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2021年04月05日

『青天を衝け』第1回―渋沢家について

深谷駅


皆さんこんばんは。
今回は令和3年の大河ドラマ『青天を衝け』第1回に関しての楽しみ方を解説したいと思います。

大河ドラマを見てみたけれど、歴史もよくわからないし、どう楽しんでいいのかわからない
歴史には興味あるけど、自分では積極的に勉強する気になれない、という方必見です!
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。



まずはあらすじ。




第1回のあらすじ



文久(ぶんきゅう)4年(1864年)、京。
渋沢栄一(吉沢亮)と渋沢喜作(高良健吾)は駆けだした。

駆けだした先には徳川権中納言慶喜(草彅剛)がいた。
栄一と喜作は慶喜の前に跪き、取り立ててもらうよう訴えた。

天保(てんぽう)15年(1844年)、武蔵国(むさしのくに)血洗島(ちあらいじま)。
4歳の栄一(小林優仁)は父・市郎右衛門(小林薫)から神君・徳川家康公の教えを受け、従兄の尾高新五郎惇忠(田辺誠一)から漢籍(かんせき)などを教わっていた。

ある日栄一は、喜作(石澤柊斗)や新五郎の弟・長七郎(須東煌世)ら幼馴染と遊んでいた。
そんな中、新五郎・長七郎らの妹・千代(ちよ)(岩﨑愛子)のくしが川に流されてしまった。

千代と栄一は必死で追いかけるも追いつけずにいたが、それをある人物が拾った。

罪人として岡部(おかべ)藩に捕縛されたが、それを逃れてきた高島秋帆(玉木宏)であった。

秋帆の存在が気になった栄一は、夜半、長七郎らと藩の牢を見に行った。
そこで秋帆と会話することができた栄一は、日本の行く末を心配する秋帆の考えを深く記憶に刻み込んだのであった。

ということで、




第1回「栄一、目覚める」の感想


まぁまぁでしたw

僕の中では「希望溢れるキラキラした少年(少女)時代を描く大河は大抵面白くない」というジンクスがありまして、今回の『青天を衝け』はその気がありましたねw

「希望溢れるキラキラした少年(少女)時代」の例を知りたい方は、下記リンクをクリックしてください:
『おんな城主直虎』、子ども時代はセオリー通り(第1~5回)

そのため、今後のがっかり感や中だるみを予感してしまって、そういった意味での「まぁまぁ」です。

現時点では面白いと思いましたし、幕末~維新を描く歴史ドラマは大抵武士が中心ですが、栄一ら農民たちを主軸に据えた幕末大河は非常に興味深いと思います。


関連記事:
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そして、冒頭の北大路欣也氏の「徳川家康です」は衝撃でしたねw

徳川家康を大切に扱っているのはわかるのですが、ちょっと軽薄にすぎないかとw


関連記事:
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あと、下の解説で取り上げるには知識が少なすぎるのでここで説明しておきますが、昔の武蔵国は実は稲作に向かない土地が多く、畑作が中心でした。

理由としては火山灰地が多いこと、台地が多いことが挙げられます。
水はけがよすぎるんです。

そのため、火山灰地である多摩(たま)地域は小麦生産が盛んで(武蔵野うどんが有名ですね)、深谷(ふかや)などの台地では桑や藍などを育ていたようです。
※東京の「田無(たなし)」という地名は、本当に田がないことからきているという説もあります。




第1回の楽しみ方―渋沢家について―


というわけで、今回は渋沢(しぶさわ)家の来歴等についての解説です。

以前twitterでつぶやいたのですが、「江戸(えど)時代の身分制度」というと百姓には名字(みょうじ)がなかったと思っている人が多いようですが、実際はこの認識には誤解があります。

参考tweet:
百姓の名字

名字が「なかった」のではなく、公(おおやけ)に「名乗れなかった」のです。

さらに、すべての百姓が名乗れなかったわけではなく、豪農(ごうのう)や庄屋(しょうや)、優れた功績を残した人物などは特別に名字を名乗ることが許され、代々名字を名乗っていた百姓も存在します。

今回の大河の主人公である渋沢栄一の渋沢家は家業を「商売」と表現するような豪農でしたから、「渋沢」という名字を代々名乗ることが許されていたのだと思います。

しかもしかも、渋沢家や尾高(おだか)家は名字だけではなくきちんと諱(いみな)ももっている家だったのです。

参考記事:
武家や公家の名前について

渋沢栄一は
渋沢 栄一(栄二郎、栄一郎) 美雄

渋沢喜作は
渋沢 喜作(成一郎) 英明

尾高新五郎は
尾高 新五郎 惇忠(あつただ。有職読みで「じゅんちゅう」)

