2020年10月31日
鳥取城の戦いに学ぶ―長期戦を避けるべし
fuku41さんによる写真ACからの写真
《令和6年8月5日更新》
皆さんこんばんは。
今回は「ビジネスに活かす戦国合戦術」第33弾として、「鳥取(とっとり)城の戦い」について、ビジネス的視点で学んでいこうと思います。
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。
※『歴史と旅』増刊「日本合戦総覧(昭和63年1/10臨時増刊、秋田書店)」の新光江氏の記事をベースに他ブログさんの記事などを参考にさせていただいております(下記)。
近年見直されつつありますが、日本は昭和~平成にいたっても根強く「精神論」が振りかざされていました。
昭和以来の仕事観の変化についての記事を読みたい方は、下記リンクをタップしてください:
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令和の今になってようやく「気合いと根性で何とかなる」と大真面目に語られることは少なくなりましたが、僕らの考えの根底の部分にまだまだ精神論は残っています。
その一つが「長時間働いたら『頑張っている』と評価される」という風潮です。
時間を使っていれば、効率が悪くても「頑張っている」と評価する人がまだまだ多数います。
そのため、成果が上がらなくとも残業をして長時間働き、前日の残業のせいで休養が足りず集中力が下がっているため仕事が終わらず、またその日も残業するという悪循環が起きています。
こういった日々の蓄積でさらに仕事の効率が下がり、すぐに終わる仕事も終わらせることができず、どんどん蓄積していきます。
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デスクの中もデスクの上も未処理の書類であふれかえっていきます。
そんな状態を毎日見ていると仕事に対する意欲も下がり、さらにさらに効率が下がっていきます。
今回は、そういった「長期戦」がどんなに悲惨なことなのかを「鳥取城の戦い」から学んでいこうと思います。
また、後半では長期戦を避けるための手立てを説明していきます。
目まぐるしい鳥取城攻防戦
鳥取城は元々天文(てんぶん)年間(1532~1555年)に因幡守護(いなば・しゅご)の山名(やまな)家によって築城されたと言われています。
※近年、築城したのは因幡守護家ではなく、但馬(たじま)守護で山名宗家(そうけ)の山名右衛門督祐豊であるという説が浮上しているそうです。
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元亀(げんき)年間(1570~1573)年には因幡山名家の家臣であった武田刑部少輔高信が下剋上(げこくじょう)により鳥取城を奪取します。
その後、天正(てんしょう)元年(1573年)に因幡守護を継いだ山名宮内少輔豊国は、出雲(いずも)・月山富田(がっさんとだ)城を追われた尼子(あまご)家の残党・山中鹿介幸盛らと手を結び、鳥取城を奪い返します。
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しかし同年、吉川駿河守元春によって攻められ降服。
翌天正2年(1574年)には再び山中鹿介らに攻められて降服。
天正3年(1575年)には城主・山名宮内少輔が毛利(もうり)家になびくと、山中鹿介ら尼子家残党は城を退去します。
羽柴筑前による二度の兵糧攻め
天正8年(1580年)、三木合戦(みき・がっせん)を終えて播磨(はりま)を平定した羽柴筑前守秀吉は、隣国・因幡へ兵を進めます。
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因幡守護・山名宮内少輔の居城であった鳥取城は真っ先に囲まれました。
宮内は3か月の籠城(ろうじょう)の末、同年9月に羽柴筑前に降服。
こう書くと宮内がいとも簡単に降服したように思えますが、そうでもないようです。
羽柴筑前は、吉川駿河守が別の城に移していた鳥取城将たちの妻子たち、つまり「人質」を奪い取ります。
