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2020年05月04日

これぞ徳川家の柱石・三河武士の死にざまだ!!(山岡荘八『徳川家康』第2巻)

山岡荘八『徳川家康』第2巻


皆さんこんばんは。
今回は山岡荘八氏の大作『徳川家康』(全26巻)の草創期である第2巻「獅子の座の巻」のご紹介です。

個人的にはこの『徳川家康』は祖母が愛読していたということで、愛着のある作品です。

読み始めたのは去る平成24年。今から8年前です。

他の本に浮気しつつも全26巻を最初に読み終えたのが、2年後の平成26年ごろだったと思います。

直後に2回目を読み始め、それが終わったのがまた2年後の平成28年ごろ。
またすぐに3回目を読み始めて今は23巻を読んでいるところです。

徳川家康というと、「織田信長と豊臣秀吉が作り上げた天下統一の功績を、関ヶ原の戦いと大坂の陣で豊臣家を滅ぼしてかっさらった」みたいな言われ方をしていますが、僕はそれを払拭したい!

この小説は全26巻あるので非常にハードルが高いのですが、この小説さえ読んでいただければ、家康のそういった「古狸」的なイメージは一新できると信じているのです。

【これまでのレビュー】
第1巻

では、第2巻のレビューをどうぞ!


<竹千代の人質生活の始まり>


織田家と松平家の間を取り持とうとした水野右衛門大夫(忠政)の死によって、水野家は完全に織田方へ味方することとなりました。

右衛門大夫忠政は娘・於大を松平次郎三郎(広忠)の正室とすることで和平の道を探りましたが、右衛門大夫忠政の跡を継いだ下野守(信元)は於大と次郎三郎広忠を離別させます。

そのことによって松平家と織田家とのつながりは切れ、松平家は今川方として最前線にさらされることとなります。

松平家は駿河の今川家からの庇護をより強固なものにするため、嫡男の竹千代(のちの徳川家康)を駿河へ人質として送ることを決定します。

天文16(1547)年、竹千代は小姓たちを引き連れて輿に乗って駿河へと向かいますが、途中で立ち寄った渥美半島・田原城の戸田弾正少弼(康光)の裏切りによって、尾張・織田家へとさらわれていきました。

巻全体としてはその後、
・松平(次郎三郎)広忠が家臣の岩松八弥に刺殺され死亡(『麒麟がくる』では駿河で三郎信長の刺客に殺されたことになっていますね)。
・太原雪斎率いる松平軍が壮絶な戦いの末、安祥城を奪還して織田(三郎五郎)信広をとらえる
・(三郎五郎)信広と竹千代の人質交換が行われ、竹千代は駿府へと旅立つ。

という重要な展開が続いていきます。

<三河武士の忠節>


1巻についての感想を書いたときは、竹千代の母である於大の「母の愛」「平和への願い」が竹千代の誕生に込められている、という話を書きましたが、今回の2巻で注目すべきは「三河武士の忠節」ではないでしょうか。

冒頭の安祥城攻めからいきなり本多平八郎(忠豊:忠勝の祖父)が(次郎三郎)広忠の身代わりになって敵中に飛び込み、討ち死にします

そのほかには鳥居伊賀守(忠吉:彦右衛門元忠の父)、阿部大蔵(定吉※)や大久保新八郎(忠俊)などの活躍にも心を打たれます。
※次郎三郎広忠の父清康を刺殺した阿部弥七郎正豊の父

しかしこの巻で際立っているのは人質として送られる竹千代の護衛役だった金田与三左衛門(よそうざえもん)の壮絶な死ではないでしょうか?

与三左衛門の役割は、竹千代が駿河へ人質として送られる際に無事駿河へと連れていくことでしたが、戸田弾正のだまし討ちによって囲まれてしまいました

そこで、戸田方の竹之内波太郎(山岡荘八氏の創作人物)と戸田弾正康光の子(通称不明)宣光が金田与三左を説得します

刈谷の水野、岡崎の松平、田原の戸田の三者で手を組んだら、強大な今川とて容易に手は出せなくなる。
そして、織田と今川の力を拮抗させる
そのために、なんとしても竹千代を織田の手中に渡す必要がある、と。

与三左はここで抵抗したら竹千代と幼い小姓たちの命が危険にさらされるという判断と、どうやら波太郎や宣光は竹千代を殺す気はないらしいという判断によって、竹千代らを宣光に渡します

