・市太郎が亡くなった。

悲しみに打ちひしがれる栄一は、惇忠らとともに高崎城襲撃計画にまい進した。

江戸で武器を買い上げ、血洗島に戻り、父に自分を勘当するように頭を下げた。

うたという娘が生まれた直後であったが、栄一は攘夷志士(じょうい・しし)として新たな道を歩むのであった。

一方京都では、平岡円四郎(堤真一)が一橋(ひとつばし)家に戻るよう幕府に懇願し、ついに慶喜の下に帰参した。

慶喜は喜びをあらわにした。

ということで、


第11回「横濱焼き討ち計画」の感想


市太郎が亡くなるエピソードはいたたまれなかったですね。

子供が死ぬのも嫌ですが、それを悲しむ親たちを見るのも忍びなくて辛いですね。

関連記事:
『麒麟がくる』第26回―摂関家の系譜

医療が発達し、子供が死なない世の中になったことに本当に感謝しています。

そして、慶喜の将軍後見職就任。

今までは薩摩の側から描かれた慶喜を見ていましたが、今回の慶喜側からの描写は新鮮でした。

薩摩側から描かれた徳川慶喜の様子を知りたい方は、下記リンクをタップしてください:
『西郷どん』第26~30回―主人公補正に物申す!

『西郷(せご)どん』を見た時は、慶喜が単に田舎者で地ごろな久光を気に入らず、それで久光と仲が悪かったのかと思っていました。

しかし今回は、その背景として「自分(=慶喜)を利用しようとする人々」として久光らを見ていたことが描かれました。

自分の内面をしっかりと見て自分を担ぎ上げているのではなく、水戸(みと)家出身とか、一橋家当主とか、英邁(えいまい)に見えるとか、そういう表面的情報を利用して、広告塔として慶喜を利用しようとしていた、そういうところが気に入らなかったという描き方で、納得できました。

そして、高崎城襲撃計画はずさんでひどかったですね。

あれだけ教養の高かった惇忠や栄一には、兵法の知識はなかったのでしょうか?

70人で城を獲るには竹中半兵衛ばりの知略が必要ですねw


関連記事:
稲葉山城の合戦―人に好かれる人が勝つ

竹中半兵衛の登場する記事:
『麒麟がくる』第15~16回―織田一族の関係性と斎藤新九郎高政の重臣たち

同関連記事:
姉川の合戦-即座に方針転換する




第11回の楽しみ方―高崎城について―


今回はドラマ中で尾高惇忠らが襲撃を計画していた高崎城の歴史について書きたいと思います。

高崎城の建っているところには、元々は和田(わだ)と呼ばれる城がありました。

平安(へいあん)時代、この地域を支配した豪族の和田義信という人物が築城したと言われています。
※上野和田氏と呼ばれる一族で、義信は桓武平氏三浦氏族(かんむへいし・みうらしぞく)の和田左衛門尉義盛の子であると言われています。

和田左衛門尉の関連記事:
鶴岡八幡宮を味わう(1)―太鼓橋と舞殿

上野和田家はその後も和田城周辺の支配をつづけたようで、いわゆる戦国(せんごく)時代には和田右兵衛大輔業繁が活躍しています。

右兵衛大輔は元々、関東管領(かんとうかんれい)・上杉兵部少輔憲政に仕えていましたが、兵部少輔が越後(えちご)に落ち延びて以降は親族である長野信濃守業正に従っています。


上杉兵部少輔関連の記事:
御館の乱―勝つためにはこだわりをすべて捨てる

同関連記事:
各合戦の動員人数について(16)志賀城の合戦

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各合戦の動員人数について(5)川越城の合戦

長野信濃守関連の記事:
箕輪城の合戦―圧倒的有利な状況を作る


永禄(えいろく)4年(1561年)、右兵衛大輔は信濃守の死により武田信玄に降服し、以降は武田(たけだ)家臣となります。

その後、天正(てんしょう)3年(1575年)の長篠(ながしの)の戦で、右兵衛大輔は徳川(とくがわ)家臣・酒井左衛門尉忠次の奇襲を受け、討ち死にします。

関連記事:
長篠の合戦―プライドよりも信頼関係を重視せよ

その跡を、婿養子(むこようし)となっていた武田家臣・跡部尾張守勝資の子・右近衛大輔信業が継ぎます。

右近衛大輔は天正10年(1582年)、武田氏の滅亡前に北条(ほうじょう)家臣となりますが、織田(おだ)家の上野侵攻により織田家臣・滝川左近将監一益の家臣となります。

