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2021年09月08日

安濃津城の戦いに学ぶ―小さな局面での勝敗に捕らわれない

津城
《令和6年2月21日更新》

皆さんこんばんは。
今回は「ビジネスに活かす戦国合戦術」第49弾として、「安濃津(あのつ)城の戦い」について、実用的視点で学んでいこうと思います。
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。

【合戦シリーズの過去記事(抜粋)】
江古田原沼袋合戦 権現山の戦い
第一次国府台の合戦 川越城の合戦
志賀城の合戦 郡山城の合戦
厳島の合戦 四万十川の合戦
今山の合戦 耳川の合戦
金ヶ崎城の合戦一言坂の合戦
三方ヶ原の合戦 叡山焼き討ち
江古田原沼袋の戦い② 石山合戦
雑賀・根来合戦 第一次国府台の戦い②
三木合戦 本能寺の変
文禄・慶長の役 関ヶ原の戦い
第二次上田城の戦い 田辺城の戦い


※『歴史と旅』増刊「日本合戦総覧(昭和63年1/10臨時増刊、秋田書店)」の坂井洋子氏の記事をベースに他ブログさんの記事などを参考にさせていただいております(下記)。

日々の生活で、ミスや失敗をすることって多くありますよね。

書類の数字を間違えたとか、お客さんに鬼クレームを入れられたとか。

仕事だけでなく、恋愛についても好きな異性とうまくいかないとか、彼女にフラれたとか。

そういったネガティヴな出来事って、直面しているその時は人生を揺るがす大事件のように思えますが、果たして本当にそうでしょうか?

もちろんその失敗のフォローやレヴューをせずに放置するのはよくないことですが、そうした上で後から振り返るとのちの成功の布石になっていることがほとんどです。

一時的に落ち込んだとしても、ほとんどの場合は人生を揺るがす大ピンチとなることはありません。

むしろ、それが次の成功につながっていることの方が多いです。

というわけで今回は、富田信濃守信高が安芸宰相毛利秀元らと激闘を繰り広げた「安濃津城の戦い」から「小さな局面での勝敗に捕らわれない」ということを学ぼうと思います。


安濃津城の戦いまでの流れ


慶長(けいちょう)5年(1600年)6月、徳川内府家康は会津中納言(あいづちゅうなごん)上杉景勝を討伐すべく大坂(おおさか)を発ちました。

それに対して石田治部少輔三成は、内府が留守にしていた大坂で7月半ばに挙兵、下旬にはその知らせが内府の下に届きます。

そこで内府は、会津征伐に従軍した各将に身の振り方の判断を委ねます。

上記「関ヶ原(せきがはら)の戦い」の経緯をもっと知りたい方は、下記リンクをタップしてください:
関ヶ原の戦いに学ぶ―相手に納得感を与える

伊勢(いせ)安濃津城主・富田信濃守信高も会津征伐に従軍した武将の1人でした。

信濃守は近江(おうみ)の生まれでしたが、かねてより石田治部とは仲が悪かったため、徳川(とくがわ)方として西上(さいじょう)しました。

信濃守の居城(きょじょう)・安濃津城は陸路・海路ともに交通の要衝であり、大坂から東国(とうごく)を目指す石田(いしだ)方の軍勢が攻撃する可能性が高かったため、信濃守は急ぎ安濃津城を目指しました。
※この時、伊勢上野(うえの)城主・分部左京亮光嘉も同行しています。

途中、伊勢湾横断中に石田方として湾を警戒していた九鬼宮内少輔嘉隆に見つかりますが、西軍(せいぐん)に着くと言って九鬼宮内をだまくらかし、無事渡海(とかい)できたと言います。

