2018年05月03日
『西郷どん』第1~5回―立ち上がりは上々!
《令和6年2月1日更新》
皆さんこんばんは。
今回は今年の大河ドラマ『西郷(せご)どん』第1~5回の感想です。
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。
まずはあらすじ。
薩摩(さつま)の西郷(さいごう)家の嫡男(ちゃくなん)として生まれた小吉(こきち)(渡邉蒼)は郷中(ごじゅう)の仲間たちとともに伸びやかな少年時代を過ごしていた。そんな中、妙円寺(みょうえんじ)参りで勝利を収めた小吉の郷中だったが、帰り道で別の郷中のものに難癖をつけられケンカとなり、小吉は右肩の腱を切られてしまう。一生刀を振れない体になったことで自殺を考える小吉だったが、島津斉彬(渡辺謙)の言葉に救われ、立派な武士を目指すことになる。
成人して吉之助(鈴木亮平)と名乗るようになった小吉だが、藩の郡方書役助(こおりかたかきやくたすけ)という役職につき、領内の様子を見回っていた。そんな中、生活苦により借金をし、借金のカタに売られそうになった娘ふき(柿原りんか)を発見し、何とかその場は助けることに成功した。そういった百姓の窮状を打開すべく調所広郷(竜雷太)に直訴する吉之助だが、結局ふきを助けることができず、その窮状を斉彬に伝えることもできなかった。
貧困に苦しむ西郷家だったが、吉之助の師赤山靭負(沢村一樹)の口利きにより100両を借りることに成功する。その帰りに吉之助は芋泥棒として追われていた少年を助けた。その少年の名は中村半次郎(中村瑠輝人)といった。一方、江戸(えど)で老中首座(ろうじゅう・しゅざ)の阿部正弘(藤木直人)に対して父島津斉興(鹿賀丈史)の不正を訴える斉彬であったが、そのことにより調所広郷が自殺し、危機感を抱いた斉興は斉彬方と思われる藩士(はんし)を次々と処刑していった。
「お由羅(ゆら)騒動」によって切腹に追い込まれた赤山靭負。吉之助の親友である大久保正助(瑛太)は謹慎処分となり、その父次右衛門は喜界島(きかいじま)に流される。騒動に危機感をもった斉彬は父斉興に隠居するように迫り、ついに隠居。斉彬は新藩主として薩摩に戻り、大歓声とともに迎えられた。
藩主に就任した斉彬は祝いとして御前(ごぜん)相撲を開くこととし、下加治屋町(しもかじやちょう)の代表として選ばれた村田新八(堀井新太)に代わって出場し、勝ち進む吉之助。糸(いと)(黒木華)の婚約者である海老原重勝(蕨野友也)に勝ち、見事優勝する。しかし、吉之助と対戦したいという新藩主斉彬を投げてしまう。
ということで
第1回「薩摩のやっせんぼ」。
ドラマ放送前の感想としては下記「雑記帳」さんと同様に僕も「また西郷かよ」という気持ちでした。
西郷隆盛は何度も何度もドラマに描かれてきたし(僕は見ていませんが)大河ドラマでもすでにやっていますし、お腹いっぱいでうんざりという感じでした。
しかし実際見てみると、どの大河ドラマも大体そうなのですが、子供時代は生き生きとしていて非常に面白かったです。
小吉の元気のよさもよかったし、斉彬の頼り甲斐のありそうな感じもよかったですし。
しかし、下記「原寸大の地球儀」さんのおっしゃっている通り岩山糸(渡邉このみ)が妙円寺参りに鎧姿でもぐりこめるのはよくわからなかったし、男尊女卑の激しかったであろう当時の薩摩で女の子が男に紛れて行事に参加したら間違いなく(親や郷中が)罰されると思うので、その辺の不自然さが気になりました。
全体的には僕が欲している「マジメな大河ドラマ」という感じで面白いと思いましたよ。
第2回は「立派なお侍」。
1回目にも登場しておりましたが、2回目にして小吉は元服し、鈴木亮平氏が登場しました。
鈴木氏が無名の頃、僕は彼と一緒に皿洗いをしたことがあるのですが、「役者やってるんだ」と言っていた背の大きな無名の青年がこんなに立派な役者になるとは思ってもみませんでした。
(鈴木氏自身はそのときのことをきっと覚えていないと思います)
そんな鈴木氏が大活躍しているんですが、隆盛の名前について一言。
幕末(ばくまつ)~明治にかけてちょっと知っている人は、隆盛が江戸時代には「西郷吉之助〔吉之介〕」と名乗っていたが明治になって改名して「西郷隆盛」と名前を変えたと思っている人が多いようですが、それ、ちょっと違います。
もともと隆盛は元服して「西郷吉之助隆永」と名乗っており(通称〔「吉之助」の部分〕は何度か改名していますが、結局「吉之助」に落ち着く)、明治になって戸籍に登録するときに間違えて友人が吉之助の父の名前「隆盛」を登録してしまったために、「西郷隆盛」が定着することになりました。
戸籍名とは別に本名は維新(いしん)後も相変わらず「西郷吉之助(藤原)隆永」であり、「吉之助→隆盛」に改名したわけではないんですね。
維新後も結局「吉之助」と呼ばれていたという話ですし。
武家の名前の形式に興味のある方は、下記リンクをクリックしてください:
武家や公家の名前について
ドラマの感想としては、結局斉彬に手紙を渡せなかった吉之介にやきもきはしましたが、楽しく拝見いたしました。
関連記事:
『西郷どん』第6~10回―「伊集院」家は貴族ではなく薩摩武士です。
他のブログさんもおっしゃっていますが、ちょっと残念だったのが、調所広郷への直訴(じきそ)。
当時のヒエラルキー上ほぼ無理な行為です。
