『青天を衝け』第6回―美賀君の血筋

鷲谷 城州

2021年05月11日 20:00


《令和6年4月1日更新》

皆さんこんばんは。
今回は令和3年の大河ドラマ『青天を衝け』第6回に関しての楽しみ方を解説したいと思います。

大河ドラマを見てみたけれど、歴史もよくわからないし、どう楽しんでいいのかわからない
歴史には興味あるけど、自分では積極的に勉強する気になれない、という方必見です!
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。




【『青天を衝け』の楽しみ方】


・第1回―渋沢家について
・第2回―身分秩序について

・第3回―平岡家について
・第4回―阿部家について
・第5回―藤田家について





あらすじ



安政(あんせい)2年(1855年)、水戸学(みとがく)の大家・藤田東湖(渡辺いっけい)の死に衝撃を受ける渋沢栄一(吉沢亮)であったが、低い身分から身を起こした高祖劉邦、豊太閤(ほうたいこう)や、小大名から征夷大将軍に成り上がった東照大権現(とうしょうだいごんげん)らの事績を恃みに日々勉学に、家業に励むのであった。

そんな栄一に、尾高惇忠(田辺誠一)らの妹・千代(ちよ)(橋本愛)は意図せず想いを告げてしまい、戸惑う二人であった。

ある日、血洗島(ちあらいじま)・尾高惇忠の道場に道場破りが現れた。

江戸・千葉(ちば)道場出身の真田範之助(板橋駿谷)という男であった。

渋沢喜作(高良健吾)、栄一ともに敗れるが、惇忠の弟・長七郎(満島真之介)が勝利した。

その夜、範之助と語らった栄一らは、範之助から「尊王攘夷(そんのうじょうい)という言葉を教わるのであった。

一方、幕府は下田(しもだ)にやってきた米外交官ハリス(チャールズ・グラバー)が通商条約(つうしょうじょうやく)を結ぶまで動かない、と主張していることに困り果てていた。

老中(ろうじゅう)・阿部伊勢守正弘(大谷亮平)はもはや条約を結ぶしかないと弱気になるが、海防参与(かいぼうさんよ)(軍制改革参与(ぐんせいかいかくさんよ))徳川権中納言斉昭(竹中直人)は強行に攘夷を主張する。

ということで、

第6回「栄一、胸騒ぎ」の感想


千代の告白は衝撃的でしたねw

若人の初恋の物語に少しドキドキしてしまいましたw

そして、真田範之助の話。

オリキャラか?と思いきや、範之助自身は実在の人物で、栄一や惇忠と仲良しだったようです。

実際に道場破りをやったかどうかはわかりませんが、創作だとしてもよくできていて自然でした。

大河の創作はこうでなきゃ!
※道場破りの話が創作かどうかは定かではありません。

そして、一橋参議慶喜(草彅剛)に嫁いだ美賀君(みかぎみ)(川栄李奈)。

川栄氏が女優としてCMに出始めた時は正直どうなんだろう?と思いましたが、成長しましたね!

演技うまかったですよ!

これからの活躍が楽しみです。

そして篤君(あつぎみ)役の上白石萌音さん。
素晴らしいです!

上白石姉妹、頑張れ!


妹の上白石萌歌さんが出演している大河:
『いだてん』第35~36回―前畑に感動した

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『いだてん』第31~32回―昭和時代の負の遺物

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『いだてん』、後半戦スタートは好調です!(第25~27回)




第6回の楽しみ方―美賀君の血筋―


ドラマ中でどれだけ説明があったのか覚えていませんが、今回は美賀君の血筋について書きたいと思います。

美賀君は、一条左大将忠香の養子として参議慶喜公に嫁いでいますが、血筋としては今出川権中納言公久の娘に当たります。

では、その「今出川(いまでがわ)家」とは何者なのか。

何を隠そう、「今出川家」とは「菊亭(きくてい)家」のことなのであります。

人によって、場合によって(官位など)、「今出川」の名字を名乗ったり「菊亭」の名字を名乗ったりしておりますが、「菊亭家」と言えば『真田丸(さなだまる)』で真田源次郎等の母が右大臣菊亭晴季の娘を自称していましたね。
※実際には本人が称したわけではなく、後世の人間が創ったと言われています。

『真田丸』についての記事を読みたい方は、下記リンクをタップしてください:
『真田丸』、秀吉の老衰っぷりは悪くない(第29回)

では、「菊亭家」とはそもそも何なのか。

藤原北家閑院流西園寺家(ふじわら・ほっけ・かんいんりゅう・さいおんじけ)の分家ですw

藤原北家ではありますが、有名な摂政太政大臣藤原道長〔御堂関白〕とは別流で、御堂関白の叔父・太政大臣藤原公季〔閑院大臣〕から始まる一族を閑院流と言います。


藤原北家に言及した記事:
『麒麟がくる』第31回―浅井家の来歴

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『麒麟がくる』第26回―摂関家の系譜

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『麒麟がくる』第17~18回―斎藤家の血族関係と永禄元年までの織田家


その閑院大臣の子孫は三条(さんじょう)家・西園寺家・徳大寺(とくだいじ)家に分かれます。

その西園寺家の一族である太政大臣藤原兼季という人物が今出川〔菊亭〕の名字を名乗ったのが始まりです。

その後、戦国(せんごく)~安土桃山(あづち・ももやま)時代には上記・右府晴季が活躍しますが、その孫の代に男系が断絶してしまいます。

そのため、同じ閑院流の分流である徳大寺家から養子を迎えますが、さらにその孫の代で断絶。

今度は宗家筋にあたる西園寺家から養子を迎えます。

しかしその子の代で再び断絶。

再び西園寺家から養子を迎え、美賀君はその曽孫に当たります。

男系で考えると菊亭晴季の子孫ではありませんが、その系譜を引く家の出身だったんですね。

こんな感じで、ドラマの背景にある知識が分かるとドラマをもっと楽しめます!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

以下もご覧ください!