尾高長七郎は
尾高 長七郎 弘忠

尾高家の由来はまだ調べが足りていませんが、渋沢家は戦国時代までは武家(ぶけ)だったと伝わっています。

出自は甲斐源氏(かい・げんじ)・新羅三郎源義光の次男・武田冠者源義清の子・逸見冠者源清光から始まる逸見(へんみ)氏族だと言います。
※逸見冠者清光の子・逸見上総介光長と武田太郎信義は一卵性双生児だったと言われているので、武田(たけだ)家とは非常に近い血筋となります。


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逸見冠者の子孫である逸見義継なる人物が、現在の山梨県北杜市長坂町(やまなしけん・ほくとし・ながさかちょう)にある渋沢村(しぶさわむら)に住み、「渋沢」の名字を名乗ったのが始まりと言われます。

その後、戦国時代には武田家臣として活動したようですが、織田左中将信忠の甲斐侵攻により信濃(しなの)佐久(さく)、上野(こうづけ)富岡(とみおか)を経て武蔵国榛沢(はんざわ)郡の血洗島に行きついたと言います。


参考記事:
深谷ねぎっこブログ

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江戸時代になってからの事績はよくわかりませんが、栄一の父・市郎右衛門の時代には渋沢家は「苗字帯刀」を許されるほどの豪農となり、村役人(むらやくにん)として村を取り仕切る役割を担っていました。

こんな感じで、ドラマの背景にある知識が分かるとドラマをもっと楽しめます!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

以下もご覧ください!

※トップ画像はイメージです。

○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・渋沢 栄一(栄二郎、栄一郎) 源 美雄
しぶさわ えいいち(えいじろう、えいいちろう) みなもとの よしお
・渋沢 喜作(成一郎) 源 英明
しぶさわ きさく(せいいちろう) みなもとの ひであき
・(一橋)徳川(松平) 権中納言(幼名は七郎麻呂) 源 朝臣 慶喜(昭到)
(ひとつばし)とくがわ(まつだいら) ごんのちゅうなごん(幼名はしちろうまろ) みなもとの あそん よしのぶ(あきむね)
・渋沢 市郎右衛門 源 元助(美雅)
しぶさわ いちろううえもん みなもとの もとすけ(よしまさ)
・征夷大将軍(将軍家) 徳川 太政大臣(右近衛権少将、左近衛大将、内大臣。通称は次郎三郎) 源 朝臣 家康
せいいたいしょうぐん(しょうぐんけ) とくがわ だじょうだいじん(うこんえごんのしょうしょう、さこんえのだいしょう、ないだいじん。通称はじろうさぶろう) みなもとの あそん いえやす
・尾高 新五郎 (氏不明) 惇忠
おだか しんごろう (氏不明) あつただ(ドラマ中では「じゅんちゅう」)
・尾高 長七郎 (氏不明) 弘忠
おだか ちょうしちろう (氏不明) ひろただ
・高島 喜平 源 舜臣(号:秋帆)
たかしま きへい みなもとの きよおみ?(号:しゅうはん)
・甲斐守(通称は新羅三郎) 源 朝臣 義光
かいのかみ(通称はしんらさぶろう) みなもとの あそん よしみつ
・武田冠者 源 義清
たけだのかじゃ みなもとの よしきよ
・逸見冠者(武田、黒源太) 源 清光
へんみのかじゃ(たけだ、くろげんた) みなもとの きよみつ
・武田 太郎 源 信義
たけだ たろう みなもとの のぶよし
・逸見 (官職・通称不明) 源 義継
へんみ (官職・通称不明) みなもとの よしつぐ
☆武家の「通称」の普及を切に願います!

参考
ぴえーるのテレビブログ
日本歴史時代作家協会 公式ブログ
コモンズ考

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Sympohny 40 in G minor KV550 mov.1(交響曲第40番 第1楽章)/W. A. Mozart(モーツァルト)
※筆者による打ち込みです。






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Posted by 鷲谷 城州 at 20:00│Comments(2)テレビ
この記事へのコメント
こんにちは

渋沢家が甲斐源氏の流れというのは、初耳でした! 栄一が百姓ではなく武士に憧れて剣術や学問に熱中するのも、納得です。

自伝を読むと、孔子は勿論ですが、家康、秀吉についての記述も多く、戦国武将への憧憬もみてとれます。

勉強になりました!
Posted by ゆーくんまま at 2021年04月29日 15:06
>ゆーくんままさん

コメントありがとうございます!
こちらこそ、いつもゆーくんままさんのブログで勉強させていただいています。

ご存知の通り武田旧臣は徳川家に仕えた人が多いですが、渋沢家は甲斐を脱出して帰農したようですね。

もし徳川家に仕えていれば平岡家のように旗本となっていた可能性があり、その後の身分の分岐点となったと考えると面白いですね!
Posted by 鷲谷 壮介 at 2021年05月03日 11:31
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