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2021年04月13日

『青天を衝け』第2回―身分秩序について

黒船
《令和5年12月11日更新》

皆さんこんばんは。
今回は令和3年の大河ドラマ『青天を衝け』第2回に関しての楽しみ方を解説したいと思います。

大河ドラマを見てみたけれど、歴史もよくわからないし、どう楽しんでいいのかわからない
歴史には興味あるけど、自分では積極的に勉強する気になれない、という方必見です!
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名をのせています。

【『青天を衝け』の楽しみ方】
・第1回―渋沢家について


まずはあらすじ。



第2回のあらすじ


嘉永(かえい)2年(1849年)、9歳になった渋沢栄一(小林優仁)は父・市郎右衛門(小林薫)の仕事を手伝い、信濃国豊村(しなののくに・ゆたかむら)での藍葉(あいば)の買い付けに同行した。

父の仕事を覚えていく栄一だったが、ある日、岡部(おかべ)藩の代官・利根吉春(酒向芳)より藩の道の整備のために人足100人を出せという命令を伝えられた。

その時期は栄一たちの住む血洗島(ちあらいじま)にとって繁忙期であり、この時期に仕事に精を出さねば生活が苦しくなるのだが、そういった百姓の事情に一切耳を貸さない利根に対し、栄一は憤慨した。

嘉永6年(1854年)、成長した栄一(吉沢亮)は従兄の尾高新五郎惇忠(田辺誠一)の下で剣術や学問に明け暮れていた。

姉のなか(村川絵梨)や父に叱られつつ、仕事にも精を出すのであった。

そんな中、日本にはアメリカからの使者マシュー・ペリー(モーリー・ロバートソン)が迫っていた。

ということで、




第2回「栄一、踊る」の感想


面白かったです。

利根吉春の悪代官ぶりについては、そこまで悪いやつはいたのかとも思いましたが、当時は徹底的な百姓(ひゃくしょう)差別があったようなのであり得る話ですね。
※身分秩序について、詳しくは後述します。

いつものことながら、こうした徹底的な悪役がいると物語が面白くなるので、必要な要素なのかなと思ってもいます。


他の大河における「悪役」について知りたい方は、下記リンクをタップしてください:
『麒麟がくる』第29回―押領とは何か

関連記事:
『麒麟がくる』第28回―摂津晴門とは何者?

関連記事:
『いだてん』第41~42回―川島正次郎のお陰で面白くなってきた!


また尾高惇忠の名前について、僕もドラマを見ていて誤解したのですが「尾高新五郎」が「尾高惇忠」に改名したわけでなくて「新五郎」は通称で、「惇忠」は諱(いみな)であるようです。

元服(げんぷく)により「尾高新五郎惇忠」と名乗ったのが正しいようです。

「惇忠」の読みは正しくは「あつただ」だそうですが、幕末(ばくまつ)~明治にかけて流行った「有職(ゆうそく)読み」により「じゅんちゅう」と名乗っていたようです。

※「有職読み」とは、諱の読みを中国風に音読みで読む読み方で、当時のインテリ武士層で流行ったようです。「伊藤博文(いとうひろぶみ)」を「いとうはくぶん」と読んだり、「木戸孝允(きどたかよし)」を「きどこういん」と読んだりします。

それと、モーリーさんのペリー提督(ていとく)にはビビりましたね(いい意味でw)。

モーリーさんには好感をもっているので応援しています!

ドラマ全体としては、上記、利根吉春により作り出された理不尽感により、バックグラウンドでの栄一の原動力を描いたり、血洗島と江戸(えど)の動きを対比して描いていたりと素晴らしかったと思います!




第2回の楽しみ方―身分秩序について―


今回は、悪役・利根吉春がかました「百姓差別」を生んだ、「身分秩序」について語ろうと思います。

戦国(せんごく)の世を終わらせた徳川家康は、参謀(さんぼう)役であった南光坊天海らと「戦(いくさ)が起こらなくなるためにはどうすればいいか」を考え尽くした上で、徹底的な身分秩序を根付かせたようです。


関連記事:
『麒麟がくる』第44回―南光坊天海について

関連記事:
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武士同士の上下関係もさることながら、為政者階級である武士と、それ以外の身分の者との区別は決定的なものであり、百姓等庶民(=武士以外の身分)には冒すことができない身分秩序が作られていきました。
※その上下関係の徹底のために儒教(じゅきょう)を利用したという側面もあるようです。

関連記事:
鶴岡八幡宮を味わう(2)―大銀杏と本宮

このことにより「下剋上(げこくじょう)」を終わらせることには成功したようですが、「身分差別」という負の遺産を作り出してしまったようです。

ただ、徳川家康は武士階級への教育を徹底することで精神的な高みを目指したようで、それが実現すれば武士階級が「身分差別」の感情をもつことは防げたかもしれません。

ですが、当然すべての武士や後の世に生まれた者たちの感情や教育レベルを家康個人がコントロールできるはずもなく、「身分秩序」の本来の意味を履き違えた人々によって「身分差別」が生まれました。

