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2019年01月26日

川中島の合戦―場を俯瞰し、目先の動きに没入しない

川中島
《令和6年4月10日更新》

皆さんこんばんは。
今回は「合戦における戦術について」シリーズの第6弾ということで「川中島(かわなかじま)の合戦」について書きます。
『歴史と旅』増刊「日本合戦総覧(昭和63年1/10臨時増刊、秋田書店)」の澤田ふじ子氏の記事を参考にしています。
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。


参考
第1弾 勝弦峠の合戦
第2弾 戸石城の合戦
第3弾 長森原の合戦
第4弾 三分一原の合戦
第5弾 栃尾城の合戦

まずはどのような戦だったのかというと


一般的には第一次~第五次までの五度の戦があったとされていますが、有名な武田信玄〔晴信〕と上杉謙信〔長尾景虎、上杉政虎、上杉輝虎〕との戦いですね。

第一次は天文(てんぶん)22年(1553年)に武田晴信が北信濃(きた・しなの)の村上義清を追い詰めて起こった戦いです。
義清に助けを請われ、それを受け入れて北信濃への影響力を守ろうとした長尾景虎が晴信と衝突した戦いですが、本格的な戦いは行われていません。

この戦いによって村上義清の北信濃への影響力がほぼ無力化し、武田晴信が影響を及ぼし始めます。


村上義清についてもっと知りたい方は、下記リンクをタップしてください:
戸石城の合戦―相手の心理を推し量る

関連記事:
各合戦の動員人数について(17)上田原の合戦

関連記事:
各合戦の動員人数について(14)瀬沢の合戦


第二次は天文24年(1555年)、北信濃の豪族(ごうぞく)が武田(たけだ)方へ寝返ったことによって旭山(あさひやま)城が武田方へ帰し、それを抑えるべく景虎が葛山(かつらやま)城を築城したことで、晴信は旭山城への援軍として犀川(さいがわ)まで出兵し、川を挟んで長尾軍と対峙しました。

この合戦も大きな戦いは行われませんでしたが、武田家は着実に北信濃への影響力を強めています。

第三次は弘治(こうじ)3年(1557年)、葛山城に進出した晴信を抑えるべく景虎が出陣したことによって起こります。
この戦いも晴信と景虎の間には直接的な戦いは行われず、晴信の着実な北信濃侵攻がなされます。

第四次がもっとも有名な戦いですね。
永禄(えいろく)3年(1560年)、上杉政虎(長尾景虎が改名)が北条氏を攻めている最中に信玄(武田晴信が改名)が川中島に海津(かいづ)城を築いたことにより、政虎は北信濃にとって返し起こった戦いです。

政虎は海津城を抜いて妻女山(さいじょさん)に陣を敷きますが、それに対する信玄は千曲川(ちくまがわ)の対岸にある塩崎(しおざき)城に入ったと言われます(諸説あり)。

この状態で塩崎城と海津城で政虎を挟む形となった武田軍ですが、信玄はなぜか海津城に移動します。
ここでかの有名な「啄木鳥戦法(きつつきせんぽう)」の登場ですね。

武田家の本体は妻女山や海津城に北側の八幡原(はちまんぱら)にあらかじめ陣取っておき、海津城から出発させた別働隊に妻女山を襲わせ、逃走してきたところを八幡原の本体と挟み撃ちにする、という作戦です。

しかし、政虎方はこれを事前に察知し、武田家の別働隊に襲われる前に八幡原目指して北上します。
武田家の本体は目の前にいるはずのない上杉軍が現れたことで面喰らい、多大な損害を受けますが、妻女山を襲おうとした別働隊の合流により持ち直し、上杉方は善光寺(ぜんこうじ)に敗走しました。

第五次は永禄7年(1564年)に飛騨に進出しようとした信玄を妨害するために上杉輝虎が出兵したことにより起こりますが、こちらも本格的な武力衝突は起こらずに終わっています。

というわけで、戦術についてですが、個々の戦いを取り上げるのはまた別の機会にした方がいいと思うので、全体像について。

こうやって五度の戦の全体像を俯瞰してみると、まるっきり「碁」ですね。

どこの城に味方勢力を置いて、囲まれたら豪族は寝返って、また囲み返して取り返して…みたいな感じです。

そして特に感じるのは両軍の撤退のうまさです。
以前にも書きましたが(三分一原(さんぶいちはら)の合戦)、撤退というのは非常に難しいです。

関連記事:
三分一原の合戦―有力者を味方にする

人はいつまでも「もっと戦えばいつか勝てるかも」という希望を捨てられないもので、「これ以上戦っても損害が増えるだけ」という判断をなかなかできません。

さらに、いったん敗走するとなるといち早く逃げ帰りたいと気持ちが焦り、戦略が荒くなります。

そうなると軍勢の秩序は乱れ、追っ手に狩られまくってしまいます。

それに対して、この戦いでは両軍ともに「やベー、やべー、どうしよう。マジやべー。おれ死ぬかも。マジどうしよう」と動揺する前に冷静に「これ以上戦っても無駄」と判断したことにより戦略的に退却しています。


「撤退」についての関連記事:
天目山の戦いから学ぶ―撤退のベスト・タイミングとは

同関連記事:
『麒麟がくる』第31回―浅井家の来歴

同関連記事:
野田城の合戦―統率力と「イメージ(印象)」の力

同関連記事:
金ヶ崎城の合戦―過去の実績にこだわらない


2人とも「戦上手」と呼ばれる所以でもあるでしょうね。

というわけで、この戦いで際立っているのは
・地勢を俯瞰(ふかん)して碁石を打つかのように拠点を攻略する戦局眼
・状勢を冷静に判断し、退却のタイミングを見誤らない判断力

ということになるでしょうか。
改めて考えると勉強になります。

今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・武田 大膳大夫〔通称は太郎〕 源 朝臣 晴信〔入道信玄〕
たけだ だいぜんのだいぶ〔通称はたろう〕 みなもと の あそん はるのぶ〔入道しんげん〕
・長尾〔上杉〕 平三〔官職はのち弾正少弼〕 平〔藤原〕 (朝臣) 景虎〔政虎、輝虎。入道謙信〕
ながお〔うえすぎ〕 へいぞう〔官職はのちだんじょうののしょうひつ〕 たいら〔ふじわら〕 の あそん かげとら〔まさとら、てるとら。入道けんしん〕
・村上 左近衛少将〔通称不明〕 源 朝臣 義清
むらかみ さこんえのしょうしょう〔通称不明〕 みなもと の あそん よしきよ

参考
今日は何の日?徒然日記
KIDの日常
明治・大正名所 探訪記


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Posted by 鷲谷 城州 at 20:00│Comments(0)趣味
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