鳥取城を囲んだ時、筑前はこの人質たちを順番に磔、処刑していったそうです。
そしてついに山名宮内の息女が処刑されんとするとき、宮内は耐え切れず降服を申し入れたそうです。
勝利した羽柴筑前は鳥取城に入城しますが、幾度も繰り返された戦によって鳥取城下はひどい兵糧不足に陥っていたそうです。
筑前は過酷な取り立てをしますがそれでも飢えはしのげず、ひと月で鳥取城を退去しています。
そこに目を付けた吉川駿河守は、すぐに兵を派遣し、ここでまた山名宮内は毛利家に降服します。
天正9年(1581年)3月、吉川駿河は同族である吉川式部少輔経家を派遣し、城将(じょうしょう)に据えました。
同年4月、山名宮内は織田(おだ)家に内通しており、そのことが毛利方に発覚します。
先の籠城戦において宮内の降服の決断が遅れたことによって、城にいた山名家臣たちは妻子を処刑されています。
そのことで彼らは宮内と険悪な関係になっていたといいます。
宮内は鳥取城を追放され、羽柴筑前の下へ奔ります。
鳥取城に残された山名旧臣たちは織田方へ寝返ることをよしとしなかったため、筑前は、二度目の鳥取城攻めを開始します。
鳥取城の渇え殺し(かつえごろし)
天正9年(1581年)7月、羽柴筑前の2万の軍勢が鳥取城を包囲します。
迎え撃つ吉川式部配下の軍勢1,400に加え、付近の農民2,000が城内へなだれ込みました。
筑前が農民へ軍勢を向け、城内へ追いやったのです。
さらに筑前は海上封鎖を行い、海路からの補給路をも断ちました。
当時鳥取城内には20日分の兵糧しかなかったそうで、2か月で兵糧どころか家畜・植物さえも食べつくし、3か月目には餓死者が出始めました。
※城内の人々は、最終的には餓死者や城内から逃げ出そうとして殺された者の肉をも食べたと言います。
4か月目にはついに吉川式部が開城を決断。
責任を取って自害したと言います。
※吉川式部には子がおり、五代目・三遊亭円楽氏はその子孫だそうです。
長期戦を避けるにはどうするか?
この城の不幸は、織田家・毛利家の軍事境界線にさらされてしまったことです。
鳥取城下はもともとは肥沃(ひよく)な土地であったと言います。
しかし上記のように、天正元年(1573年)~同9年(1581年)の8年間に5度の戦闘を経験したことで田畑はあれ、米は刈られ尽くし、当時の食糧事情は悲惨な状況だったと言います。
冒頭に書いた「仕事における長期戦」も同じようなもので、長時間労働を続けることで悪循環が起こり、体調・集中力・意欲といったリソースが刈られ続け、枯渇(こかつ)していきます。
では、どうすればいいのか?
僕は以前、twitter(※)で「仕事のコツは、仕事をしないこと」とつぶやいたことがありますが、その言葉には重要なポイントが詰まっています。
※令和5年8月28日注:現在の「X」です。
文字通りに「仕事をしない」と受け取ってサボるのは本末転倒ですね 笑
そうではなく、「なるべく仕事量が減るような仕事の仕方をする」というのが正確な言い方になります。
そのうちの一つは「仕事の平準化」です。
自分が管理職ならば話は単純ですよね。
課なり部なりの組織のメンバーの仕事内容を洗い出し、時間的・労力的に比重が重いと思われる人の仕事を、比較的軽いと思われる人に割り振ります。
※もちろん、「(比重が)軽いと思われる人」本人は現状にすでに負担感を感じている可能性があるので、本人からのヒアリングが非常に大切です。
自分が管理職でない場合は、管理職に相談しましょう。
※その際には管理職にすべて丸投げするのではなく、仕事内容の洗い出しですとか、割り振りを手伝うとか、できることは協力しましょう。
そして、もう一つ考えられることは「仕事の効率化」です。
おそらくほとんどの人は、「これ以上効率化するなんてムリ」と思っていると思うんですが、それ、大間違いです。
人間は基本的に頭を使うのを嫌うので、考えることを、変化することを避けているだけですw
日々の仕事の中に、「よく考えたら要らない作業」が必ずあります。
儀式的な仕事ってありませんか?
ひたすら「0」を入力していくとか、ムダな作業ってありませんか?
