2020年04月10日
音読みと訓読みの区別―言語センスを鍛える
皆さんこんばんは。
今回は記事「欧米の言語はなぜ繰り返しが多く、くどいのか?」を読んでの所感です。
記事概要です。
ドイツ語の著作を日本語に翻訳しているブログ作者が常々感じていることがある。
それは、「ドイツ語は繰り返しが多い」ということ。
原著者に繰り返し部分のカットを申し出ると、「読者が忘れてしまうんじゃないかと思って繰り返してしまう」と言っていた。
日本語に繰り返しが少ない理由についてのブログ作者の説はこうだ。
日本語は「アルファベット」「ひらがな」「カタカナ」という表音文字と「漢字」という表意文字を使い分けているため、記憶が強固になるのではないかということ。
実際にそれは当たっていたようで、表音文字と表意文字では脳内の別部分を使っているという研究結果もある。
(いつもの通り、正確な内容は記事そのものをご覧ください)
といった内容です。
というわけで、表音文字と表意文字を使い分ける日本人は優秀ですね、という話に落ち着けたいところですが、そうはいきません笑
上記記事の主旨とはずれますが、抽象化して「日本語」を構成する「音読み・訓読み」にフォーカスしたいと思います。
表意文字である漢字には音読みと訓読みがあり、そのことにより日本語を使う人は中国語だけを使う人よりも言語センスが上と言えると思うのですが、果たして日本人は音読みと訓読みをきちんと区別できているのか?
はなはだ疑問なので敢えて言わせていただきますが、
音読みと訓読みの区別ができない人には言語センスがない!!
せっかく日本人に生まれたのにもったいない話なんです。
日本語について書かれた記事を読みたい方は、下記リンクをクリックしてください:
森田良行『日本語をみがく小辞典<名詞篇>』
関連記事:
古典は必要なのか
関連記事:
なぜ漢文を習うのか?
音読みと訓読みの違い
ここで、音読みと訓読みの違いを復習しましょう。
我々が普段使っている話しことばのベースになっているのはご存じ「大和言葉(やまとことば・和語)」です。
その「大和言葉」には文字がなく、6世紀ごろに大陸から漢字が入ってきたことにより、言語を文字化することになりました。
(※異説あり)
関連記事:
鶴岡八幡宮を味わう(2)―大銀杏と本宮
その時文字の使い方に二つの流れが生まれました。
①漢字をそのまま中国語として使う
②漢字の「読み」のみを利用し、表音文字として使う
参考記事:
なぜ漢文を習うのか?
②に関しては別の話になりますので説明を割愛します。
①によって中国語の読みが日本の上層階級に定着しました。
これが音読みです。
つまり、当時の中国語の読み方をそのまま使ったのが「音読み」というわけですね。
(ややこしいことに、現代中国語は当時の中国語とだいぶ発音が変わってしまっているので、「音読み=中国語」という実感がわきにくいのが難点です)
そのうち上層階級の中で、返り点によって中国語の順番を日本語の順番に変えて、日本語として読む技術が編み出されました。
これが「書き下し文」というやつですね。
この時に、漢字の意味に相当する大和言葉の発音を漢字に充てるという技が発明されたわけですね。
もともとは「走」は中国語の通り「ソウ」としか読みませんでした。
日本語で「走」にあたるのは「はしる」という言葉です。
だから、「走」を「はしる」と読むようになったわけですね。
もし日本の隣の国がイギリスだったら(時代とかは無視して、今の「英語」を使っているイギリスで例えます)、日本人は「run」と書いて「はしる」と読んでいたはずです。
(その場合「run」の音読みは「ラン(ルン)」となります)
まとめますと、
・当時の中国語ほぼそのままの読みが「音読み」
・その漢字と似た意味の日本語の単語を当てはめて、無理やり読んだのが「訓読み」
となります。
音読みと訓読みはどう区別するのか
実際に音読みと訓読みの区別をどうつけるのか、ということですが、一般的に言われているのは「耳で聞いただけで意味が分かるのが訓読み、分からないのが音読み」という考え方です。
