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2009年12月10日

オリバー・ツイスト

ロンドン
Free-PhotosによるPixabayからの画像

こんにちは。
今回は、『戦場のピアニスト』のロマン・ポランスキー監督の2005年公開作品『オリバー・ツイスト』について。


参考記事:
戦場のピアニスト

この映画の原作は、19世紀のイギリス作家チャールズ・ディケンズの作品。
おそらくポランスキー氏らの腕で面白い映画に仕上がったと思うのだが(ポランスキー以外の映画版は見ていないが)、原作自体がクセのある作品で、原作を読んだらたぶん面白くないんじゃないかと思う(読んだことはないが)。

というのも、


↓こちらの映画について書いています。

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原作の『オリバー・ツイスト』という小説は、16世紀から17世紀にスペインで発祥し、イギリスでも流行した「ピカレスク小説(※1)」という形式の影響を受けていて、その「ピカレスク小説」というのは単に「事実を羅列しただけ」であることが多い文章なので、ある筋から言わせれば「文学」たりえないものが多いらしい。
(「ある筋」とは夏目漱石のことだが。次回詳しく書く予定)


上記評論が書いてある本の紹介記事です。興味を抱いた方は、下記リンクをクリックしてください:
夏目漱石『文学評論』

夏目漱石関連の記事:
夏目漱石『こころ』におけるKの寿命問題

同関連記事:
『いだてん』、僕は面白いと思うのに、なぜ視聴率が伸びない?(第4~5回)


夏目翁に言わせれば、「文学」とは「物語」のこと。
「物語」とは「ひとつの一貫した大きな事件」の中に、「小さな事件」が連続すること。
「事件」とは人の生に始まり、人の死に終わるものではなく、人の生以前から始まっているものもあるし、人の死のあともなお続く。

だから、ひとつの作品の始まりと終わりは、主人公の生死に焦点を当てるのではなく、主人公を取り巻く、ひとつの一貫した大きな事件に焦点を当てるべきだということ。

そして、「文学」というものは、物語の中に「偶然」が多発すると読者が「必然性」を感じることができなくなり、ニュース記事を読んでいるように緩慢なものになってしまう。
だから、多くの「必然(=登場人物の人柄が原因となって引き起こす事件)」の中に、少数の「偶然(=登場人物の人柄に関係なく、自然現象などが引き起こすもの)」がちりばめられて、初めて面白くなる。

この「偶然」の多発をやってのけたのが「ピカレスク小説」であり、「文学」として読んだときは面白くもなんともないようだ(※2)。

で、この『オリバー・ツイスト』の話は、
・主人公の「誕生」が物語の始まり
・ほとんどの「事件」が「偶然」によって発生する(因果関係があいまい)
・主人公のオリバーの自我が、ほぼない。
・事実の羅列である

という点で、まさしく「ピカレスク小説」を地でいっていて、興味深い(笑

しかし、映画自体は面白かった。
上にも書いたが、原作を読んでいないので断言はできないが、この映画のできのよさはおそらくロマン・ポランスキー氏の力量だと思う。

お勧めの一本です。


その他の映画についての記事:
実写化の悪評を覆した作品―『THE NEXT GENERATION パトレイバー』(シリーズ特別編)

同関連記事:
観る人を選ぶ変態サスペンス映画―『パーフェクト・ホスト』


参考
茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~
ネタバレ映画館
5125年映画の旅

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次回は夏目漱石『文学評論』について。

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Posted by 鷲谷 城州 at 16:20│Comments(2)映画
この記事へのコメント
※1
イギリスでの「ピカレスク小説」の代表作はダニエル・デフォーの『ロビンソン・クルーソー』(発表は1713年)。

『ロビンソン~』を読んだことのある人は、記事の「ピカレスク小説」の話に合点がいくかもしれない。
(ちなみに、僕は読んだことがありませんw)
Posted by 長十郎 at 2009年12月10日 16:31
※2
ただし、ディケンズの活動はイギリスでの「ピカレスク小説」の流行から1世紀を経ているので、それなりに昇華されているのかもしれない。
Posted by 長十郎 at 2009年12月10日 16:32
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