ビジョナリーカンパニー
この本はどういう本かというと、CEOや社長などのリーダーが変わっても、何十年にもわたって素晴らしい業績を残し続ける企業はどういうことをやっているんだろう?ということが書かれている本です。
つまりは組織力の凄みみたいなものが書かれていて、大変勉強になりました。
ちなみに「ビジョナリー」は"VISIONARY"ですが、当時アメリカで流行していた言葉のようで、本人たちも明確な定義は自覚していなかったようですが、この本によると、「先見性のある」みたいな意味だということです。
この本で取り上げられた素晴らしい企業の選出条件ですが、
・わたしたちが暮らす社会に、消えることのない足跡を残している。
・最高経営責任者(CEO)が世代交代している。
・当初の主力商品(またはサービス)のライフ・サイクルを超えて繁栄している。
・1950年以前に設立されている。
ということで、アメリカン・エキスプレス、ヒューレット・パッカード、ソニー、ウォルト・ディズニーなどの数々の有名企業が取り上げられていますが(アメリカ人にとって有名な企業が基準になっているので、知らない企業も結構ありました。ただ、経済ニュースを見るとちらほら名前の出てくる企業が多いです)。
この中で面白かったのは、それまで(今でも?)成功経営の常道といわれているような理論が、実例によって覆されていることです。覆された常道を引用すると、
1.すばらしい会社をはじめるには、すばらしいアイディアが必要である。
2.(中略)ビジョンを持った偉大なカリスマ的指導者が必要である。
3.とくに成功している企業は、利益の追求を最大の目的としている。
4.ビジョナリー・カンパニーには、共通した「正しい」基本的価値観がある。
5.変わらない点は、変わり続けることだけである。
6.優良企業は、危険を冒さない。
7.ビジョナリー・カンパニーは、だれにとってもすばらしい職場である。
8.大きく成功している企業は、綿密で複雑な戦略を立てて、最善の動きをとる。
9.根本的な変化を促すには、社外からCEOを迎えるべきだ。
10.もっとも成功している企業は、競争に勝つことを第一に考えている。
11.二つの相反することは、同時に獲得することはできない。
12.ビジョナリー・カンパニーになるのは主に、経営者が先見的な発言をしているからだ。
ソニーなんかは、設立時に何をやるかがまったく決まっていなかったというから驚きです。
また、3として挙げた「とくに成功している企業は、利益の追求を最大の目的としている。」という点についても面白かったです。
本当に成功している企業は、利益追求以外の目標を第一としていて、ついでに利益を得る、みたいな感覚だそうです(利益がないと会社は回らないので)。
ソニーは「技術革新」が第一目標で、利益追求は二の次。
ウォルト・ディズニーなんかも、「夢の世界の提供」が第一で、利益追求は二の次。
その点、徹底しているようです。
さらに、2として挙げた「ビジョンを持った偉大なカリスマ的指導者が必要である。」についても興味深かったです。
その考えをあらわす言葉として書かれているのが、
時を告げるのではなく、時計をつくる
という言葉。
時計のない世界で、誰か一人時間のわかる人物がいたとしたら、その人が「時計をつく」ればみんなが時間を見れるようになりますよね。
優れた人物は、結果だけを残すのではなく、ノウハウを残せ、ということでしょうか。
「ビジョン」についての参考:
「石山合戦から学ぶ―「理念」のもつパワー」
以上、分厚い本なので読むのに時間がかかりました(本読むのは大体電車に乗ってるときだけなんで)が、かなり勉強になったし、面白い内容でした。
だいぶお勧めです。
参考
ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則
ゆーすけべー日記
せきねまさひろのブログ
twitterや
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