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2018年02月16日

各合戦の動員人数について(3)新井城の戦い

三崎口
《令和5年11月26日更新》

皆さんこんばんは。
今回は新シリーズ「各合戦の動員人数について」の3回目で「新井(あらい)城の戦い」についてです。
今回も『歴史と旅』増刊「日本合戦総覧(昭和63年1/10臨時増刊、秋田書店)」の新井英生氏の記事を参考にしています。
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。


今までの記事
第1弾 江古田原沼袋合戦
第2弾 権現山の戦い

「新井城の戦い」はどんな戦いかというと…


伊豆(いず)を平定し、小田原(おだわら)城を手にしたのち権現山(ごんげんやま)の戦いに敗れた北条早雲〔伊勢宗瑞〕が相模(さがみ)平定を賭け、三浦(みうら)氏の篭る三浦半島の新井城を攻めた戦いです。


三浦半島関連の記事を読みたい方は、下記リンクをタップしてください:
三浦

伊勢宗瑞関連の記事:
権現山の戦いから学ぶ―弱い者の戦い方

同関連記事:
各合戦の動員人数について(2)権現山の戦い

同関連記事(16世紀初めの群雄割拠):
大航海時代に日本が侵略されなかった理由(6)―1501年時点での日本の統一状態について


戦そのものについては下記リンクをご覧いただければと思いますが、簡単に言うと、相模平定のために鎌倉郡(かまくらぐん)と三浦郡(みうらぐん)を残すだけとなった宗瑞が永正(えいしょう)九年(1512年)に山内上杉(やまのうち・うえすぎ)の内紛に乗じて(北関東(きたかんとう)からの援軍が来ないことを見越して)扇谷上杉高救の子である三浦義同〔道寸〕の守る岡崎(おかざき)城〔平塚市(ひらつかし)〕を攻めたことに始まります。


関連記事:
新井城の戦いから学ぶ―慎重に準備し、且つ大胆に行動すべし

三浦家関連の記事:
『青天を衝け』第21回―杉浦愛蔵について


義同は三浦半島の住吉(すみよし)城に逃げ、鎌倉に入った宗瑞は玉縄(たまなわ)城を築き、翌永正十年(1513年)三浦氏救援のために太田道灌の息子資康が玉縄城を攻めますが撃退、資康を敗死させ、さらに翌年の永正十一年(1514年)には三浦義同が鎌倉を攻めますが、撃退されて子息義意とともに逆に三浦半島の新井城に追い詰められてしまいます。

宗瑞は新井城を囲んで3年に及ぶ篭城戦(ろうじょうせん)が開始され、永正十三年(1516年)には扇谷上杉朝興が江戸(えど)城から三浦氏救援の部隊を送り込むが、宗瑞は撃退。これを機に新井城へ総攻撃をかけて落城させたという戦いです。

この戦いで宗瑞は相模平定を終え、2年後の永正十五年(1518年)に家督(かとく)を嫡男(ちゃくなん)氏綱に譲り、翌十六年(1519年)に64歳で亡くなっています(88歳説もありましたが、最近は疑問視されています→北条早雲

で、肝心の合戦に動員された人数ですが、「戦国武将列伝Ω」さんによりますと、新井城に篭った三浦勢は2,000人、それを攻めた伊勢〔北条〕勢は「新井城の囲みに2000を残し、玉縄城の北へ4000~5000を配置し、玉縄城へ迫った救出軍を撃退した」とのことなので、足し算して6,000~7,000人ですね。

2,000の篭城勢を攻めるには6,000~7,000人というのはだいぶ少ない人数ですので、単純に人数だけで考えると落城させるのに3年かかったというのは無理もない話です。

また、今までの記事で扱った合戦との比較で考えると
・江古田原沼袋合戦(えごたはらぬまぶくろがっせん)
 太田道灌 1,500人(4万石):豊島泰経 6,000人(17万石)
・権現山の戦い
 上杉朝良・憲房連合軍 20,000人(57万石):上田政盛2,000人(5万7,000石)