※トップ画像はイメージです。

○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・藤田 虎之助〔虎之介、武次郎、誠之進〕 小野? 彪〔号東湖、梅庵〕
ふじた とらのすけ〔とらのすけ、たけじろう、せいのしん〕 おの? の たけき〔号とうこ、ばいあん〕
・渋沢 栄一〔栄二郎、栄一郎〕 源 美雄
しぶさわ えいいち〔えいじろう、えいいちろう〕 みなもと の よしお
・劉 邦 季〔太祖、高祖、諡号:高皇帝〕
りゅう ほう き〔たいそ、こうそ、諡号:こうこうてい〕
・関白 羽柴 太政大臣〔通称は藤吉郎〕 豊臣〔平、藤原〕 朝臣 秀吉
かんぱく はしば だじょうだいじん〔通称はとうきちろう〕 とよとみ〔たいら、ふじわら〕 の あそん ひでよし
・征夷大将軍〔将軍家〕 徳川 太政大臣〔右近衛権少将、左近衛大将、内大臣。通称は次郎三郎〕 源 朝臣 家康
せいいたいしょうぐん〔しょうぐんけ〕 とくがわ だじょうだいじん〔うこんえごんのしょうしょう、さこんえのだいしょう、ないだいじん。通称はじろうさぶろう〕 みなもと の あそん いえやす
・尾高 新五郎 (氏不明) 惇忠
おだか しんごろう (氏不明) あつただ〔物語中では「じゅんちゅう」〕
・真田〔小峰〕 範之助〔軍司〕 藤原? (諱不明)
さなだ〔こみね〕 はんのすけ〔ぐんじ〕 ふじわら? の (諱不明)
・渋沢 喜作〔成一郎〕 源 英明
しぶさわ きさく〔せいいちろう〕 みなもと の ひであき
・尾高 長七郎 (氏不明) 弘忠
おだか ちょうしちろう (氏不明) ひろただ
・阿部 伊勢守〔通称は四郎五郎〕 阿部 朝臣 正弘
あべ いせのかみ〔通称はしろうごろう〕 あべ の あそん まさひろ
・(水戸)徳川 権中納言〔通称は敬三郎〕 源 朝臣 斉昭
(みと)とくがわ ごんのちゅうなごん〔通称はけいさぶろう〕 みなもと の あそん なりあき
・(一橋)徳川〔松平〕 参議〔幼名は七郎麻呂〕 源 朝臣 慶喜〔昭到〕
(ひとつばし)とくがわ〔まつだいら〕 さんぎ〔幼名はしちろうまろ〕 みなもと の あそん よしのぶ〔あきむね〕
・一条 左近衛大将〔通称不明〕 藤原 朝臣 忠香
いちじょう さこんえのだいしょう〔通称不明〕 ふじわら の あそん ただよし
・今出川〔菊亭〕 権中納言〔通称不明〕 藤原 朝臣 公久
いまでがわ〔きくて〕 ごんのちゅうなごん〔通称不明〕 ふじわら の あそん きんひさ
・真田 左衛門佐〔通称は源二郎、源次郎〕 滋野〔源〕 朝臣 信繁〔幸村〕
さなだ さえもんのすけ〔通称はげんじろう、げんじろう〕 しげの〔みなもと〕 の あそん のぶしげ〔ゆきむら〕
・今出川〔菊亭〕 右大臣〔通称不明〕 藤原 朝臣 晴季〔実維〕
いまでがわ〔きくてい〕 うだいじん〔通称不明〕 ふじわら の あそん はるすえ〔さねつな?〕
・摂政 太政大臣 藤原 道長〔御堂殿、御堂関白〕
せっしょう だじょうだいじん ふじわら の みちなが〔みどうどの、みどうかんぱく〕
※道長は関白になったことがないのになぜか「御堂関白」と呼ばれています。
・太政大臣 藤原 公季〔閑院大臣〕
だじょうだいじん ふじわら の きんすえ〔かんいんだいじん、かんいんのおとど〕
・今出川〔菊亭〕 太政大臣〔通称不明〕 藤原 朝臣 兼季
いまでがわ〔きくてい〕 だじょうだいじん〔通称不明〕 ふじわら の あそん かねすえ
☆武家の「通称」の普及を切に願います!

参考
ゆーくんはどこ?
ぴえーるのテレビブログ
韓ドラ大好きおばさんの「言いたい放題いわせてヨ!」

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今ではファンになって結局会いに行ってしまいましたw
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次回は『青天を衝け』第7回について。

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