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2021年08月27日

『青天を衝け』第22回―保科俊太郎について

凱旋門
Ghazaleh TaebによるPixabayからの画像
《令和5年11月8日更新》

皆さんこんばんは。
今回は令和3年の大河ドラマ『青天を衝け』第22回に関しての楽しみ方を解説したいと思います。

大河ドラマを見てみたけれど、歴史もよくわからないし、どう楽しんでいいのかわからない
歴史には興味あるけど、自分では積極的に勉強する気になれない、という方必見です!
※記事下部に人物の読み仮名をのせています。

【『青天を衝け』の楽しみ方】
・第1回―渋沢家について ・第2回―身分秩序について
・第3回―平岡家について ・第4回―阿部家について
・第5回―藤田家について ・第6回―美賀君の血筋
・第7回―井伊家について ・第8回―岩瀬忠震の出自
・第9回―安政頃の西郷吉之助 ・第10回―安藤信正について
・第11回―高崎城について・第12回―一橋徳川家について
・第13回―越前松平家について・第14回―島津家について
・第15回―三島家について ・第16回―池田屋事件について
・第17回―武田耕雲斎について ・第18回―天狗党の乱について
・第19回―小栗家について ・第20回―土方家について
・第21回―杉浦愛蔵について


まずはあらすじ。



第22回のあらすじ


慶応(けいおう)3年〔1867年〕、民部公子(みんぶこうし)こと清水民部大輔昭武(板垣李光人)の供としてフランスに向かった渋沢篤太夫美雄(吉沢亮)は、見るものすべてに驚いた。

船中で食べたパン、民間の会社が作っているスエズ運河、パリが見渡せる凱旋門(がいせんもん)、あっという間に屋上に連れて行ってくれるエレベーター。

篤太夫の感動をよそに、薩摩藩(さつま・はん)は幕府(ばくふ)とは別に万博に出品することで幕府の権威失墜を狙っていた。

その狙いは図に当たり、新聞に「日本は連邦国家で、幕府はその中の一政権に過ぎない」と虚偽の報道をされてしまった。

日本では、将軍家(しょうぐんけ)・徳川権大納言慶喜(草彅剛)が各国の公使と渡り合い、政権の主導権を狙う薩摩藩国父(こくふ)・島津左近衛権中将久光(池田成志)をあしらい、久光の野望を阻止することに成功した。

しかしそれは、久光の方針を倒幕(とうばく)へと方向づけるものとなってしまった。

血洗島(ちあらいじま)では、篤太夫の従兄・尾高新五郎惇忠((田辺誠一)の弟である平九郎(岡田健史)が、篤太夫の見立て養子となり江戸(えど)へ発つことが決まった。

幕府では、ヨーロッパの新聞に「幕府は一大名(だいみょう)に過ぎない」と書かれたことにより、600万ドルの借款(しゃっかん)が絶望的となったことで小栗上野介忠順(武田真治)らが途方に暮れていた。

ということで、


第22回「篤太夫、パリへ」の感想


いやぁ、篤太夫の好奇心の強さには恐れ入りますね!

あれだけ「攘夷(じょうい)、攘夷」言っていたのに、フランスの先進性に触れるや否や攘夷の気持ちよりも知的好奇心を満たす方が勝って、フランス人を質問攻めするというw

まさに「君子は豹変す」とはこのことで、自分の大目的のためであったら小さなこだわりはとっとと脱ぎ捨てて、ささっと方針転換する変わり身の早さはとても重要です。
※「豹変」は近年は悪い意味で使われることが多いですが、本来はポジティヴな意味の言葉です。


「豹変力」について:
三方ヶ原の合戦―最強の能力「豹変力」

同関連記事:
苦難の時代の幕開け―山岡荘八『徳川家康』第5巻

同関連記事:
備中高松城の戦いから学ぶ―変化を受け入れる


そして、薩摩の憎いこと憎いことw

何度も言っていますが、今までは薩長(さっちょう)視点の幕末(ばくまつ)創作ばかり見ていたので「役に立たない旧態依然とした幕府を薩摩が討って、日本を開明の道へと導いた」みたいなイメージをもっていましたが、この描き方だと薩摩は単に「天下が獲りたいだけ」のように見えますね。

ドラマで描かれたことを即ち史実だとしてしまうのは早計ですが、明治初期に新政府が「薩長幕府」と揶揄(やゆ)されていた背景には、こういうこともあったのかもしれません。

徳川(とくがわ)幕府を倒す必要ってあった?

そんな気持ちになってしまいました。

また、民部公子を演じた板垣李光人さん、素晴らしかったですね!

