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2020年04月06日

一乗谷城の合戦に学ぶ―決断しないことで状況は悪化する

一乗川
《令和6年4月14日更新》

皆さんこんばんは。
今回は「実生活に活かす戦国合戦術」第15弾として「一乗谷(いちじょうだに)城の合戦」について書きます。
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。

第1回 今山の合戦
第2回 耳川の合戦
第3回 沖田畷の合戦
第4回 小豆坂の合戦
第5回 長良川の合戦
第6回 桶狭間の合戦
第7回 稲葉山城の合戦
第8回 金ヶ崎城の合戦
第9回 姉川の合戦
第10回 二俣城の合戦
第11回 一言坂の合戦
第12回 三方ヶ原の合戦
第13回 野田城の合戦
第14回 叡山焼き討ち

『歴史と旅』増刊「日本合戦総覧(昭和63年1/10臨時増刊、秋田書店)」の能坂利雄氏の記事をベースに他ブログさんの記事などを参考にさせていただいております(下記)。

合戦の概要がわからなければ何を学べるかわからないので、まずは合戦概要です!


合戦に至るまでの流れ


元亀(げんき)元年(1570年)4月の金ヶ崎(かねがさき)城の合戦により、織田上総介信長と朝倉左衛門督義景・浅井備前守長政連合軍の戦いが始まりました。


金ヶ崎城の戦いについて知りたい方は、下記リンクをタップしてください:
金ヶ崎城の合戦―過去の実績にこだわらない

関連記事:
『麒麟がくる』第31回―浅井家の来歴


同年6月の姉川(あねがわ)の合戦により、「織田(おだ)軍強し」の評判を作った織田軍でしたが、それは浅井(あざい)・朝倉(あさくら)軍の武将たちを動揺させる効果をもたらしました。

参考記事:
姉川の合戦-即座に方針転換する

浅井・朝倉軍の武将たちの間に「このまま浅井(朝倉)の殿様についていって良いのだろうか」という疑念が生まれたということですね。

こののち同年9月の「志賀(しが)の陣」にて織田軍に一泡吹かせたかに見えた浅井・朝倉軍でしたが、織田軍によって浅井方の拠点は次々と落とされていき、翌元亀2年(1571年)9月の上総介の叡山(えいざん)焼き討ちによって力強い味方を失うことにより、ますます動揺が走りました。


関連記事:
『麒麟がくる』第32回―森可成とは?

参考記事:
叡山焼き討ち―問題が山積みのときの対処法


元亀3年(1572年)7月ごろには朝倉家の重臣であった前波九郎兵衛尉吉継、富田弥六郎長繁が織田家に寝返っています

同年10月、武田信玄が上洛(じょうらく)戦を開始したことで、勢いづいた将軍家(しょうぐんけ)足利義昭が挙兵し、朝倉左衛門督もそれに呼応して北近江(きた・おうみ)に出陣しますが、木下藤吉郎秀吉の部隊に敗退し、越前(えちぜん)に撤退しています。

参考記事:
二俣城の合戦―「見る」のではなく「観る」

その後元亀4年(1573年)4月に信玄が死去、7月に足利将軍家が敗退・京都(きょうと)から追放されたことにより、上総介は主力軍を浅井・朝倉討伐に差し向けることが可能となりました。

関連記事:
野田城の合戦―統率力と「イメージ(印象)」の力




朝倉義景の自刃


元亀4年改め天正(てんしょう)元年8月、ついに織田上総介は3万の軍を率いて北近江、小谷(おだに)城を攻めます

西方山本山(やまもとやま)城を擁する阿閉淡路守貞征が浅井家を裏切り、織田方についたことによって、織田軍は小谷城の西~北側への進出が可能になりました

余呉(よご)に出陣していた朝倉左衛門督は田上山(たがみやま)に陣を移し、一部の兵を小谷城のすぐ北の大嶽(おおづく)城〔砦〕に出張らせます。

上総介は、大嶽城の北にある山田山(やまだやま)に陣取ることで、朝倉方の田上山と大嶽城の連絡を断ち、大嵐に乗じて大嶽城を落とします。
さらに丁野(ようの)城も落としましたが、この二戦では敢えて朝倉方の逃走兵を追撃せず、朝倉本陣(ほんじん)に奔らせます

↓参考図(小谷城周辺の動き)※青系は織田方、赤系は朝倉方の動きです。
一乗谷城の戦い(小谷城周辺)



敗戦の知らせをもたらすことによって、朝倉本軍の撤退を促すためです

これにより案の定左衛門督は撤退を開始

上総介は予定通りの追撃戦を開始し、疋壇(ひきだ)城へを向かう朝倉軍を刀根坂(とねざか)でさんざんに討ち果たします。

朝倉軍は主戦力だった武将たちを失い、左衛門督は命からがら居城(きょじょう)一乗谷城へと帰還します。

しかし、手勢はわずか500名ほど。
これでは戦らしい戦もできないということで、従弟の朝倉式部大輔景鏡の助言で大野(おおの)郡に退却することにしました。

関連記事:
『麒麟がくる』第25回―朝倉氏の系譜

軍勢を立て直すために、六坊賢松寺(ろくぼう・けんしょうじ?)に逃げ込んだ左衛門督でしたが、式部大輔の裏切りにより寺を囲まれ、ついには自刃(じじん)して果てました

↓参考図(田上山撤退から自刃までの動き)
(朝倉左衛門尉逃走経路)






実生活に活かす要素は?


