2021年09月12日
『青天を衝け』第24回―証券とは何か
edmondlafotoによるPixabayからの画像
《令和6年2月29日更新》
皆さんこんばんは。
今回は令和3年の大河ドラマ『青天を衝け』第24回に関しての楽しむためのヒントを解説したいと思います。
大河ドラマを見てみたけれど、歴史もよくわからないし、どう楽しんでいいのかわからない。
歴史には興味あるけど、自分では積極的に勉強する気になれない、という方必見です!
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。
まずはあらすじ。
第24回のあらすじ
慶応(けいおう)3年(1867年)年末、正月の準備をしていた血洗島(ちあらいじま)・渋沢市郎右衛門美雅(小林薫)邸に一人の武士が現れる。
パリで渋沢篤太夫美雄(吉沢亮)とともに過ごしていた、杉浦愛蔵譲(志尊淳)であった。
杉浦は、篤太夫からの手紙とパリで撮影された民部公子(みんぶこうし)・清水民部大輔昭武(板垣李光人)や篤太夫のホトガラフ(写真)をもたらしたのであった。
民部公子の立派ないでたちや、洋装に身を包んだ凛々しい篤太夫の姿に感動する渋沢家の面々であったが、篤太夫の妻・千代(橋本愛)だけは一人「あさましい」と嘆くのであった。
明けて慶応4年(1868年)、パリの篤太夫達の下へ幕府からの御用状(ごようじょう)が届いた。
そこには、昨年10月徳川内大臣慶喜(草彅剛)が政(まつりごと)を朝廷に返上した、と書かれていた。
一行は動揺し、篤太夫は金策に悩んだ。
そこで日本総領事であるフリュリ・エラール(グレッグ・デール)は篤太夫を連れ出し、証券取引所を見学させた。
大勢の人々から少しずつお金を集め、事業をし、利益が出たら分配するという証券の仕組みを聞かされた篤太夫は大いに感動するのであった。
3月になって届いた御用状に、一行は更なる衝撃を受ける。
京都(きょうと)の鳥羽伏見(とば・ふしみ)で薩摩(さつま)軍と幕府軍の間に戦闘が起こり、幕府(ばくふ)は敗走したという。
さらに、慶喜は朝敵(ちょうてき)の汚名を着せられ、敗残兵を置いて大坂(おおさか)を放棄し江戸(えど)へ向かったという。
5月になり新しい政府から手紙が届き、留学を止めて帰国するようにとのことであったが、民部公子らは慶喜の「勉学を続けるように」との意向を重視し帰国せずにいた。
7月には日本にいたロッシュがフランスへ戻り、水戸(みと)藩主である権中納言慶篤の死が伝えられた。
そして新政府は、民部公子に帰国して水戸藩主を継ぐようにと伝える。
その知らせに、民部公子は帰国を決意する。
パリで多くのことを学んだ渋沢篤太夫も、ついに帰国の途に就くこととなった。
ということで、
第24回「パリの御一新」の感想
またまた面白かったですね!
今までは日本で鳥羽伏見の戦いに参加している人々の目線でしか御一新(ごいっしん)を見たことはなかったのですが、遠い異国のパリで、手紙でこのことを知るという描き方が新鮮でした。
そんな中での不安、動揺、寂しさ、悔しさ等、様々で複雑な心模様が描写されていてよかったです。
そんな中、エラールに証券取引所を紹介され、感動する篤太夫もよかったです!
後の日本経済を一気に近代化させる渋沢栄一〔篤太夫〕は、ここで証券のシステムを学んだのですね。
しかも、「お金は汚い」「商売は下賤(げせん)の身のやることだ」などとはちっとも思わずに、素直に吸収していく篤太夫の柔軟性にも感動しました。
まさに「豹変力」!