与三左は波太郎らに、尾張まで竹千代についていてほしいと言われますが、きっぱりと断り、刀を逆にもち、その上に全体重をかけて自決します。
いわゆる「立ち腹」です。

竹千代を無事駿河まで連れていく、という主命を守れなかった責任を取ったのでした。

山岡氏は、このときの与三左のようなきっぱりとした物言いと、主命のためなら何の未練もなく命を投げ出せる健気さが三河武士の特徴だとして、物語全般で強調しています。

僕にとっては、この与三左の死が2巻のエピソードの中で最も強く印象に残っています。

そして、この時竹千代に付き従った小姓たちの健気さもよかったです。

田原までついていったのは

・阿部徳千代
・松平与一郎
・天野又五郎
・天野三之助
平岩七之助
石川与七郎
・平岩助右衛門

です。

このうち尾張までついていったのは
阿部徳千代
・天野三之助

の2人。

駿府へ移されてからは
鳥居彦右衛門
・石川彦五郎
が加わっています(おそらく田原で別れた小姓たちも一部駿府で合流しています)。

この小姓たちの一部は後々まで活躍するのですが、それが分かると感動もひとしおです。

【小姓たちの成長後の名前】
・阿部徳千代→阿部伊予守正勝

・松平与一郎→松平与一郎忠正(「野田城の合戦」で最後まで武田軍と戦い抜き、命からがら救出されたあの松平与一郎です)

・天野又五郎→天野三郎兵衛康景

・平岩七之助→平岩主計頭親吉(家康の側近中の側近で、のち尾張大納言徳川義直の補佐を任される)

・石川与七郎→石川伯耆守数正(家康の側近中の側近で、家康が浜松に移った後に岡崎の政務全般を任された)

・鳥居彦右衛門→鳥居彦右衛門元忠(家康の側近中の側近で、関ヶ原合戦時に伏見城の守備を任され、玉砕した)

・石川彦五郎→石川日向守家成

彼らは幼いながらに当主(の嫡子)である竹千代を守ろうとしました。

そして大人になっても徳川家のために命を懸けていく姿に後々感動します。

こんな感じで、戦国の世に平和を迎えるために身命を賭した徳川の英霊たちの伝説の序章となっている巻です。

少しでも興味をもたれたら、ぜひ読んでみてください!!
徳川(松平)家臣たちの魂に心が奮えます!!


○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・征夷大将軍 徳川 太政大臣 源 朝臣 家康
・織田 右大臣(通称は三郎、上総介) 平(藤原、忌部) 朝臣 信長
・関白 羽柴(木下) 太政大臣(通称は藤吉郎) 豊臣(平、藤原) 朝臣 秀吉
・水野 右衛門大夫(通称は藤七郎) 源 朝臣 忠政
・松平 次郎三郎 源 広忠
・水野 下野守(通称は藤四郎、藤七郎(劇中では藤五郎)) 源 朝臣 信元
・戸田 弾正少弼(通称は弾正左衛門) 源 朝臣 康光
・岩松 八弥 (氏不明) (諱不明)
・庵原 (通称不明) 藤原 (諱不明)(太原崇孚雪斎)
・織田 三郎五郎 藤原(忌部) 信広
・本多 平八郎 藤原 忠豊
・本多 中務大輔(通称は平八郎) 藤原 朝臣 忠勝
・鳥居 伊賀守(通称不明) 平 朝臣 忠吉
・鳥居 彦右衛門 平 元忠
・阿部 大蔵 阿部 定吉
・松平 次郎三郎 源 清康
・阿部 弥七郎 阿部 正豊
・大久保 新八郎 藤原 忠俊
・金田 与三左衛門 (氏不明) (諱不明)
・戸田 (官職・通称不明) 源 宣光
・阿部 伊予守 阿部 朝臣 正勝
・松平 与一郎 源 忠正
・天野 又五郎 藤原 康景
・平岩 主計頭(通称は七之助) 弓削 朝臣 親吉
・徳川 権大納言(通称不明) 源 朝臣 義直
・石川 伯耆守(出雲守。通称は与七郎) 源 朝臣 数正
・石川 日向守(通称は彦五郎) 源 朝臣 家成
☆武家の「通称」の普及を切に願います!

↓『徳川家康』に興味がわいてきたら下記リンクからぜひ読んでみてください!



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参考
『徳川家康』全般について
トドクロちゃんと山登り
1・2巻について
のむさんの読書日記
ブログ[こじろう文庫

/
記事を読んでいただき、ありがとうございました!他の記事もぜひご覧下さい。
次回は「ビジネスに活かす戦国合戦術(17)第一次高天神城の合戦」。

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今期イチオシ曲!ぜひ聞いてください!
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