『青天を衝け』第2回―身分秩序について
《令和6年11月28日更新》
皆さんこんばんは。
今回は令和3年の大河ドラマ『青天を衝け』第2回に関しての楽しみ方を解説したいと思います。
大河ドラマを見てみたけれど、歴史もよくわからないし、どう楽しんでいいのかわからない。
歴史には興味あるけど、自分では積極的に勉強する気になれない、という方必見です!
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名をのせています。
【『青天を衝け』の楽しみ方】・第1回―渋沢家について
まずはあらすじ。
第2回のあらすじ
嘉永(かえい)2年(1849年)、9歳になった渋沢栄一(小林優仁)は父・市郎右衛門(小林薫)の仕事を手伝い、信濃国豊村(しなののくに・ゆたかむら)での藍葉(あいば)の買い付けに同行した。
父の仕事を覚えていく栄一だったが、ある日、岡部(おかべ)藩の代官・利根吉春(酒向芳)より藩の道の整備のために人足100人を出せという命令を伝えられた。
その時期は栄一たちの住む血洗島(ちあらいじま)にとって繁忙期であり、この時期に仕事に精を出さねば生活が苦しくなるのだが、そういった百姓の事情に一切耳を貸さない利根に対し、栄一は憤慨した。
嘉永6年(1854年)、成長した栄一(吉沢亮)は従兄の尾高新五郎惇忠(田辺誠一)の下で剣術や学問に明け暮れていた。
姉のなか(村川絵梨)や父に叱られつつ、仕事にも精を出すのであった。
そんな中、日本にはアメリカからの使者マシュー・ペリー(モーリー・ロバートソン)が迫っていた。
ということで、
第2回「栄一、踊る」の感想
面白かったです。
利根吉春の悪代官ぶりについては、そこまで悪いやつはいたのかとも思いましたが、当時は徹底的な百姓(ひゃくしょう)差別があったようなのであり得る話ですね。
※身分秩序について、詳しくは後述します。
いつものことながら、こうした徹底的な悪役がいると物語が面白くなるので、必要な要素なのかなと思ってもいます。
他の大河における「悪役」について知りたい方は、下記リンクをタップしてください:
『麒麟がくる』第29回―押領とは何か
関連記事:
『麒麟がくる』第28回―摂津晴門とは何者?
関連記事:
『いだてん』第41~42回―川島正次郎のお陰で面白くなってきた!
また尾高惇忠の名前について、僕もドラマを見ていて誤解したのですが「尾高新五郎」が「尾高惇忠」に改名したわけでなくて「新五郎」は通称で、「惇忠」は諱(いみな)であるようです。
元服(げんぷく)により「尾高新五郎惇忠」と名乗ったのが正しいようです。
「惇忠」の読みは正しくは「あつただ」だそうですが、幕末(ばくまつ)~明治にかけて流行った「有職(ゆうそく)読み」により「じゅんちゅう」と名乗っていたようです。
※「有職読み」とは、諱の読みを中国風に音読みで読む読み方で、当時のインテリ武士層で流行ったようです。「伊藤博文(いとうひろぶみ)」を「いとうはくぶん」と読んだり、「木戸孝允(きどたかよし)」を「きどこういん」と読んだりします。
それと、モーリーさんのペリー提督(ていとく)にはビビりましたね(いい意味でw)。
モーリーさんには好感をもっているので応援しています!
ドラマ全体としては、上記、利根吉春により作り出された理不尽感により、バックグラウンドでの栄一の原動力を描いたり、血洗島と江戸(えど)の動きを対比して描いていたりと素晴らしかったと思います!
第2回の楽しみ方―身分秩序について―
今回は、悪役・利根吉春がかました「百姓差別」を生んだ、「身分秩序」について語ろうと思います。
戦国(せんごく)の世を終わらせた徳川家康は、参謀(さんぼう)役であった南光坊天海らと「戦(いくさ)が起こらなくなるためにはどうすればいいか」を考え尽くした上で、徹底的な身分秩序を根付かせたようです。
関連記事:
『麒麟がくる』第44回―南光坊天海について
関連記事:
『麒麟がくる』第33回―延暦寺の歴史
武士同士の上下関係もさることながら、為政者階級である武士と、それ以外の身分の者との区別は決定的なものであり、百姓等庶民(=武士以外の身分)には冒すことができない身分秩序が作られていきました。
※その上下関係の徹底のために儒教(じゅきょう)を利用したという側面もあるようです。
関連記事:
鶴岡八幡宮を味わう(2)―大銀杏と本宮
このことにより「下剋上(げこくじょう)」を終わらせることには成功したようですが、「身分差別」という負の遺産を作り出してしまったようです。
ただ、徳川家康は武士階級への教育を徹底することで精神的な高みを目指したようで、それが実現すれば武士階級が「身分差別」の感情をもつことは防げたかもしれません。
ですが、当然すべての武士や後の世に生まれた者たちの感情や教育レベルを家康個人がコントロールできるはずもなく、「身分秩序」の本来の意味を履き違えた人々によって「身分差別」が生まれました。
これにより、江戸時代は「戦争」こそなくなりましたが、庶民たちが身分差別にあえぐ時代となった訳です。
※現代でも「自分の先祖は農民だから…」と卑下する人がいますが、それは江戸時代の百姓差別の名残だと思っています。
結局のところ、どれだけ「教育」が大切かということを物語っている事実だと言えますね。
関連記事:
音読みと訓読みの区別―言語センスを鍛える
関連記事:
徳川家康の生涯を貫く思想―山岡荘八『徳川家康』第4巻
関連記事:
夏目漱石『こころ』におけるKの寿命問題
僕は「歴史」という学問の意義もそこにあると感じています。
――時の為政者は、何を意図してその政策を採ったのか。
為政者も当然人間なので、意図とは異なる結果になってしまったことはたくさんあったと思います。
徳川家康の布(し)いた「身分秩序」もその一つだと思っています。
しかし、「意図とは異なる結果」となった理由のひとつには我々庶民の不勉強もあるのではないかと痛感しているんです。
だから、「勉強」は大事なんです。
勉強することにより多くの価値観を身に着け、他者の意図をより忠実にくみ取れるようになればこういう不幸は減らせるわけです。
こんな感じで(今回はちょっとアツくなってしまいましたがw)、ドラマの背景にある知識が分かるとドラマをもっと楽しめます!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
次回の記事を読みたい方は、下記リンクをタップしてください:
『青天を衝け』第3回―平岡家について
以下もご覧ください!