確かに多くの言葉にこれは当てはまります。
例えば上で例に出した「走」。
「はしる」と聞けば誰もが「歩くのよりも早く手足をばたばたさせて前に進む様子」を思い浮かべると思います。
しかし「ソウ」と聞いても「相」なのか「総」なのか「層」なのか全然わかりません。
おおむねの傾向としてはこれでいいんですが、この考え方は例外が多すぎるんですよね。
下記ブログさんでもおっしゃっていますが、「にく」と言ったら大体の日本人は「肉」を思い浮かべると思うのですが、「ニク」は音読みです。
「はく」と言ったら「吐く」なのか「履く」なのか「掃く」なのかわかりませんが、訓読みです。
(もしかしたら音読みの「白」かもしれませんが)
そのため、上記の「意味が分かるか分からないか」をベースとしながらも、結局は漢字一つ一つを覚えていくしかないという力技となるわけですね。
しかし、これが大事です。
人間の問題対処能力は、知識・経験の量によって決まります。
子供のうち、若いうちはどうでもいいことも比較的記憶しやすいのですが、大人になったときにはその一見どうでもいい記憶同志を結び付けることによって解決方法を見出すことになります。
音読み・訓読みがなぜセンスと関係あるのか
では、題名の「言語センス」についてです。
実は上記「意味が分かるか、分からないか」の判別よりもおそらく例外の少ない判別方法があるのですが、これがセンスと関係があります。
それは「音節数」です。
音節とは一息で言える音の区切りのことなのですが、日本語は「ん」や小さい文字「っ、ゃ」など以外の文字はすべて一文字一音節となっているので、日本人には非常に分かりづらい概念です。
簡単に言うと一つの母音(群)につき一音節となります。
(音節に関しての説明を始めるとそれだけで膨大な説明が必要になるので詳しい部分は割愛します)
音読みは本来中国語だと上で述べましたが、中国語は一つの漢字につき一音節となります。
音読みを仮名にするとどうしても一文字~二文字になってしまい、二文字だと二音節になってしまうような気がするのですが、実は中国語っぽく発音するとすべて一音節に直すことができます。
「走」→「sou」なので文句なく一音節
「金」→「kin(本当の発音は「kim」)」なので文句なく一音節
「肉」→「niku」だと二音節ですが、本来は「nik」
「国」→「koku」だと二音節ですが、本来は「kok(guk)」
(この区別の仕方は下記「ボラとも先生のブログ」の判別方法と通ずるところがあると思います)
日本語を理解するのに、「音節」という外国語(特にヨーロッパ言語)を習うときに教わる知識があると、より音訓の区別がしやすくなるという回帰構造があります。
この考え方は音声学を理論的に習得していない小学生等には難しい話なのですが、ヨーロッパ言語をきちんと学習した人にはかえってわかりやすい話だと思います。
関連記事:
英語の歴史の謎
こういった発音の変換等も、今まで学習してきた言語の種類、音声の知識、知っている漢字の読みの数によって直感的に導かれるものでもあるので、結局は学習量(経験量)・知識量がものを言うわけですね。
これが「センス」だという理由です。
(センスは学習によって身につきます)
知識量は問題解決能力に直結します。
関連記事:
スパルタ教育とゆったり教育は果たしてどちらの方が有効なのか?
というわけで、「学校の勉強は実践的でない」などと言って忌避するのはやめて、死ぬまで勉強し続けましょう!w
※画像はイメージです。
参考
音読み・訓読みの指導について
悠太郎が綴る中学受験国語と、ときどきパパナス育児ブログ
ボラとも先生のブログ
間違えやすい音読み、訓読みについて
たかの日記帳Blog~子育て・思う事・ガーデニング etc
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Posted by 鷲谷 城州 at 21:00│Comments(0)
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