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2019年11月30日

稲葉山城の合戦―人に好かれる人が勝つ

岐阜城
《令和5年7月7日更新》

皆さんこんばんは。
今回は「実生活に活かす戦国合戦術」第7弾として「稲葉山(いなばやま)城の合戦」について書きます。
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。

第1回 今山の合戦
第2回 耳川の合戦
第3回 沖田畷の合戦
第4回 小豆坂の合戦
第5回 長良川の合戦
第6回 桶狭間の合戦

『歴史と旅』増刊「日本合戦総覧(昭和63年1/10臨時増刊、秋田書店)」の徳永真一郎氏の記事をベースに他ブログさんの記事などを参考にさせていただいております(下記)。

ということで、


信長の苦戦


永禄(えいろく)3年(1560年)に桶狭間(おけはざま)の合戦にて今川治部大輔義元を破り、頭角を現したかに見えた織田上総介信長ですが、次なる目標美濃(みの)稲葉山城〔岐阜県岐阜市(ぎふけん・ぎふし)〕の攻略に苦戦を強いられます。

桶狭間の戦いについてもっと知りたい方は、下記リンクをタップしてください:
桶狭間の合戦―不利な状況を受け止める

父斎藤道三を倒して斎藤(さいとう)家を束ねた左京大夫義龍が名将だったという話もありますが、僕としては稲葉山城〔現岐阜城〕の地の利も大きく働いていると思います。

関連記事:
長良川の合戦―去り際を美しく

平成8年ごろ僕は岐阜城の天主に登ったことがあるのですが、そこから南側を望むと濃尾平野(のうび・へいや)が丸見えなんですよ。
当時、遠眼鏡(とおめがね)はないにしろ、肉眼でも昼間は集団の動きとかは見えそうなくらい丸見えなんです。

これじゃあ信長の動きはだいぶ察知できちゃいますよね。
稲葉山の地に城を築いた人がすごいですね。

というわけで稲葉山城を攻めあぐねていた信長ですが、永禄4年、チャンスが訪れます。
名将斎藤義龍が病に倒れ、急死したのです。




斎藤家の瓦解


あとを継いだ義龍の嫡男(ちゃくなん)右兵衛大夫龍興はわずか14歳
酒色(しゅしょく)におぼれ祖父の代からの重臣(じゅうしん)を遠ざけ、人心を束ねることができず、家臣(かしん)の心が離れていきます

そんな中、10代ですでに希代(きたい)の名軍師としてたたえられた竹中半兵衛重治が突如稲葉山城を奪取します。

主君龍興をいさめるためだったといわれています。

しかし結局効果はなく、龍興は変わらなかったといわれています。




美濃三人衆の離反


信長はこの状況に目をつけ、家臣の木下藤吉郎秀吉により斎藤家臣たちを次々に離反させていきます。

半兵衛の助言を受けた秀吉は永禄10年、ついに美濃三人衆に内応(ないおう)の約束を取り付けます。
美濃三人衆とは稲葉伊予守良通〔一鉄〕、安藤伊賀守守就、氏家常陸介直元〔卜全〕の3名の重臣たちのことです。

稲葉伊予守の関連記事:
『麒麟がくる』第15~16回―織田一族の関係性と斎藤新九郎高政の重臣たち

同関連記事:
姉川の合戦-即座に方針転換する




稲葉山城陥落


秀吉はあらかじめ味方につけておいた蜂須賀小六正勝や前野将右衛門長康〔坪内光景〕らの協力と堀尾茂助吉晴の案内で搦手(からめて)から城内に進入しました。

秀吉は火をつけるなどして城を混乱させ、それを合図に信長本隊や美濃三人衆などが城内になだれ込みました。

それを見て敗北を悟った龍興は降服したそうです。

関連記事:
『麒麟がくるまでお待ちください』第4回―羽柴藤吉郎の名称




何を実生活に活かすか?