しかし、直後に本能寺(ほんのうじ)の変が起こり織田前右府信長が横死したために、右近衛大輔は再び北条家臣となり、天正18年(1590年)の小田原征伐(おだわら・せいばつ)を迎えます。


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北条家の滅亡後は右近衛大輔は流浪し、和田城は廃城となります。
※右近衛大輔の子孫は会津(あいづ)藩に仕えています。

その後、徳川家の関東(かんとう)入部に伴い、箕輪(みのわ)城主だった井伊兵部直政が和田城跡に移り、築いた城が「高崎城」です。

あの、大老・井伊掃部頭直弼のご先祖様が築いた城だったんですね。

関連記事:
『青天を衝け』第7回―井伊家について

その後、様々な譜代大名(ふだい・だいみょう)家が高崎藩主となりますが、ドラマで描かれた文久の頃の藩主は大河内松平(おおこうち・まつだいら)でした。

大河内一族である大河内源三郎の登場する記事:
第二次高天神城の合戦-勝者の戦法を徹底的にトレースせよ

同関連記事:
第一次高天神城の合戦-場を俯瞰する


そしてその後、そのまま大河内松平家領として幕末維新(ばくまつ・いしん)を迎えます。

こんな感じで、ドラマの背景にある知識が分かるとドラマをもっと楽しめます!

最後まで読んでいただきありがとうございました!


次回の記事を読みたい方は、下記リンクをタップしてください:
『青天を衝け』第12回―一橋徳川家について


以下もご覧ください!