「豹変力」について知りたい方は、下記リンクをタップしてください:
『青天を衝け』第22回―保科俊太郎について
同参考記事:
苦難の時代の幕開け―山岡荘八『徳川家康』第5巻
同参考記事:
備中高松城の戦いから学ぶ―変化を受け入れる
広間で雑魚寝することに文句を言う留学生にキレる篤太夫もよかったですね。
幕府が戦いに敗れ、音を立てて崩れていく中で、雑魚寝程度に文句を言う留学生たちに僕もムッとしてしまいましたが、それらを一喝する篤太夫の様子にスカッとしました。
威厳がついてきましたねw
他にも書きたいことがたくさんありすぎるのですが、分量が多くなりすぎてしまうのでこの辺にしておきます!w
第24回の楽しみ方―証券とは何か―
今回は、篤太夫がエラールの説明に感動していた「証券」について解説したいと思います。
いつも歴史的な内容とは限りませんw
日本人は「証券」や「お金」というと、「汚い」とか「怖い」とか「騙されそう」とかのネガティブなイメージを描く人がまだまだ多いようですが、僕はこんなに合理的なシステムはないと思っています。
ドラマでの説明に多少言葉を補って説明してみます。
たとえば…
①お金はないけど、地域にプールを造りたいAさんがいたとします。
②Aさんは、「地域にプールを造ります!」と方々に宣言し、それに共感した人々から1万円ずつお金を借ります。
③Aさんは、お金を出してくれた人に、お金を貸してくれた証拠として借用書的な紙を渡します。
(これを「証券」と言います。今は紙ではなくデジタル化されています)
④Aさんは5000人から1万円ずつ借りることができたので、5000万円が手元にあります。
⑤Aさんはその5000万円でプールを造り、1年後、Aさんにはその入場料として1000万円の利益が上がりました。
⑥Aさんはその1000万円のうち、500万円をお礼としてお金を貸してくれた人に渡します。
5000人いたわけですから、一人1000円ずつもらえることになります。
(これを「利子」と言います)
⑦プール経営がうまくいっている限り、これがずっと続きます。
Aさんに1万円を貸した人々は、上の場合だと1年で1000円もらえるわけですから、年間利益は10%。
今の銀行預金の利息よりもずっと得です。
⑧Aさんにお金を貸した人々は「1万円を返してほしい」と思ったらいつでもその証券、つまりお金を貸した権利を売ることができます。
Aさんのプールが人気があれば1万円以上出してもその権利が欲しいと思う人が出てくるので、自分が貸したお金よりも高い金額でその権利を売ることができます。
(逆も然り、です)
また、期日が来たら貸した金額を返してもらえます。
※一口に「証券」といっても「株」と「債券」で多少の違いがあります。上記は「債券」の説明ですが、基本的な部分は「株」も同様なので「株」についての説明は省略します。
汚くないですよね?
Aさんは地域にプールを造ることで地域に貢献できるし、プール経営の利益も入る。
地域の人々はプールに行くことでその恩恵を受けられるし、利子や証券の売買利益を得ることもできます。
みんなハッピーです。
ただ、リスクとしてはAさんが詐欺師だったり、経営が下手でプールが潰れてしまう、証券の人気がなくなって価値が下がるなどのことが考えられますが、それはお金を出す人々の判断です。
自分で情報を集めて、Aさんが信頼に足る人物か判断するんです。
そのためには勉強と経験が必要です。
結局、勉強なんですw
勉強や教育についての関連記事:
『青天を衝け』第2回―身分秩序について
同関連記事:
徳川家康の生涯を貫く思想―山岡荘八『徳川家康』第4巻
同関連記事:
音読みと訓読みの区別―言語センスを鍛える
本当はお金を「パン」に例えてもう一度説明しようと思ったのですが、今回はすでに文章量がそれなりになってしまったのでこの辺にしておきますw
こんな感じで、ドラマの背景にある知識が分かるとドラマをもっと楽しめます!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
以下もご覧ください!
※トップ画像はイメージです。
○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・渋沢 市郎右衛門〔元助〕 源 美雅
しぶさわ いちろううえもん〔もとすけ?〕 みなもと の よしまさ
・杉浦 愛蔵 平? 譲
すぎうら あいぞう たいら? の ゆずる
・渋沢 篤太夫〔栄一、栄二郎、栄一郎〕 源 美雄
しぶさわ とくだゆう〔えいいち、えいじろう、えいいちろう〕 みなもと の よしお
・(清水)徳川〔松平〕 侍従兼民部大輔〔幼名は余八麿〕 源 朝臣 昭武〔昭徳〕
(しみず)とくがわ〔まつだいら〕 じじゅうけんみんぶのたゆう〔幼名はよはちまろ〕 みなもと の あそん あきたけ〔あきのり〕
・征夷大将軍 (一橋)徳川〔松平〕 内大臣〔幼名は七郎麻呂〕 源 朝臣 慶喜〔昭到〕
せいいたいしょうぐん (ひとつばし)とくがわ〔まつだいら〕 ないだいじん〔幼名はしちろうまろ〕 みなもと の あそん よしのぶ〔あきむね〕
・(水戸)徳川 権中納言〔通称不明〕 源 朝臣 慶篤
(みと) とくがわ ごんのちゅうなごん〔通称不明〕 みなもと の あそん よしあつ
☆武家の「通称」の普及を切に願います!
参考
ぴえーるのテレビブログ
韓ドラ大好きおばさんの「言いたい放題いわせてヨ!」
2次元なんやかんや
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記事を読んでいただき、ありがとうございました!他の記事もぜひご覧下さい。
次回は『青天を衝け』第25回について。
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今期イチオシ曲!ぜひ聞いてください!
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Posted by 鷲谷 城州 at 20:00│Comments(0)
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