The White Stripes/Elephant

鷲谷 城州

2007年02月04日 18:06


PIRO4DによるPixabayからの画像

音楽に携わる者らしく、久々にアルバム評を書きます(笑
今回はアメリカンガレージロックの新星として2001年頃から注目された大物バンド、ホワイト・ストライプスの『エレファント』。

↓こちらのアルバムについて書いています。

エレファント

「ガレージロック」という枠組みはおそらく後付けでしかないが、それをほぼ忠実に再現する荒削りなサウンド。ぱっと聞いただけでは「なんだ下手くそじゃん」で片付けられてしまいそうだが、彼ら(姉弟二人だが)、決して下手くそでない。それどころか楽器はかなりうまいのではないか。

その荒削りさから生まれるものなのか、それともそれ以外の要素から生まれるものなのか、2003年発売のこの『エレファント』では、冒頭の「セヴン・ネイション・アーミー」からそのスケールに圧倒される。姉弟二人で作り出しているとは思えないスケール。
「レッド・ツェッペリンの再来」とまでは大げさなものの、ブレイク当時一部でそう騒がれたのも納得できるスケール感である。


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そして弟ジャック・ホワイトの素行の悪さとは裏腹に、そのサウンドはアメリカの伝統的なホワイト・ブルースを色濃く受け継ぐものでもある。それが特に顕著に表れているのは5曲目「イン・ザ・コールド・ナイト、コールド・ナイト」。

6曲目「アイ・ウォント・トゥ・ビー・ザ・ボーイ」では弟ジャック・ホワイトの早口で決して「うまい」という印象はもち得ない荒削りなボーカルが聞ける。これは「うまい」「下手」の次元ではなく、すべてジャック・ホワイトのボーカルの魅力が集約されている。決してテクニカルだとは思えないボーカルに、このバンドの全ての魅力が詰まっている。

そしてもっともブルージーなのが8曲目「ボール・アンド・ビスケット」ではなかろうか。
1960年代後半のジミ・ヘンドリクスを彷彿とさせる重厚で泥臭いギター・リフ。そして語り口調のボーカル。
これほどまでに'60年代のアメリカンブルースを再現したバンドはいまだかつてないのではないだろうか。

かつてのアメリカンブルースに対する、現代のアメリカ人の回答を聞きたい人にはぜひお勧めの一枚である。


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