少ないセリフであれだけ場を支配するような演技をするなんて、とんでもない力をおもちです。

そしてお名前の「りひと」という響きがどうもドイツ語ぽいな、と思って調べさせていただいたら、どうやらほんとにドイツ語の"Licht"が由来だそうです。
※発音を無理やりカタカナで表すと「リヒトゥ」。「ヒ」は舌の根っこの方を上あごに近づけて息を思いっきり出す発音で、直前の母音の影響を受けます。

"Licht"は英語でいうところの"light"で、「光」という意味です。

李光人さんの「光」の字義とマッチしていますね。



第22回の楽しみ方―保科俊太郎について―


今回は、ドラマ中で後藤田しゅんすけさんが演じ、パリで民部公子の通訳を担っていた保科俊太郎正敬について書こうと思います。

ドラマではあまり目立たなかった保科俊太郎ですが、血筋マニアの僕は、ドラマを観ていて「保科(ほしな)」の名字が出た瞬間に「おやおや?」と思ってしまいまして、調べたくなりましたw

で調べてみると、やはり「あの保科」でした。

「あの保科」とはどの保科かと言いますと、会津宰相・松平容保の系譜上の祖先にあたる保科左近衛権中将〔左中将〕正之の養家(ようか)の保科家ですね。

会津宰相容保の登場する記事:
『青天を衝け』第16回―池田屋事件について

保科左中将は2代将軍・徳川太政大臣秀忠の子ですが、その養家の保科家とはどんな家なのか。



諸説ありますが、通説としては清和源氏(せいわげんじ)・左馬権頭源頼信から分かれた信濃(しなの)源氏の源流・井上(いのうえ)家の分流で、平安(へいあん)時代には北信濃に勢力をもっていたようです。
※三河(みかわ)井上家、安芸(あき)井上家、丹波(たんば)赤井(あかい)家の同族です。

参考記事:
『麒麟がくる』第41回―赤井悪右衛門について

鎌倉(かまくら)時代は井上家の被官として活動したようです。

室町(むろまち)時代初期の中先代(なかせんだい)の乱の時には諏訪(すわ)家に同調して北条(ほうじょう)方として活動し室町幕府を攻撃しますが、圧倒されます。

その後は南朝(なんちょう)方として活動しています。


諏訪家関連の記事:
各合戦の動員人数について(15)上原城の合戦

同関連記事:
各合戦の動員人数について(14)瀬沢の合戦


戦国(せんごく)時代には拠点を南信濃に移し、諏訪家の一族である高遠(たかとお)家に従いますが、天文(てんぶん)21年(1552年)、甲斐(かい)から武田大膳大夫晴信〔信玄〕が侵攻してきたことにより、高遠家が滅亡します。

そのことにより武田(たけだ)家に従うことになった保科家は、高遠城に残ります。

天正(てんしょう)10年(1582年)の織田(おだ)家の侵攻に際しては、時の当主・弾正忠正直が信玄の五男・仁科五郎盛信とともに高遠城に籠城(ろうじょう)して戦っています。

参考記事:
天目山の戦いから学ぶ―撤退のベスト・タイミングとは

本能寺(ほんのうじ)の変で織田右府信長が横死(おうし)した後、弾正忠は高遠城を取り戻し、徳川右少将家康に恭順(きょうじゅん)して城主の地位を安堵されます。

関連記事:
本能寺の変に学ぶ―覚悟を決める

徳川右少将の関東(かんとう)移封(いほう)後は下総多胡(しもうさ・たこ)を領する大名となりますが、上記・保科左中将の養子入りで親藩(しんぱん)となり、会津(あいづ)に移封され、のち名字を松平(まつだいら)に改めています。
※下総多胡〔田古〕には、後に土方河内守雄久が入っています。

関連記事:
『青天を衝け』第20回―土方家について

このように保科宗家(そうけ)は徳川家の血を受けて親藩化しましたが、分家(ぶんけ)は保科家として残っています。

そのうちの一家は弾正忠正直の三男・同正貞の血筋です。

この家は上総(かずさ)飯野(いいの)藩の藩主として存続し、現在も続いています。

もう一家は弾正忠正直の娘と小出大和守吉英との間に生まれた子・主水正英の子孫で、彼は弾正忠正直の長男(つまり叔父)・肥後守正光の養子となり、保科の名字を名乗っています。
※小出大和守は、豊太閤(ほうたいこう)羽柴秀吉の従弟〔豊太閤の母・なかの妹の子〕・大和守吉政の子なので、この血筋には豊太閤の母方の血が入っています。

主水正英は幕府旗本(はたもと)となりますが、実はこの子孫が今回ドラマに登場した俊太郎正敬に当たります。

会津宰相・松平容保とつながりのある家だったんですね。

こんな感じで、ドラマの背景にある知識が分かるとドラマをもっと楽しめます!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

以下もご覧ください!

