筋肉少女帯/サボテンとバントライン

鷲谷 城州

2005年09月03日 14:32


JanKrokiet95によるPixabayからの画像

モテない引きこもりのダメ男、自分が嫌いで消えてしまいそうな少女、いじめにより世界を呪った少年、自殺志願者、快楽犯罪者など、人間のダークサイド(暗黒面)をときには痛烈に、ときにはコミカルに歌った大槻ケンヂ氏は、日本の文学史上に残る偉大な人物である。

作詞家、エッセイスト、ボーカリスト大槻ケンヂは1980年代から1998年頃まで「筋肉少女帯」と呼ばれるバンドに参加した。

「筋肉少女帯」はそれほど一般的に深く知られているわけではないが、邦楽史に音楽の一つのありようを示した偉大なバンドであった。

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極上のヘヴィメタル・サウンドに、大槻氏の猛烈な歌詞が乗り、彼らの音楽は風変わりな世界観を醸し出した。

僕が「筋肉少女帯」とであったのは小学校高学年のとき。家族で出かける度にカーステレオで流れていた。

小学生の僕にとっては、大槻ケンヂ氏のコミカルな部分が非常に好感がもてた。
社会に対する深刻な批判を展開しつつも、それを笑いに転化する。
これが彼の手法の素晴らしいところである。

そんな彼らが1990年に出したシングルが「サボテンとバントライン」であった。

シングルということもあって、サウンドはヘヴィメタル的というよりも割とシンプルに仕上がっているが、歌詞には大槻節が光っている。

爆弾魔である「少年」が、大好きな飼い猫「バントライン」とともに犯行を繰り返す物語。
彼にとっては「バントライン」と部屋にある「サボテン」と「映画を見ること」だけが安らぎだった。

しかしその「少年」は、ある日ムービーシアターに爆弾を仕掛けたあと、上映中の映画に見とれてしまい、逃げ遅れて自分たちの仕掛けた爆弾に吹っ飛ばされてしまう。
つまり、死んでしまう。

外界に心を開くことを知らず、猫とサボテンと対話することしかできない「少年」。

そしてそれが爆弾魔という犯罪につながる。
そこには僕たちが考えるような明らかな「悪意」や「ポリシー」はない。

この歌が提示した問題は、作詞者大槻ケンヂ氏にしか理解できないものであろうか?
そして、このシングルが発売された1990年当時にしか当てはまらないものだろうか?

大槻ケンヂ氏が、現実に起こったどのような事件を題材にしてこの歌詞を書いたかは不明である。
しかし、彼は当時、この手の犯罪の本質を鋭く洞察していたのではないだろうか。

「筋肉少女帯」は、音楽のもつエンターテイメント性と人間の暗部の描写、そして「笑い」という快楽の提供を同時に行ったバンドであった。
そこには彼らのもつ全エネルギー、そして人間としての愛情がこめられている。

そんな素晴らしいバンドに出会えたことを感謝する。


1990年代の音楽:
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