これにより、江戸時代は「戦争」こそなくなりましたが、庶民たちが身分差別にあえぐ時代となった訳です。
※現代でも「自分の先祖は農民だから…」と卑下する人がいますが、それは江戸時代の百姓差別の名残だと思っています。

結局のところ、どれだけ「教育」が大切かということを物語っている事実だと言えますね。


関連記事:
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徳川家康の生涯を貫く思想―山岡荘八『徳川家康』第4巻

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僕は「歴史」という学問の意義もそこにあると感じています。


――時の為政者は、何を意図してその政策を採ったのか。


為政者も当然人間なので、意図とは異なる結果になってしまったことはたくさんあったと思います。

徳川家康の布(し)いた「身分秩序」もその一つだと思っています。

しかし、「意図とは異なる結果」となった理由のひとつには我々庶民の不勉強もあるのではないかと痛感しているんです。

だから、「勉強」は大事なんです。

勉強することにより多くの価値観を身に着け、他者の意図をより忠実にくみ取れるようになればこういう不幸は減らせるわけです。

こんな感じで(今回はちょっとアツくなってしまいましたがw)、ドラマの背景にある知識が分かるとドラマをもっと楽しめます!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

以下もご覧ください!

※トップ画像はイメージです。

○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・渋沢 栄一〔栄二郎、栄一郎〕 源 美雄
しぶさわ えいいち〔えいじろう、えいいちろう〕 みなもと の よしお
・渋沢 市郎右衛門 源 元助〔美雅〕
しぶさわ いちろううえもん みなもと の もとすけ〔よしまさ〕
・利根 (官職・通称不明) 平〔藤原?〕 吉春
とね (官職・通称不明) たいら〔ふじわら〕 の よしはる
・尾高 新五郎 (氏不明) 惇忠
おだか しんごろう (氏不明) あつただ(物語中では「じゅんちゅう」)
・内閣総理大臣 伊藤〔林〕 俊輔〔春輔〕 越智〔藤原〕 朝臣 博文
ないかくそうりだいじん いとう〔はやし〕 しゅんすけ〔しゅんすけ〕 おち〔ふじわら〕 の あそん ひろぶみ
・木戸〔桂〕 小五郎 大江 孝允
きど〔かつら〕 こごろう おおえ の たかよし
・征夷大将軍〔将軍家〕 徳川 太政大臣〔右近衛権少将、左近衛大将、内大臣。通称は次郎三郎〕 源 朝臣 家康
せいいたいしょうぐん〔しょうぐんけ〕 とくがわ だじょうだいじん〔うこんえごんのだいしょう、さこんえのだいしょう ないだいじん。通称はじろうさぶろう〕 みなもと の あそん いえやす
・蘆名 (通称・官職不明) 平 (諱不明)〔法号随風、天海〕
あしな (通称・官職不明) たいら の (諱不明)〔法号ずいふう、てんかい〕
☆武家の「通称」の普及を切に願います!

参考
ゆーくんはどこ?
ぴえーるのテレビブログ
日本歴史時代作家協会 公式ブログ

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Posted by 鷲谷 城州 at 20:00│Comments(2)テレビ
この記事へのコメント
こんにちは!

教育の大切さ、仰るとおりです。
今年の大河ドラマを観て、一番驚いたのは栄一ら百姓のインテリジェンスです。

百姓という身分制度に栄一が疑問を持ち、幕藩体制の不具合を感じるようになるのは、栄一自身が読んだ書物から。
栄一自身が自伝に書いているように、
幼い頃から古典に親しみ瓦版や流行本等で
田舎にいながら世の中の動きを理解していたことです。
百姓にも、学びたい子には学びの機会があり相当な知識人もいたというのは、かなりの驚きでした。

教育が底辺まで浸透していたからこその維新であり、近代化だったのだと、
ある意味、改めて徳川家康の凄さを見直した次第です。
Posted by ゆーくんまま at 2021年04月17日 13:39
ゆーくんままさん、こんばんは!

おっしゃる通り、当時の教育レベルの高さは驚きですね。

江戸などの都市部だけでなく、血洗島のような農村にも最新の学問を身に着けた尾高惇忠などの人物がいたというのは驚きですね。

江戸時代は人の移動が制限されていたとは言え、知識人ネットワークみたいなものが形成されていたのではないかと思いました。

それと「ふんどしの法則」は笑いましたw
Posted by 鷲谷 壮介 at 2021年04月18日 03:01
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