九鬼宮内少輔の登場する記事:
文禄・慶長の役に学ぶ―「叱るマネージメント」は下策である




安濃津城の戦い


無事それぞれの居城に入った富田信濃守と分部左京亮でしたが、左京亮は単独で石田方を迎え撃つことは困難と判断し、上野城を放棄して安濃津城に入城しました。

加えて、松坂(まつさか)城主であり、同様に会津征伐に従軍したのちに帰城していた古田兵部少輔重勝に援軍を要請しました。

それでも安濃津城の兵力は1700。

それに対する石田方は安芸宰相(あきさいしょう)毛利秀元、長束大蔵大輔正家、鍋島侍従勝茂、長宗我部土佐守盛親らの軍勢約3万。


鍋島侍従の父・加賀守直茂の活躍した戦い:
沖田畷の合戦―「確実な勝利」を疑うべし

同関連記事:
今山の合戦―意識を向ければ情報が入る

長宗我部土佐守の登場する記事:
『真田丸』、木村重成に注目すべし!(第43回)


富田信濃守は、籠城(ろうじょう)する旨と援軍要請の手紙を徳川内府に送りますが、上記九鬼宮内少輔に妨げられ、叶わず。

8月23日、戦闘が開始されました。

分部左京亮は自ら槍を振るい戦うも、重傷を負います。

城主の富田信濃守も奮戦しますが、敵わず。

討死を覚悟したところで若武者が割って入り、信濃守を救います。

信濃守の見たことのない美麗な武者でしたが、なんとそれは、信濃守の妻でした。

こうした奮戦がありながらも籠城勢は力尽き、8月25日、木食上人(もくじき しょうにん)を通じて西軍に降服。

信濃守と左京亮は剃髪し、高野山に入ります。

※この戦いののち、石田方の主だった面々は関ヶ原に向かいますが、吉川侍従広家の「空弁当 (からべんとう)」により不戦に終わります。


関ヶ原関連の記事:
司馬遼太郎『関ヶ原』下

同関連記事:
司馬遼太郎『関ヶ原』中

同関連記事:
『真田丸』、徳川家康が慌てすぎ(第35回)


※また、関ヶ原合戦後、富田信濃守は旧領に復した上加増されています。
※さらにちなみにですが、その子孫は水戸藩に仕えて幕末に天狗党(てんぐとう)に参加。天狗党の乱後に切腹しています。


天狗党の乱に関する記事:
『青天を衝け』第18回―天狗党の乱について





小さな局面での勝敗に捕らわれない


この戦いは、戦略的には富田(とみた)勢も毛利(もうり)勢も特に間違った手は取っておらず、勝因としても敗因としても双方全力を尽くした感があるため、一見すると何を学び取るかは難しいところがあります。

ですが、大局的に見て富田信濃守の敗北が信濃守自身の人生を決定づける敗北とはなっていないことに注目すると、大きな学びがあるのではないかと考えます。

「安濃津城の戦い」という小さな視点で見ると信濃守は敗北しているのですが、「関ヶ原合戦」という大局で見てみると、信濃守の奮戦は徳川勢の勝利に貢献しており、現に関ヶ原合戦後、信濃守は加増されています。

このことを現代の我々の生活に当てはめてみると、「小さな局面での勝敗に捕らわれない」という教訓が得られます。

どんなに成功している人でも、プロジェクトがうまくいかないとか、投資に失敗したとか、日々小さな敗北を経験しています。

もっと具体的で一般的な話に落とし込むと、仕事でミスをしてしこたま怒られたとか、恋愛がうまくいかないとか、そんな失敗は割としょっちゅう起きますし、そんな経験をすると非常に落ち込みます。

ただ、それを大局的に見た時に「敗北」と言えるのかどうかということを考えてほしいんです。

仕事でミスをしたって、それが大局を左右しない場合がほとんどです。

確かに精神的にはダメージがありますが、大局、つまり「大元の目的」を達成することができるのならば気にする必要がないですよね。
※もちろんフォローと再発防止の対策は必要です。

これは好きな人の態度に違和感があるとか、嫉妬心でもめてしまったとか、恋愛にも大いに当てはまると思うんです。

僕も経験したことがあるのでわかりますが、恋愛で失敗した時のダメージって大きいですよね。

まるで自分の存在が否定されたかのような気持ちになります。

しかし、人生全体でみると、それはやはり局面的な敗北に過ぎないんですよね。

仮にフラれたとしても、その時点でフラれたということはその先その相手と付き合っていてもお互いいいことないんですよ。

お互いの、もっと大きな幸せのためにその時の失恋があるのであって、そういう大局的なものの見方を身に着けて次に活かせたら強いと思いませんか?