ということで、篭った三浦勢2,000人、伊勢〔北条〕勢6,000~7,000人というのは規模の上から見てもおかしくはない人数ですね。

石高(こくだか)でいうと
・三浦氏 5万7,000石
・伊勢〔北条〕氏 17万~20万石
となりますが、「大国・上国・中国・下国一覧」さんによりますと相模一国の石高(慶長(けいちょう)三年(1598年)時)が194,304石で、伊豆一国が69,832石なので、伊豆+相模の大半を治めていた伊勢宗瑞の動員人数としては妥当かなというところですね。

結論
伊勢宗瑞〔北条早雲〕:6,000~7,000人(約17~20万石?)
三浦義同・義意:2,000人(約5万7000石?)

今回登場した人物のフルネーム
・伊勢 左京大夫?〔通称は新九郎〕 平 朝臣? 盛時〔長氏、入道早雲庵宗瑞。いわゆる北条早雲〕
いせ さきょうのだいぶ?〔通称はしんくろう〕 たいら の あそん? もりとき〔ながうじ、入道そううんあんそうずい。いわゆるほうじょうそううん〕
・上杉〔三浦〕 弾正少弼〔修理亮、通称不明〕 藤原〔平〕 朝臣 高救
うえすぎ〔みうら〕 だんじょうのしょうひつ〔しゅりのすけ、通称不明〕 ふじわら〔たいら〕 の あそん たかひら
・三浦(介) 陸奥守〔通称は不明〕 平 朝臣 義同〔入道道寸〕
みうら(のすけ) むつのかみ〔通称は不明〕 たいら の あそん よしあつ〔入道どうすん〕
・太田 源六 源 資康
おおた げんろく みなもと の すけやす
・三浦 弾正少弼〔通称は荒次郎〕 平 朝臣 義意
みうら だんじょうのしょうひつ〔通称はあらじろう〕 たいら の あそん よしおき
・(扇谷)上杉 修理大夫〔通称は五郎〕 藤原 朝臣 朝興
(おうぎがやつ)うえすぎ しゅりのだいぶ〔通称はごろう〕 ふじわら の あそん ともおき
・北条〔伊勢〕 左京大夫〔通称は新九郎〕 平 朝臣 氏綱
ほうじょう〔いせ〕 さきょうのだいぶ〔通称はしんくろう〕 たいら の あそん うじつな
・太田 備中守〔左衛門少尉、左衛門大夫。通称は不明〕 源 朝臣 資長〔持資。入道道灌〕
おおた びっちゅうのかみ〔さえもんのしょうじょう、さえもんのだいぶ。通称は不明〕 みなもと の あそん すけなが〔もちすけ。入道どうかん〕
・豊島 勘解由左衛門尉〔通称不明〕 平 朝臣? 泰経
としま かげゆさえもんのじょう〔通称不明〕 たいら の あそん? やすつね
・(扇谷)上杉 治部少輔〔通称は五郎〕 藤原 朝臣 朝良
(おうぎがやつ)うえすぎ じぶのしょう〔通称はごろう〕 ふじわら の あそん ともよし
・(山内)上杉 兵庫頭?〔通称は五郎〕 藤原 朝臣? 憲房
(やまのうち)うえすぎ ひょうごのかみ?〔通称はごろう〕 ふじわら の あそん? のりふさ
・上田 蔵人(通称か官職か不明) 日奉 朝臣? 政盛?
うえだ くろうど(通称か官職か不明) ひまつり の あそん? まさもり?

※写真は新井城の側、京急三崎口駅付近の看板です。

参考
大名が動員できる人数は?
若干「早雲伝説」的な記述が見られますが。
今日は何の日?徒然日記
山城ガールむつみの出陣のススメ
趣味の部屋

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次回は「子どものころ読んでいた本」。

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Posted by 鷲谷 城州 at 19:00│Comments(0)趣味
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