ちょっと不自然でした。
第3回は「子どもは国の宝」。
おそらくフィクションではありますが、吉之介と中村半次郎との出会いが描かれ、薩摩藩内の武士の窮状も描かれるなど、とても面白かったです。
関連記事:
『西郷どん』第46~47回―不覚にも感動しました
斉興と斉彬との険悪な関係やお由羅が斉彬を嫌っている様子なども非常によかった。
今回は突っ込みどころも特になく、そんなときは書くこともあまりなくて困ってしまいます 笑
第4回は「新藩主誕生」。
「お由羅騒動」の混乱振りもよかったし、赤山先生の切腹によって視聴者が一気に「斉興(お由羅)憎し」になったタイミングで大歓声とともに迎えられる斉彬。
よかったですねぇ。ちょっと感動してしまいました 笑
斉彬が砂浜で草履(ぞうり)をはかない演出にもグッと来ましたね。
こういう高揚感がほしいんですよ。大河には。
「散々苦労して、いい人たちがどんどん死んで、やっとのことで報われる」という展開は「~直虎」でもできたはずなのに、奇をてらいすぎてできていなかったのが非常に残念。
第5回は「相撲じゃ!相撲じゃ!」。
こちらも面白く拝見しました。
あれだけ粛清(しゅくせい)されていやな思いをしてきた斉彬派ですが、斉彬が藩主になっても赦免(しゃめん)なしで斉興派にもお咎めなしというのは腑に落ちないとは思いましたが、斉彬の考え方をよく表しているんでしょうね。
そして気になったのは糸の婚約者の海老原重勝。
西郷が「吉之助」、大久保が「正助」とみんな通称で呼ばれているのに、なぜ海老原だけ「重勝」と忌み名で呼ばれてるの?
実際に糸の最初の夫は「海老原某」と伝わっていて明らかではないのですが、どうせ創作ならきちんと通称を作るべき。
ちなみに糸の父の岩山直温も、赤山先生の弟の桂久武もそうですが、通称や官職で呼ばれる人と忌み名で呼ばれる人がいて、そういうところがいい加減。統一すべきだと思いますよ。
どちらかといえば、通称や官職で読んだ方がリアルなので、それで統一すべき。
しかし、全体としては(僕の認識としては)「王道大河ドラマ」という感じで楽しく視聴しています。
『真田丸(さなだまる)』や『おんな城主直虎(なおとら)』のような妙なてらいはせずに、このまま「マジメな大河ドラマ」を続けてほしいものです。
『西郷どん』についての他の記事:
『西郷どん』第45回―決別への序曲
同関連記事:
『西郷どん』第43~44回―嵐の前の静けさ
同関連記事:
『西郷どん』第42回―大久保利通の悪役っぷりがいい!
※写真はイメージです。
今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・島津 左近衛権少将〔通称は又三郎〕 惟宗 朝臣 斉彬
しまづ さこんえごんのしょうしょう〔通称はまたさぶろう〕 これむね の あそん なりあきら
・西郷 吉之助〔吉之介〕 藤原 隆永〔隆盛〕
さいごう きちのすけ〔きちのすけ)〕 ふじわら の たかなが〔たかもり〕
・調所 清八〔笑左衛門〕 藤原 広郷
ずしょ せいはち?〔しょうざえもん〕 ふじわら の ひろさと
・赤山〔島津)〕 靭負〔通称は猛二郎〕 惟宗 朝臣? 久普
あかやま〔しまづ〕 ゆきえ〔通称はたけじろう?〕 これむね の あそん? ひさひろ
・中村〔桐野〕 半次郎 坂上 利秋
なかむら〔きりの〕 はんじろう さかのうえ の としあき
・阿部 侍従〔通称は四郎五郎〕 阿部 朝臣 正弘
あべ じじゅう〔通称はしろうごろう〕 あべ の あそん まさひろ
・島津 侍従〔豊後守。通称不明〕 惟宗 朝臣 斉興
しまづ じじゅう〔ぶんごのかみ。通称不明〕 これむね の あそん なりおき
・大久保 正助〔のち一蔵〕 藤原 利済〔のち利通〕
おおくぼ しょうすけ〔のちいちぞう〕 ふじわら の としずみ〔のちとしみち〕
・大久保 次右衛門 藤原 利世
おおくぼ じうえもん ふじわら の としよ
・村田 新八 (氏不明) 経麿〔のち経満〕
むらた しんぱち (氏不明) つねまろ〔のちつねみつ〕
・海老原 (通称・官職不明) (氏不明) 重勝(おそらく創作)
えびはら (通称・官職不明) (氏不明) しげかつ(おそらく創作)
・岩山 八郎太 (氏不明) 直温
いわやま はちろうた (氏不明) なおあつ
・桂 四郎〔小吉郎、右衛門とも〕 惟宗 久武
かつら しろう〔こきちろう、うえもんとも〕 これむね の ひさたけ
参考
Toshi's Restart
第1回
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第2回
ブログ 敬天愛人
ショコラの日記帳・別館
雑記帳
第3回
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真田のよもやま話
昼寝の時間
第4回
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第5回
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Posted by 鷲谷 城州 at 19:00│Comments(0)
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