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2018年03月28日

相手の思考をある程度トレースできないと人にものを教えることはできない

正六角形の分割


皆さんこんばんは。
今回は記事「中1の家庭教師バイトが嘆く「まじでもうヤバい。円の円周をどうやっても理解しない」に共感の声多数」を読んで感じたことを書きます。

記事の概要としては家庭教師をやっている投稿者がおバカな中1の教え子に対して円周を教えているのですが、どう教えても理解しないので困っている、というような内容です。
(正確なところは上記をお読みください)

これに関してすごく思うのが(教育業界ではよく言われていることですが)、「数学が得意な人は数学ができない子を教えることはできない」ということです。

これについては上記のような教育業界だけではなく、一般的に「人に教える」行為をするときに重要なキーワードが関わってくるのですが、それは「思考のトレース」です。

「思考のトレース」についての関連記事:
ビジネスに活かす戦国合戦術(19)第二次高天神城の合戦

「教育」についての関連記事:
音読みと訓読みの区別―言語センスを鍛える


人に何かを教えるときに、「デキる人」の頭の中はどうなっているのかというと「自分はこのやり方でできたのだから、相手も同じやり方でできるハズ」となっていると思うのですが、それが甘いんですよ。

客観的に考えて、自分が学生時代成績のよい方だったら人としてもある程度頭のよい部類に入るはずなのですが、そのやり方は他人には通じないので、やり方を考え直した方がいいです。
(成績がよい=頭がよいという訳ではありませんが、少なくとも成績のよい子は人として、真ん中より上の知能はあるはず)

頭のよい人間のやり方で理解できるのは、同じくらいに頭がいいか、それ以上の知能の人間だけです。

これは、頭のよい方が上、悪いほうが下という意味でいっているのではなくて、頭のよい人間と悪い人間とでは勉強に対する姿勢や思考方法がまるで違うということです。

例えば、スポーツ選手の中には体の使い方のセンスがよいし基礎訓練もできているので、サッカーも野球もろくに練習もせずにできちゃう人もいますが、成績上位の人は勉強界における「スポーツ万能マン」です。

自分の「なんとなくできちゃった」は他人には通用しません。

(ちなみに、相手が頭がよいか悪いかを判断する材料は、「一を聞いて十を知る」ができるかどうかがひとつ。
2~3例教えただけなのにそれを応用してどんどん類題を解き進められる人は間違いなく頭がいいので、放っときゃできるようになります。

それと「つっかえずに音読できるか」です。
頭のいい子は声に出して読むのと同時に先の部分をあらかじめ黙読しているし、さらに同時に先の展開を予測しながら読んでいるのでつっかえません)

さらに、頭のよしあしだけでなく「思考のクセ」が人によって違うので、これが違う人には同じやり方はできません。

これはすごく大事で、素直に言葉通りに受け取る人、一生懸命言葉の裏を読もうとする人、話を最後まで聞かずに途中で判断する人、などさまざまなわけです。

たとえて言うと、東京で育った人にとっての「駅近」と地方で育った人の「駅近」は感覚がまるで違うということです。
(東京の人は「徒歩5分」が駅近、地方の人は「徒歩30分」が駅近だったりします)

関連記事:
北海道の距離感―本州人との認識の違い

そんな二人が距離感の会話をしていて成立するはずがありません。

「教える」という場では結構そういった齟齬が起きており、お互いなんで通じないのかわかっていない場合がほとんどですが、「思考のクセ」が全然違う人同士が話しているのだからしょうがない。
この状態だと、相手がなぜ間違ったのかこちらが理解できないし、相手が分かるように説明もできません。

だから、できるだけ相手の思考をプロファイリングして「トレース」、つまり、自分の頭の中で相手の思考を再現していかないといけないんですね。
そのためには相手の情報もできるかぎり必要だし、質問をして返事の仕方・内容も観察しないといけないですし、トライ&エラーで相手の思考のトレース・検証をしたサンプルの蓄積もなくてはいけません。

ある程度訓練できてくると類型化できてきます。

しかし、結局他人の考えていることを正確に読むことは不可能ですし、相手が子どもならまだ「思考のクセ」のパターンはそんなにないのですが、大人に近づくにつれて複雑化していくので容易ではありません。
僕自身、他人の考え方をある程度読もうとしながら生きてはいますが、人の数だけパターンがあるので真相は結局本人にきかないと分かりませんし、「クセ」はいわゆるエートスなので、自分自身がその枠の中から抜け出して他人の脳みそに入ることも容易ではありません。
(だからこそ、トレースしたあとに「訊く」などして確かめなくてはいけません)

まぁ要するに、人にものを教える、理解させるってことは想像異常に難しいってことです 笑


〈ポイント〉
・相手を観察
 ↓
・質疑応答
 ↓
・思考の再現
(前提として、ある程度自分の「思考のクセ」を自覚し、取り払うことが必要)
 ↓
・検証
 ↓
・結果の蓄積・類型化
 ↓
(初めに戻る)

※トップ画像は算数の板書です。

参考
「教えすぎない」ことの大切さ
福澤ブログ
現場で頑張る先生方を応援します!
「教えること」の効果
未来に挑戦

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Posted by 鷲谷 城州 at 19:00│Comments(0)ネット
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