※トップ画像はイメージです。
○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・渋沢 栄一〔栄二郎、栄一郎〕 源 美雄
しぶさわ えいいち〔えいじろう、えいいちろう〕 みなもと の よしお
・渋沢 市郎右衛門 源 元助〔美雅〕
しぶさわ いちろううえもん みなもと の もとすけ〔よしまさ〕
・利根 (官職・通称不明) 平〔藤原?〕 吉春
とね (官職・通称不明) たいら〔ふじわら〕 の よしはる
・尾高 新五郎 (氏不明) 惇忠
おだか しんごろう (氏不明) あつただ(物語中では「じゅんちゅう」)
・内閣総理大臣 伊藤〔林〕 俊輔〔春輔〕 越智〔藤原〕 朝臣 博文
ないかくそうりだいじん いとう〔はやし〕 しゅんすけ〔しゅんすけ〕 おち〔ふじわら〕 の あそん ひろぶみ
・木戸〔桂〕 小五郎 大江 孝允
きど〔かつら〕 こごろう おおえ の たかよし
・征夷大将軍〔将軍家〕 徳川 太政大臣〔右近衛権少将、左近衛大将、内大臣。通称は次郎三郎〕 源 朝臣 家康
せいいたいしょうぐん〔しょうぐんけ〕 とくがわ だじょうだいじん〔うこんえごんのだいしょう、さこんえのだいしょう ないだいじん。通称はじろうさぶろう〕 みなもと の あそん いえやす
・蘆名 (通称・官職不明) 平 (諱不明)〔法号随風、天海〕
あしな (通称・官職不明) たいら の (諱不明)〔法号ずいふう、てんかい〕
☆武家の「通称」の普及を切に願います!
参考
ゆーくんはどこ?
ぴえーるのテレビブログ
日本歴史時代作家協会 公式ブログ
☆「この人の書いてること、ちょっと面白いかも」と思った方はぜひメルマガ登録してみてください!
歴史を学んで、知識をつけるだけではなく「歴史を活かして自分の生きたい人生を歩む」というテーマで、ブログでは語れない裏話や秘話などをお届けします。
↓こちらの画像をタップしてください↓
また、メルマガに登録してメルマガに記載されているメールアドレス宛にリクエストを送っていただければ、順次お応えします。
・○○(武将、合戦等)について語ってほしい
・大河ドラマ(『軍師官兵衛』以降)について語ってほしい
・今、○○について悩んでいるが、どの武将を参考にしたらいいか
…等々
ブログと違ってほぼリアルタイム配信なので、会話をしているかのようなコミュニケーションが楽しめます!
登録、お待ちしています!
※メルマガが迷惑メールフォルダや「プロモーション」フォルダに入っている可能性があります。
不定期配信なので、ちょこちょこチェックして、迷惑メールフォルダ等に入らないように設定しておいてください。
筆者は、歴史の転換点に立つ英雄たちのように、
人生の自由度を自らの手でコントロールし、
己だけでなく他者をも自由へと導く
『子どもが憧れるような、人生を遊び尽くすカッコいい大人』
が集うコミュニティに参加しています。
このコミュニティには、既にその理想を実現している人々だけでなく、これからその夢を追い求める人々も参加しており、実際に目標を達成した人々の熱気とともに、新たな一歩を踏み出すチャンスがここにあります。
共に成長し、歴史を創る仲間を募集しているので、
もし、あなたも『人生を変えたい!』と思うのであれば、以下のリンクをタップし、説明を聞いてみてください。
(ウェビナー配信です)
→リバタリストBootCampセミナー
このセミナーに参加するだけでも、新たな歴史の一章を開くような大きな影響を受け、自分の人生について深く向き合い、変革のきっかけを得られます。
少しでも興味を持たれた方は、ぜひお気軽にご参加ください!
→日々の仕事に忙殺され、時間がなくてお悩みの方へ
こちらのリンクを↓タップ↓してください。
☆時間の投資術
※メルマガ登録をされた場合、初回メールが迷惑メールフォルダに自動振り分けされる可能性があるので、お気をつけください。
怪しそうだと感じる方もいるかもしれませんが、僕自身もこれを読んでみて、今までどれだけ無駄なことに時間を浪費していたかがわかりました。
もっと趣味や友人・家族たちとの時間を増やしたいと思う人は、必ず登録してください!
/
記事を読んでいただき、ありがとうございました!他の記事もぜひご覧下さい。
次回は「摺上原の戦いに学ぶ」。
//
今期イチオシ曲!ぜひ聞いてください!
【Cover】Nowhere Man / Joshu Washiya
※The Beatlesの楽曲のカバー。ボーカル・コーラスは筆者の声。楽器隊は打ち込みですが、機材が整い次第自分で演奏する予定です。
関連記事