そんな仕事はなくしちゃいましょう。
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仕事はすべてまともにやろうとすると絶対に終わらない
これが「仕事をしない」ということです。
さらに、Excelの使い方にしたってもっと効率のいい関数があるのを知らなかったり、案外マクロを簡単に組めるのを知らないだけだったりするんです。
効率化の方法を「知らない」から「これ以上効率化できない」という発言が出てくるんです。
効率化のための時間を最優先する
この辺りで出てきそうなのが「効率化のために使う時間なんてない」という文句ですね。
「毎日8時間+残業4時間働いても追いつかないくらいの仕事量をしてるんだから、ムダな仕事がないかとか考えたり、関数を調べたり、マクロを組んだりしている時間なんてない」、という声です。
ここは考え方を変えましょう。
思い切って、いくつかの仕事を放棄します。
全ての仕事が締切厳守ではないと思うんですよ。
締切を数日すぎても平気な仕事ってあると思います。
そういう仕事を放棄して、残業してでも上記効率化の時間を作ります。
※できることならその仕事を待っている人に事情を説明しましょう。今後はもっと仕事が早くなって締切を守れるようになるから、と説明すれば納得してくれるかもしれません。
こちらもtwitterで過去につぶやいた内容なのですが、僕は結構会社で残業をしています。
日々の業務量が多いのが原因で残っていることもあるのですが、実は上記のように関数やマクロを組んで、仕事が楽になるようにしているんです。
そのおかげで先月より今月、今月より来月、と同じ業務のスピードが早くなっているんです。
こんな風に、いくらか犠牲を払ってでも仕事の効率化を優先した方がいいです。
その方が、みんなハッピーなんです。
【まとめ】
(「仕事の長期戦」から解放されるには)
・組織のメンバーの仕事内容を洗い出し、平準化する
・無理やりにでも時間を作り、仕事の効率化の手を打つ
というわけで、今回は「長期戦を避けるべし」ということについて説明させていただきました。
まだまだ説明したいことはたくさんありますが、今回は以上です!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
次回の記事を読みたい方は、下記リンクをタップしてください:
備中高松城の戦いから学ぶ―変化を受け入れる
以下もご覧ください!
※トップ画像はイメージです。
○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・山名 右衛門督〔通称不明〕 源 朝臣 祐豊〔韶熙〕
やまな うえもんのかみ〔通称不明〕 みなもと の あそん すけとよ〔つぐひろ〕
・武田 刑部少輔〔通称は又五郎〕 源 朝臣 高信
たけだ ぎょうぶのしょう〔通称はまたごろう〕 みなもと の あそん たかのぶ
・山名 宮内少輔〔通称不明〕 源 朝臣 豊国〔元豊〕
やまな くないのしょう〔通称不明〕 みなもと の あそん とよくに〔もととよ〕
・山中 鹿介 源 幸盛
やまなか しかのすけ みなもと の ゆきもり
・吉川〔毛利〕 駿河守〔通称は少輔次郎〕 藤原〔大江〕 朝臣 元春
きっかわ〔もうり〕 するがのかみ〔通称はしょうのじろう〕 ふじわら〔おおえ〕 の あそん もとはる
・羽柴〔木下〕 筑前守〔通称は藤吉郎〕 平〔豊臣〕 朝臣 秀吉
はしば〔きのした〕 ちくぜんのかみ〔通称はとうきちろう〕 たいら〔とよとみ〕 の あそん ひでよし
・吉川 式部少輔〔通称は小太郎〕 藤原 朝臣 経家
きっかわ しきぶのしょう〔通称はこたろう〕 ふじわら の あそん つねいえ
☆武家の「通称」の普及を切に願います!
参考
カッキーのブログ
ゆうりの世界
鬼ヅモ同好会第3支部・改「竹に雀」
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(自分で言いますが、上記のようなブログを書いている僕が「論理的」というのだから、信じてくださいw)
とりあえず、他人に振り回されて疲れを感じた方は下記リンクをタップして一読してみてください。
【創造者としての目覚め】
それで、納得した方だけその先に進んでもらえば大丈夫です。
筆者はこのプログラムを作った方と月一くらいでお酒を飲んでいたりするため、筆者と会ってみたい!という方も、つながりを作るきっかけの一つにはなりますので、ぜひ上のリンクをタップしてみてください!
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Posted by 鷲谷 城州 at 20:00│Comments(0)
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