※トップ画像はイメージです。

○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・尾高 長七郎 (氏不明) 弘忠
おだか ちょうしちろう (氏不明) ひろただ
・渋沢 栄一〔栄二郎、栄一郎〕 源 美雄
しぶさわ えいいち〔えいじろう、えいいちろう〕 みなもと の よしお
・安藤 対馬守〔通称は鉄之進、鉄之介〕 安倍 朝臣 信正〔信睦、信行〕
あんどう つしまのかみ〔通称はてつのしん、てつのすけ〕 あべ の あそん のぶまさ〔のぶゆき、のぶゆき〕
・河野 顕三 越智 通桓
こうの けんぞう おち の みちたけ?
・尾高 新五郎 (氏不明) 惇忠
おだか しんごろう (氏不明) あつただ〔物語中では「じゅんちゅう>〕)
・(一橋)徳川〔松平〕 参議〔幼名は七郎麻呂〕 源 朝臣 慶喜〔昭到〕
(ひとつばし)とくがわ〔まつだいら〕 さんぎ〔幼名はしちろうまろ〕 みなもと の あそん よしのぶ〔あきむね〕
・征夷大将軍〔将軍家〕 徳川 内大臣〔通称不明〕 源 朝臣 家茂〔慶福〕
せいいたいしょうぐん〔しょうぐんけ〕 とくがわ ないだいじん〔通称不明〕 みなもと の あそん いえもち〔よしとみ〕
・島津 三郎 惟宗〔源〕 久光
しまづ さぶろう これむね〔みなもと〕 の ひさみつ
・松平〔徳川〕 越前守〔幼名は錦之丞〕 源 朝臣 慶永〔号春嶽〕
まつだいら〔とくがわ〕 えちぜんのかみ〔幼名はきんのじょう〕 みなもと の あそん よしなが〔号しゅんがく〕
・平岡〔岡本〕 円四郎 源?〔清原?〕 方中
ひらおか〔おかもと〕 えんしろう みなもと?〔きよはら?〕 の けたち
・竹中 半兵衛 平 重治
たけなか はんべえ たいら の しげはる
・和田 (官職・通称不明) 平 義信
わだ (官職・通称不明) たいら の よしのぶ
・和田 左衛門尉〔通称は小太郎〕 平 朝臣 義盛
わだ さえもんのじょう〔通称はこたろう〕 たいら の あそん よしもり
・和田 右兵衛大輔〔幼名は八郎〕 平 朝臣? 業繁
わだ うひょうえのたゆう〔幼名ははちろう〕 たいら の あそん? なりしげ
・(山内)上杉 兵部少輔?〔通称は五郎〕 藤原 朝臣 憲政
(やまのうち)うえすぎ ひょうぶのしょう?〔通称はごろう〕 ふじわら の あそん のりまさ
・長野 信濃守〔通称不明〕 在原 朝臣 業正
ながの しなののかみ〔通称不明〕 ありわら の あそん なりまさ
・酒井 左衛門尉〔通称は小五郎〕 源 朝臣 忠次
さかい さえもんのじょう〔通称はこごろう〕 みなもと の あそん ただつぐ
・跡部 尾張守〔幼名は又八郎〕 源 朝臣 勝資
あとべ おわりのかみ〔幼名はまたはちろう〕 みなもと の あそん かつすけ
・和田〔跡部〕 右近衛大輔〔幼名は八郎〕 平〔源〕 朝臣? 信業
わだ〔あとべ〕 うこんえのたゆう〔幼名ははちろう〕 たいら〔みなもと〕 の あそん? のぶなり
・滝川 左近将監〔通称は彦右衛門〕 紀 朝臣 一益
たきがわ さこんのしょうげん〔通称はひこうえもん〕 き の あそん かずます
・織田 右大臣〔右府。総見公。通称は三郎、上総介〕 平〔藤原、忌部〕 朝臣 信長
おだ うだいじん〔うふ。そうけんこう。通称はさぶろう、かずさのすけ〕 たいら〔ふじわら、いんべ〕 の あそん のぶなが
・井伊 侍従〔幼名は万千代。通称は兵部〕 藤原 朝臣 直政
いい じじゅう〔幼名はまんちよ。通称はひょうぶ〕 ふじわら の あそん なおまさ
・井伊 掃部頭〔幼名は鉄之介、鉄三郎〕 藤原 朝臣 直弼
いい かもんのかみ〔幼名はてつのすけ、てつさぶろう〕 ふじわら の あそん なおすけ
・大河内 源三郎 源 政局
おおこうち げんざぶろう みなもと の まさちか
☆武家の「通称」の普及を切に願います!

参考
ぴえーるのテレビブログ
ゆーくんはどこ?
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記事を読んでいただき、ありがとうございました!他の記事もぜひご覧下さい。
次回は「文禄・慶長の役に学ぶ」。

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今期イチオシ曲!ぜひ聞いてください!
【Cover】Nowhere Man / Joshu Washiya

※The Beatlesの楽曲のカバー。ボーカル・コーラスは筆者の声。楽器隊は打ち込みですが、機材が整い次第自分で演奏する予定です。








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Posted by 鷲谷 城州 at 20:00│Comments(2)テレビ
この記事へのコメント
高崎城を築城したのは、井伊直政だったのですね。佐和山へ行く前に築城したとなると相当堅固な城に違いなく、いくら、へっぴり越しの幕吏が相手とは言え、尾高惇忠らの襲撃で落ちるとは思えません。
惇忠や栄一らは、三国志や太閤記などの英雄譚を愛読していたので、気持ちだけデカくなっていたのかも。

尚、
"女城主直虎"と渋沢栄一が結びついて、ちょっと嬉しいです
Posted by ゆーくんまま at 2021年07月04日 13:27
>ゆーくんままさん
こちらもコメントありがとうございます!

登場人物のバックグラウンドを調べていくと、関わりのなさそうな時代・場所の人物との関わりが見えてきたりして面白いですよね。

”~直虎”のその後もそのうち大河で描いてほしいですね。
(主人公は菅田直政でやってほしいですねw)
Posted by 鷲谷 城州(旧通称:壮介) at 2021年07月04日 22:02
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