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2018年11月23日

戸石城の合戦―相手の心理を推し量る

砥石城枡形城
《令和5年6月26日更新》

皆さんこんばんは。
今回は「合戦における戦術について」シリーズの第2弾ということで「戸石(といし)城の合戦」について書きます。
『歴史と旅』増刊「日本合戦総覧(昭和63年1/10臨時増刊、秋田書店)」の坂本徳一氏の記事を参考にしています。
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。

【今までの記事】
第1弾 勝弦峠の合戦


武田晴信と村上義清の別の戦いについて知りたい方は、下記リンクをタップしてください:
各合戦の動員人数について(17)上田原の合戦

村上義清関連の記事:
各合戦の動員人数について(14)瀬沢の合戦

同関連記事:
川中島の合戦―場を俯瞰し、目先の動きに没入しない


戸石城〔砥石城〕の合戦とは、天文(てんぶん)19年(1550年)に武田晴信〔信玄〕と村上義清の間で行われた戦いです。
場所は長野県上田市(ながのけん・うえだし)です。

武田晴信の他の戦い:
三方ヶ原の合戦―最強の能力「豹変力」

前回の勝弦峠(かっつるとうげ)の合戦のあと林(はやし)城にて小笠原長時を京都(きょうと)へ追った晴信は、この2年前に上田原(うえだはら)の合戦にて苦杯(くはい)をなめさせられた村上義清を倒すべく、義清の居城(きょじょう)葛尾(かつらお)城に兵を進めました。

ところがその情報をキャッチした義清は、堅城で知られる戸石城に移ったため、晴信は戸石城に向かいました。

晴信は最初は直接攻撃を仕掛けて落とそうとするもののなかなかうまくいかず、途中から兵糧(ひょうろう)攻めや、お得意の水の手を切る作戦を行うもの芳(かんば)しくなく、次には調略(ちょうりゃく)によって義清の孤立化を狙いますが、結局は城の内外から義清軍に挟み撃ちにされ、退却します。

晴信の生涯二度の敗戦のうちのひとつです。

今回は晴信方で戦術を考えるよりも、義清方で考えた方がわかりやすそうなので、義清視点で考えます。

まずは、情報戦ですね。
晴信が葛尾城に向かっているという情報をいち早くキャッチできていなかったら戸石城には移れなかったわけですから、情報収集能力の高さがポイントですよね。

次に、アイディア豊富な発想力ですね。
水の手を切られたとき、武田方から見える位置で馬にお米をかけさせて、遠くから見たら水で洗っているかのように見せたという逸話がありますね。
この様子を見た晴信は、水が豊富にある城に持久戦を仕掛けても無意味と焦り、城に直接攻撃を仕掛けたという話です。

※水の手を切るのは晴信お得意の作戦です。


関連記事:
野田城の合戦―統率力と「イメージ(印象)」の力

関連記事:
二俣城の合戦―「見る」のではなく「観る」



そして、篭城(ろうじょう)していると見られた義清軍が、実は外に出ていて武田(たけだ)方に裏切った諸将を各個撃破し、最終的には城に向かっている武田軍を攻撃したという話もすばらしいですね。

敵に動きを知られずに動けるのもすばらしいですし、別の城にいる武田方の諸将を隠密で撃破していったことで武田軍を疑心暗鬼にし(裏切り者が出たのではないか、とか、義清軍が実は城にいないのではないか)、士気を下げるというのもすばらしい作戦ですね。

というわけで、村上軍の勝因は
・情報力
・敵の心理を読み意のままに動かし、また敵に原因不明の恐怖感を与え、士気をくじく智謀
といった感じでしょうかね。

参ったとしかいいようがありませんね 笑

※画像はイメージです。

今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・武田 大膳大夫〔通称は太郎〕 源 朝臣 晴信〔信玄〕
たけだ だいぜんのだいぶ〔通称はたろう〕 みなもと の あそん はるのぶ〔しんげん〕
・村上 左近衛少将〔通称不明〕 源 朝臣 義清
むらかみ さこんえのしょうしょう〔通称不明〕 みなもと の あそん よしきよ
・小笠原 信濃守〔大膳大夫。通称は又二郎〕 源 朝臣 長時
おがさわら しなののかみ〔だいぜんのだいぶ。通称はまたじろう〕 みなもと の あそん ながとき

参考
戸石城について
城・陶芸・ハイキング・ダイビング・スキー・旅行
今日は何の日?徒然日記
日本の歴史ガイド~日本のお城 城跡 史跡 幕末~
代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

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※筆者は作詞とメロディの作成、ボーカル、ギターを担当しています。






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Posted by 鷲谷 城州 at 20:00│Comments(0)趣味
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