上総介の浅井・朝倉軍切り崩しのやり方からも学べることは多いと思うのですが、やはり負けた朝倉左衛門督からの方が断然学べることは多いと思います。

彼が負けた要因というのは直接的な兵力というよりも用兵に難があったからだと思うんです。

特に武田信玄出兵時のタイミングは上総介をやっつける絶好の機会だったと思います。

上総介の盟友徳川三河守家康は信玄に次々と城を落とされ壊滅の様相を呈していたし、上総介自身は信玄が怖くて主力を近江・越前に差し向けられませんでした。


関連記事:
二俣城の合戦―「見る」のではなく「観る」

関連記事:
一言坂の戦い合戦に学ぶ―がむしゃらになれ

関連記事:
三方ヶ原の合戦―最強の能力「豹変力」


そのタイミングで足利(あしかが)将軍家は挙兵し、ここで浅井・朝倉軍が頑張れば上総介を相当追い詰めることが可能だったと思うんですよね。

しかし、左衛門督が木下藤吉郎との一戦に敗退したことですぐに撤退してしまったことで、この包囲網の一端が瓦解しました。

浅井備前守からしてみれば、朝倉頼みで織田家を裏切ったのにこんな仕打ちをされて、「マジ勘弁してくれよ」と泣きべそ状態だったと思います。

左衛門督がこんな行動をとってしまった理由の一つとして、嫡男(ちゃくなん)と愛妾(あいしょう)の死によって政治への興味をなくし、次に迎えた側室(そくしつ)におぼれたことがあると言われています。

そんなこんなで決断らしい決断もしないし、戦に積極的じゃないし、実際負けてるし…の連続で家臣や一族にすら愛想をつかされた結果が賢松寺での自刃です。

だから今回は経営者とか役職等のリーダーレベルでの教訓ですね。

・決断すべきときには経営者〔役職者〕の椅子をかけて決断すべし!!

ということですかね。
「椅子をかけて」ってのは、ミスったら経営者とか役職を辞めてくださいねってことですね。

僕も何回かこういう立場になったことがありまして、決断を迫られたことはたくさんありますが、いざというときに決断するのは結構怖いものです。
しかし、決断すべき時に決断しないと部下たちの気持ちがどんどん離れていきます

反対に、部下たちの話を一生懸命聞いたうえで、集団として最良と思われる決断を、「自分のクビをかけて下した」という行動は人々をひきつけます。

会社の長や部門の長までいかなくても同じです。
課の長、係の長、一家の長、すべて、自分のクビをかける覚悟がなくては人はついてこないということですね。

「覚悟する」って言葉にすると軽いのですが、要は恐怖のシーンを想定して受け入れることです。

自分の目論見が破綻する覚悟、できてますか?

というわけで、みんなで覚悟して難局を乗り切りましょう!

今回は以上です!

※トップ画像はイメージです。

○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・織田 上総介〔右近衛大将、右大臣。通称は三郎〕 平〔藤原、忌部〕 朝臣 信長
おだ かずさのすけ〔うこんえのだいしょう、うだいじん。通称はさぶろう〕 たいら〔ふじわら、いんべ〕 の あそん のぶなが
・朝倉 左衛門督〔通称は孫次郎〕 日下部 朝臣 義景
あさくら さえもんのかみ〔通称はまごじろう〕 くさかべ の あそん よしかげ
・浅井 備前守〔通称は新九郎〕 藤原 朝臣 長政
あざい〔あさい〕 びぜんのかみ〔通称はしんくろう〕 ふじわら の あそん ながまさ
・前波〔桂田〕 九郎兵衛尉〔官職不明〕 日下部 吉継〔長俊〕
まえば〔かつらだ〕 くろうひょうえのじょう〔官職不明〕 くさかべ の よしつぐ〔ながとし〕
・富田 弥六郎 源 長繁
とだ〔とんだ〕 やろくろう みなもと の ながしげ
・武田 大膳大夫〔通称は太郎〕 源 朝臣 晴信〔入道信玄〕
たけだ だいぜんのだいぶ〔通称はたろう〕 みなもと の あそん はるのぶ〔入道しんげん〕
・征夷大将軍〔将軍家〕 足利 権大納言〔通称不明〕 源 朝臣 義昭
せいいたいしょうぐん〔しょうぐんけ〕 あしかが ごんのだいなごん〔通称不明〕 みなもと の あそん よしあき
・木下 藤吉郎 平 秀吉
きのした とうきちろう たいら の ひでよし
・阿閉 淡路守〔通称は万五郎〕 阿閉 朝臣 貞征
あつじ あわじのかみ〔通称はまんごろう〕 あつじ の あそん さだゆき
・朝倉〔土橋〕 式部大輔〔通称は孫八郎〕 日下部 朝臣 景鏡〔信鏡〕
あさくら〔つちはし〕 しきぶのたゆう〔通称はまごはちろう〕 くさかべ の あそん かげあきら〔のぶあきら〕
・徳川 三河守〔通称は次郎三郎〕 源 朝臣 家康
とくがわ みかわのかみ〔通称はじろうさぶろう〕 みなもと の あそん いえやす
☆武家の「通称」の普及を切に願います!

参考
熊谷一哉の徒然なるままに
今日は何の日?徒然日記
ハッシー27のブログ


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記事を読んでいただき、ありがとうございました!他の記事もぜひご覧下さい。
次回は「2種類の文字を使いこなす日本語のすさまじさ」について 。

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※筆者が中学生の時に作詞・高校生の時に作曲した曲を平成22年に自作RPGのBGM用に再アレンジしたものです。







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Posted by 鷲谷 城州 at 21:00│Comments(0)趣味
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