それを身に着けるためには、完璧でなくてもいいのですが、ある程度感情の荒波を統制する技術が必要になるんです。


「感情」に言及している記事:
『青天を衝け』第18回―天狗党の乱について

同関連記事:
「大きな欲」と「小さな欲」―山岡荘八『徳川家康』第6巻

同関連記事:
『青天を衝け』第16回―池田屋事件について


ある程度の感情の統制ができ、大局を俯瞰(ふかん)してみることができるようになると、目の前の小さな失敗なんてへっちゃらになります。

こういう技術は、ぜひ多くの人に身に着けてほしいと思っています。

相すれば、生きていく上でとても大きな強みになります。

ということで、今回は「小さな局面での勝敗に捕らわれない」ということについて説明させていただきました。

まだまだ説明したいことはたくさんありますが、今回は以上です!
最後まで読んでいただきありがとうございました!

以下もご覧ください!

○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・富田 信濃守〔通称は平九郎〕 源 朝臣 信高〔知勝、知治、信勝、信孝〕
とみた しなののかみ〔通称はへいくろう〕 みなもと の あそん のぶたか〔ともかつ、ともはる、のぶかつ、のぶたか〕
・毛利〔穂井田〕 参議〔通称不明〕 大江〔有道、児玉〕 朝臣 秀元
もうり〔ほいだ〕 さんぎ〔通称不明〕 おおえ〔ありみち、こだま〕 の あそん ひでもと
・徳川 内大臣〔通称は次郎三郎〕) 源 朝臣 家康
とくがわ ないだいじん〔通称はじろうさぶろう〕 みなもと の あそん いえやす
・上杉〔長尾〕 権中納言〔弾正少弼。通称は喜平次〕 藤原〔平〕 朝臣 景勝〔顕景〕
うえすぎ〔ながお〕 ごんのちゅうなごん〔だんじょうのしょうひつ。通称はきへいじ〕 ふじわら の〔たいらの〕 あそん かげかつ〔あきかげ〕
・石田 治部少輔〔通称は佐吉〕 下毛野〔平〕 朝臣 三成
いしだ じぶのしょう〔通称はさきち〕 しもつけぬ〔たいら〕 の あそん みつなり
・分部 左京亮〔通称は与三左衛門〕 藤原 朝臣 光嘉
わけべ さきょうのすけ〔通称はよそうざえもん〕 ふじわら の あそん みつよし
・九鬼 宮内少輔〔通称不明〕 藤原 朝臣 嘉隆
くき くないのしょう〔通称不明〕 ふじわら の あそん よしたか
・古田 兵部少輔〔通称不明〕 藤原? 朝臣 重勝
ふるた ひょうぶのしょう〔通称不明〕 ふじわら? の あそん しげかつ
・長束 大蔵大輔〔通称は新三郎、利兵衛〕 大蔵? 朝臣 正家
なつか おおくらのたゆう〔通称はしんざぶろう、りへえ〕 おおくら? の あそん まさいえ
・鍋島 侍従〔通称不明〕 源 朝臣 勝茂〔信茂、清茂〕
なべしま じじゅう〔通称不明〕 みなもと の かつしげ〔のぶしげ、きよしげ〕
・長宗我部 土佐守〔通称は右衛門太郎〕 秦 朝臣 盛親
ちょうそかべ とさのかみ〔通称はうえもんたろう〕 はた の あそん もりちか
・吉川 侍従〔通称は又次郎〕 藤原 朝臣 広家〔経信、経言〕
きっかわ じじゅう〔通称はまたじろう〕 ふじわら の あそん ひろいえ〔つねのぶ、つねのぶ〕
☆武家の「通称」の普及を切に願います!

参考
今日は何の日?徒然日記
三重を中心に徹底訪城 検索「山城遺産」「セルフコラボレーション」 ペン画で歴史を伝承 時々徒然に
日本の歴史ガイド~日本のお城 城跡 史跡 幕末~


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Posted by 鷲谷 城州 at 20:00│Comments(0)趣味
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