※トップ画像はイメージです。

○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・(清水)徳川〔松平〕 侍従兼民部大輔〔幼名は余八麿〕 源 朝臣 昭武〔昭徳〕
(しみず)とくがわ〔まつだいら〕 じじゅうけんみんぶのたゆう〔幼名はよはちまろ〕 みなもと の あそん あきたけ〔あきのり〕
・渋沢 篤太夫〔栄一、栄二郎、栄一郎〕 源 美雄
しぶさわ とくだゆう〔えいいち、えいじろう、えいいちろう〕 みなもと の よしお
・征夷大将軍 (一橋)徳川〔松平〕 権大納言兼右近衛大将〔権中納言。幼名は七郎麻呂〕 源 朝臣 慶喜〔昭到〕
せいいたいしょうぐん (ひとつばし)とくがわ〔まつだいら〕 ごんのだいなごんけんうこんえのだいしょう〔ごんのちゅうなごん。幼名はしちろうまろ〕 みなもと の あそん よしのぶ〔あきむね〕
・島津 左近衛権少将〔通称は三郎〕 惟宗〔源〕 朝臣 久光
しまづ さこんえごんのしょうしょう〔通称はさぶろう〕 これむね〔みなもと〕 の あそん ひさみつ
・尾高 新五郎 (氏不明) 惇忠
おだか しんごろう (氏不明) あつただ〔物語中では「じゅんちゅう」〕
・尾高 平九郎 (氏不明) 昌忠
おだか へいくろう (氏不明) まさただ
・小栗 上野介〔通称は又一、剛太郎〕 平〔源〕 朝臣 忠順
おぐり こうづけのすけ〔通称はまたいち、ごうたろう?〕 たいら〔みなもと〕 の あそん ただまさ
・保科 俊太郎 源 正敬
ほしな しゅんたろう みなもと の まさたか〔まさのり?〕
・松平 参議〔会津宰相。通称不明〕 源 朝臣 容保
まつだいら さんぎ〔あいづさいしょう。通称不明) みなもと の あそん かたもり
・保科 左近衛権中将 源 朝臣 正之
ほしな さこんえごんのちゅうじょう みなもと の あそん まさゆき
・征夷大将軍 徳川 太政大臣〔通称不明〕 源 朝臣 秀忠
せいいたいしょうぐん とくがわ だじょうだいじん〔通称不明〕 みなもと の あそん ひでただ
・左馬権頭 源 朝臣 頼信
さまごんのかみ みなもと の あそん よりのぶ
・武田 大膳大夫〔通称は太郎〕 源 朝臣 晴信
たけだ だいぜんのだいぶ〔通称はたろう〕 みなもと の あそん はるのぶ
・保科 弾正忠〔越前守。通称は甚四郎〕 源 朝臣 正直
ほしな だんじょうのじょう〔えちぜんのかみ。通称はじんしろう〕 みなもと の あそん まさなお
・仁科〔武田〕 薩摩守〔通称は五郎〕 平〔源〕 朝臣 盛信〔晴清、信盛〕
にしな〔たけだ〕 さつまのかみ〔通称はごろう〕 たいら〔みなもと〕 の あそん もりのぶ〔はるきよ、のぶもり〕
・織田 右大臣兼右近衛大将〔通称は三郎〕 平〔藤原、忌部〕 朝臣 信長
おだ うだいじんけんうこんえのだいしょう〔通称はさぶろう〕 たいら〔ふじわら、いんべ〕 の あそん のぶなが
・徳川 右近衛権少将〔通称は次郎三郎〕 源 朝臣 家康
とくがわ うこんえごんのしょうしょう〔通称はじろうさぶろう〕 みなもと の あそん いえやす
・土方 河内守〔通称は勘兵衛、彦三郎〕 源 朝臣 雄久
ひじかた かわちのかみ〔通称はかんべえ、ひこさぶろう〕 みなもと の あそん かつひさ
・保科 弾正忠〔通称は甚四郎〕 源 朝臣 正貞
ほしな だんじょうのじょう〔通称はじんしろう〕 みなもと の あそん まささだ
・小出 大和守〔通称は右京〕 藤原 朝臣 吉英
こいで やまとのかみ〔通称はうきょう ふじわら の あそん よしひで
・保科 主水 源 正英
ほしな もんど みなもと の まさひで
・保科 肥後守〔通称は甚四郎〕 源 朝臣 正光
ほしな ひごのかみ〔通称はじんしろう〕 みなもと の あそん まさみつ
・小出 大和守〔通称は小才次〕 藤原 朝臣 吉政
こいで やまとのかみ〔通称はこさいじ〕 ふじわら の あそん よしまさ
・関白 羽柴〔木下〕 太政大臣〔通称は藤吉郎〕 豊臣〔平、藤原〕 朝臣 秀吉
かんぱく はしば〔きのした〕 だじょうだいじん〔通称はとうきちろう〕 とよとみ〔たいら、ふじわら〕 の あそん ひでよし
☆武家の「通称」の普及を切に願います!

参考
CHIKU-CHANの神戸・岩国情報(散策とグルメ)
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Posted by 鷲谷 城州 at 20:00│Comments(0)テレビ
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