ということで、戦そのものの説明が長くなってしまいましたが、ここでようやく本題に入ります。

まずは、何度も敗退を重ねながらあきらめずに粘った信長の根気が挙げられますかね。
何回もチャレンジしてだめだったら、普通はあきらめてしまいそうです。

そして、やはり「人」ですね。

ビジネスも合戦も「人」です。

人心が離れている組織は、リーダーがどんなに優秀だとしても脆いものです。

だから、信長サイドで見れば相手から人心が離れているのを察知し、離れた人々の心を糾合(きゅうごう)したことが勝因だったといえそうです。

龍興サイドで言えば、自分から人心が離れているのをいち早く察知し、原因分析し、対策を打つべきでした。
(しかし、そもそもが人心が分からないから離反されるのであって、そんな状態では自分の何が悪いのかはわかりません)

結局、人に好かれる人が勝つってことですね。

周りに人が集まる大切な要素「信頼」について:
上月城の戦いに学ぶ―信頼の貯金を作る

以上です!

※画像はイメージです。

○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・今川 治部大輔〔通称不明〕 源 朝臣 義元
いまがわ じぶのたゆう〔通称不明〕 みなもと の あそん よしもと
・織田 上総介〔右近衛大将、右大臣。通称は三郎〕 平〔藤原、忌部〕 朝臣 信長
おだ かずさのすけ〔うこんえのだいしょう、うだいじん。通称はさぶろう〕 たいら〔ふじわら、いんべ〕 の あそん のぶなが
・斎藤 山城守〔通称は新九郎〕 藤原 朝臣 利政〔道三。他多数〕
さいとう やましろのかみ〔通称はしんくろう〕 ふじわら の あそん としまさ〔どうさん。他多数〕
・斎藤 左京大夫〔治部大輔。通称は新九郎〕 藤原 朝臣 義龍〔高政〕
さいとう さきょうのだいぶ〔じぶのたゆう。通称はしんくろう〕 ふじわら の あそん よしたつ〔たかまさ〕
・斎藤 右兵衛大夫 藤原 龍興
さいとう うひょうえのだいぶ ふじわら の たつおき
・竹中 半兵衛 平 重治
たけなか はんべえ たいら の しげはる
・木下 藤吉郎 平 秀吉〔のち豊臣秀吉〕
きのした とうきちろう たいら の ひでよし〔のちとよとみのひでよし〕
・稲葉 伊予守〔通称は彦六郎〕 越智〔橘〕 朝臣 良通〔一鉄〕
いなば いよのかみ〔通称はひころくろう〕 おち〔たちばな〕 の あそん よしみち〔いってつ〕
・安藤 伊賀守〔通称不明〕 藤原 朝臣 守就
あんどう いがのかみ〔通称不明〕 ふじわら の あそん もりなり
・氏家 常陸介〔通称不明〕 藤原 朝臣 直元〔卜全〕
うじいえ ひたちのすけ〔通称不明〕 ふじわら の あそん なおもと〔ぼくぜん〕
・蜂須賀 小六〔小六郎〕 藤原〔源〕 正勝
はちすか ころく〔ころくろう〕 ふじわら〔みなもと〕 の まさかつ
・前野〔坪内〕 将右衛門 藤原 長康〔光景〕
まえの〔つぼうち〕 しょううえもん ふじわら の ながやす〔みつかげ〕
・堀尾 茂助 高階 吉晴
ほりお もすけ たかしな の よしはる
☆武家の「通称」の普及を切に願います!

参考
日本百名城の旅
ブエノス小僧のイラストブログ
こにるのお城訪問記
今日は何の日?徒然日記

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稲葉山城乗っ取り: 大太刀軍兵衛奔る (徳間文庫)

斎藤道三と稲葉山城史 (1973年) (雄山閣歴史選書〈14〉)

豊臣秀吉(3) (山岡荘八歴史文庫)

天下人の父・織田信秀――信長は何を学び、受け継いだのか(祥伝社新書)




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※筆者は作詞とメロディの作成、ボーカル、ギターを担当しています。






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Posted by 鷲谷 城州 at 22:00│Comments(0)趣味
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