2006年10月11日
森口豁『最後の学徒兵』
《令和5年7月24日更新》
第二次大戦後の戦争裁判を描いたドキュメント作品である。
第二次大戦については別として、戦争裁判に関してはわれわれは裁かれた側であり、被害者的な意識に陥ってしまい、それは歴史を評価する上で排除すべき意識なのであるが、(A級戦犯はともかく)BC級戦犯に関してはどう客観的に見ても、われわれ日本人は被害者である、と言ってしまいたくなるのである。
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A級戦犯に関しては僕には言うことがない。古代から、どこの国でも敗戦国の首脳は死刑を迫られてきたのであり、積極的であれ消極的であれ、戦勝国に対して責任が生じるのだ。
(例えば、わが国の関が原の合戦で敗戦した石田三成や小西行長が処刑されたのと同じ理屈である)
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しかし、BC級に関してはA級戦犯と同じ理屈で議論してはいけないのである。別物である。
なぜ別物かと言えば、本書によれば、当時のBC級裁判の手続きは到底公正なものではなかった。
本書で扱われているのは戦争末期、石垣島の部隊に配属された学徒兵、田口泰正という人物である。
彼は石垣島で捕虜となったアメリカ兵三人のうち、一人に対して上官の命令で処刑を行ったのである。
上官の命令とはいえ、実際に人を殺したのだから、彼は裁かれて当然なのである。
しかし、彼にはやってもいない余罪がついた。
戦後、アメリカ軍人によって行われた暴力的な自白強要。証拠のない犯罪のでっちあげ。
アメリカ人裁判官の個人的な感情が大いに入り込んだ偏った判決。
マッカーサー宛ての助命嘆願文の抹消。
敗戦国であるから仕方がないとも言えるが、BC級戦争裁判は、裁判の名を借りた虐殺であった。
悲しいかな、われら日本人の多くはこの事実をA級戦犯と混同し、BC級に関しても「戦争を起こしたんだから、死刑にされて当然」という認識でいる。
われらは、終戦にあたって、BC級裁判(裁かれたのは下級仕官、一兵卒などであり、「近所のおじさん、お兄ちゃん」レベルの人々である)という大きな犠牲を払ったことを認識すべきだ。
そして、当時の数少ない資料を日米を行き来して探し出し、もうすでに高齢となった関係者に話を聞き、本書を作り上げた著者の努力は大いに賞賛すべきだと思う。
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Posted by 鷲谷 城州 at 21:26│Comments(0)
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